第23話 服作り!全裸からの解放!

 一晩中、漬けておいたなめしを取り出す。


「ユイ、魔法の練習だ。こいつらを綺麗に洗ってくれ」

「……ん」


 ユイは足元に水色の魔法陣を展開させ、手の上から大きな水球を作り出す。その中にホワイトトロルコングとホワイトモンキーズの毛皮を入れる。さらにユイは魔法陣を拡大する。すると、毛皮はドラム洗濯機のようにグルグルと回される。


「おぉ!」

「……ふふふ」


 洗い終わると次はホーンラビットの角で干す。乾かすのもユイの魔法で練習ついでにやる。

 次は足元に緑色の魔法陣を描き、風を起こし乾燥させて行く。

 フワ〜フワ〜っとゆったりと乾かしていく。


「お〜気持ちいい風だ〜」

「……ん」

「あ〜よし。そろそろいいぞ〜」


 ユイは風魔法をやめてケイの傍に寄っていく。ケイは乾いた毛皮を触って確認する。感触は本来なら内側がパリパリになるはずだが、そこが違うのか、ふわふわでやらかいものだった。

 ユイも、ケイの様子を見て、触ると意外と良かったのか尻尾をフリフリとさせている。


「これなら着れるな……。ユイ、ホワイトトロルコングの毛皮を切ってくれ。流石に大きすぎる」

「……ん」


 次は『空爪』を発動し、大きすぎるところを切っていく。ちょうどジャケットサイズになると着るのをやめる。


「これぐらいかな?」


 ケイは着てみると、動きやすさ、柔らかさなどを確認する。


「……どう?」

「ピッタリだ。流石だな。ユイのはどうする?」

「……ん、お揃いだから着る」

「そか。なら、そのカッターシャツから調節するか」

「……ん」

「いや、パンツだ!」

「……?」


 ケイは、ユイのカッターシャツのまだ無事な右側を破り、毛皮と一緒に作り上げていく。毛皮が若干伸縮するのを利用してゴムを代わりに使う。それをカッターシャツで補強していく。細い木の針と魔獣の毛で作った糸で縫っていく。


「……む、難しいな」

「……それ、出来る」

「なん……だと?」


 ユイは足元に白い魔法陣を描き、ケイから渡されたパンツの元を縫っていき、女の子のパンツを縫い上げていく。20分頃には既に完成されており、丁寧に真ん中には小さなリボンが着いていた。


「マジか……」

「……ん、これでいい?」

「あ、あぁ、履いてみろ」


 ケイはすぐざま後ろを向き、ユイを見ないようにする。後ろで布が肌と肌を擦る音がした。

 そして、パチンとゴムで身を止める音がした。


「ん、大丈夫」

「お、お、おぉぉぉおお!! これで、下を見てもパンツで隠されている!」

「……むぅ……なんか、複雑」

「あ、済まないな、ユイ。カッターシャツ……」


 ユイのカッターシャツは長袖だったはずが、いつの間にか袖が無くなり肩から先がない。


「ん、大丈夫。これがある」


 ユイはホワイトモンキーズの毛皮を『空爪』でカッターシャツと同じように袖を切った。ユイはホワイトモンキーズの服を切ると全身白とでもい言うべきか、なんとも似合っていた。


「……おい、ユイ」

「ん?」

「なんで、袖を全部切った?」

「……これじゃないと、抱きついた時にケイを感じられない」


 少し照れながら話すユイ。単純にケイが好きだから、同じ時間を共有するために、より近くにいるために切ったのだ。


 この日、ケイの夜の修行はいつもりよ激しかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る