第5話 やがて
数年後・・・
僕も、河原さんも、無事に高校を卒業した。
河原さんは、女子大に進学したようだ。
アイドルを目指していたが、両親の賛成を得られず断念、
そう、河原さんは言っていた。
でも、大学へ進学できたのは、金銭的な理由ではないはずだ。
でも、芸能界の厳しさはわかっているので、養成所には通わせない。
となると、養成所に通わせていたのは、アイドルになるのか目的ではなく、
他の目的のためだろう。
真相は闇の中だが・・・
高校卒業以来、河原さんとは疎遠になっている。
僕はと言うと・・・
河原さんの言っていた、「君にしか出来ない事で返事をして」
その言葉が、引っかかっていた、
わからなかった・・・
何も出来ない・・・
僕に何を求めていた?
教えてくれ・・・
心の中で叫んでも、届くはずもない。
それから、数年後・・・
僕は、一冊の本を出した。
といっても、自費出版。
少数限定の発売。
儲ける気はない。
ただ自分の生きた証を残したかった。
といっても、エッセイなど書けるはずもなく、
中身は、イラストと小説だった。
そして、あとがきにこう添えた。
『初恋の、君に、捧ぐ』と・・・
もう会っていない初恋のあの人が手に取ってくれる、
かすかな望みを託して・・・
彼女にしかわからない、メッセージを入れておいた。
そして、数ヵ月後・・・
僕は、その初恋の人と再会した。
ばったりだった。
「津波くん、久しぶりだね」
「河原さんも、お変わりなく」
彼女は、笑っていた。
「読ませてもらったよ。君の本」
「見てくれたんだ」
「早速だけどね、津波くん」
「うん」
≪君の気持ち、受け入れます≫
彼女が僕にくれたメッセージ
いつか、ふたりで笑い合おう
それが、現実となった。
女の子の気持ち 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます