おまけ 「アンドロイド連続殺人事件」その4

 フッと敵のアジトに現れる。

 しかしそこには誰もいなかった。

「転移魔法陣のあった場所を特定しないといけないわ」


 香ちゃんが、美夜が持ってきたハゲ茶瓶から出てきた。

「ここから胡桃の匂いがするぞ」

「さすが香ちゃん。香りには敏感ね。さすが変態」

「ちゃうわ!」

 乙女達が引いている。


「でも助かったわ。行くわよティアリ」

 まだ同じように輪になり、瞬間移動する。

 同じことを繰り返すこと3回、やっと本当のアジトに着いたらしい。


 そこには、犯人たちと戦っている胡桃がいた。

「あんたたち! もう逃げられないわよ」

「ちくしょう! また移動するぞ! え? なぜだ!?」

「転移魔法陣は封じたわ。このクレオパトラ様の前じゃ、その手の魔法は効かないわよ」……クレオパトラは転移魔法を司る精霊だ。


「じゃ、人質だ」

 胡桃が捕らえられる。

 しかし胡桃だって、ただで捕まる玉じゃない。……「強化! 鉄塊」

 鉄のように身体を強化させ、犯人が持っていた刃物やスタンガンを軽くへし折り、壊してしまった。

 メンバー全員で取り囲む。

 3人の犯人は観念して取り押さえられた。


 ――◆□◆――


 3人の犯人は、刑務所の留置場に入れられた。

 3人は魔族で、それぞれの得意なスキルは「転移」「千里眼」「擬態」であった。とても犯罪を犯すには都合の良いスキルだ。

 まず千里眼で位置の特定と対象となるアンドロイドの存在を確認する。位置が特定できれば、転移魔法陣を描くことができる。転移魔法陣に3人が乗り冥土喫茶まで飛んでいく。「千里眼」スキルをもったものがブレーカーで電源を落とし、「擬態」スキルで舞台に溶け込み、アンドロイドに改造スタンガンを刺し犯行に至った。

 胡桃は照明が落ちると同時に「身体強化」により刺されることを防いだが、電気ショックは防げず一時的に痺れて舞台に倒れてしまった。

 犯行動機はないそうだ。つまり無差別殺傷事件ということになるのだろう。

 アンドロイドは機械なので、殺人とはならないと考えていたようだがこの国は違う。

 LMG大国では、機械族もしっかりと人権を持っており、判断が分かれるところだが感情が存在する機械には殺人罪が適用される。感情があるかどうかは、デウスエクスマキナやエクスマキナが判断している。


 ただ、このLMG大国には、裁判はない。

 人の判断は、時に不平等だ。

 罪の軽い犯罪は、エクスマキナが判断する。

 最終的な判断は、デウスエクスマキナに一任されており、犯行内容を解析し、犯罪の重さを決める。


 今回の事件は、「犯行動機がない」という極めて特異で悪質な殺人事件である。

 このような犯罪は、この国に限ったことではない。

 デウスエクスマキナの解析では、遺伝子組み換えが行われるようになってから増えているそうだ。

 遺伝子組み換えによるひとつの副作用として、一定の割合でサイコパスが生まれている。さらに「母性本能の欠損」が見られるようで、親子の関係もかなり希薄だ。


 アンドロイド連続殺人事件は、かなり重い罪であると判断され、デウスエクスマキナの決定は「国外追放」となった。

 このLMG大国には死刑はない。

 そのため、国外追放となったのだが、ただの国外ではない。


 ――👿👿👿――


 私は、今、悪魔が作った国に来ている。

 今日はアリスと一緒だ。


 ここの首長は、なんとあのデビルカーメン。

 各地域の大臣は、ヴィーナスの悪魔だったあの7人である。

 しかも場所は、我々LMG大国の隣にある。


 我がLMG大国と悪魔族は同盟を結んでいる。

 悪魔族はまだ龍神から種としては認められていないのだが、私から龍神に嘆願し様子を見ることになった。


 ここデビル大国にも各国から人が集まってきている。

 悪魔の国なのにと思うだろうが、だいたい100人に1人から2人くらいは変わった人がいるもので、神様より悪魔が好きだという人がいる。世界人口は約80億人いるわけだから、100人に1人でも8千万人くらい変わり者がいるという計算になる。


 8千万とはいかないまでも、今の悪魔国の人口は5000万人くらいいる。

 さらに、各国から悪意のある重い罪の犯罪者の受け入れを行っている。


 なぜこんなことを行っているか?

 悪魔の食事とするためだ。

 しかもそれで収入を得ている。


 死刑にするということではなく、その醜悪とも言える精神感情が悪魔の食事になる。悪魔は負の感情、恐怖心、猜疑心、怨恨、嫉妬心、怨嗟、憎悪心、自棄、自虐心などを好んで食べる。犯罪者の精神はとても栄養価の高い食事なのだという。

 悪魔がこの負の感情を食べると、食べられた人は気持ちが一旦清浄化され、とてもいい気持ちになるそうだ。これが病みつきになるそうで、悪魔の信者がぞろぞろと集まってくる。


 さらに悪魔の国では、犯罪者の輸入を行って収入を得ている。

 罪の程度により、輸入額が違う。この輸入は、輸入を受ける側つまり悪魔の国がお金をもらうのだ。凶悪な犯罪ほど高くなり、最高額は1億龍だ。


 そんな折、我が国でアンドロイド連続殺人事件が起き、その犯罪者を連れてきた。3人の犯罪者を連れて行ったので3億龍もかかってしまったが、国内に勾留するよりいいだろう。

 ちなみにこの悪魔の国では、どのような犯罪を犯してもいいそうだ。それぞれ犯罪の種類によって住む場所が決められている。つまり殺人犯は殺人者のいる地域に住居が与えられ、スリルを味わうことができるらしい。

 これらの犯罪者が逃げようとしても、悪魔や魔物がいるので簡単には逃げられないし、これだけ美味しい餌はないので悪魔たちは逃がさない。犯罪者たちは日々恐怖心や猜疑心を募らせていく。

 こうやって、負の感情を高め極限に達したところで悪魔の食事とする。


 今では、どこの国でも悪いことをすると、「悪魔の国に送られるよ」と言われ、かなりの犯罪抑止力になっている。悪魔も使いようなのだと思う。


 ――👿👿👿――


 もうひとつ報告がある。

 胡桃は、香ちゃんに気に入られ、胡桃の精霊となった。

 なんでも胡桃の無垢な匂いと男勝りなところを気に入ったようだ。

 胡桃も強力な精霊がついて満更でもないようで、毎日、剣の修業に励んでいる。


――アンドロイド連続殺人事件 おしまい ――

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堕天使転生 ~Lip Magic Generations~ すふぃんくす のーば @Sphinx

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