おまけ 「アンドロイド連続殺人事件」その2


 ――👿👿👿――


 その後同様の事件が各地で相次いだ。

 殺されたのはすべてアンドロイド。

 殺害されたすべてのアンドロイドには、小さい刺し傷があった。


 戦闘用のアンドロイドやエクスマキナの皮膚は、合金でできており簡単には刺すことはできない。

 しかし商業用のアンドロイドの場合、皮膚は柔らかい合成皮膚でできている。内部の重要な機器は、人間の頭蓋骨やあばら骨、骨盤部分に軽量鉄骨でできた骨の枠組みがあり、その中に納められている。


 すぐに倒れているアンドロイドを空飛ぶ救急車で運び、アンドロイドの救急施設へ連れていく。

 エクスマキナの医師が調べてみると、アンドロイドの脊髄のケーブルに深い刺し傷があり、そこから100万V以上の高圧電流が流されアンドロイドの中枢ともいえるCPUとメモリーが破壊されていた。

 そのアンドロイドは他の部分の損傷はなく、CPUやメモリーを除き復元は可能であったが、過去の記憶はないためこの事件は殺人と認定された。

 約1週間で15体のアンドロイドが殺害されており、この事件はLMG大国における最初のアンドロイド連続殺人事件となった。


 この事件を解決するため、私を中心とする特捜部が設置された。速やかにLip Magic Generationsのメンバーが召集される。

 通常なら、警察組織のエクスマキナやアンドロイドにより事件、犯罪は解決されるのだが、今回は警察組織の機械族に被害が及ぶ可能性があり、デウスエクスマキナからの依頼もあり我々が召集されたのだ。


「もうすでに、事件の概要は把握していると思う。時間は一刻も争う。早く犯人を捕まえられるよう協力してくれ」私は緊張した面持ちで、皆に呼びかけた。


「探偵なんてやったことないよ。どうやって見つけるの?」

 皆が頭をひねっている。

「やっと私の出番が来たようね。この事件におけるこれまでの犯罪傾向を考えてみないといけないわ」

「キャーかわいい。名探偵ルリルリだね」蓮月が興味深そうにジロジロ見ている。

 瑠璃は、なぜか格子柄のハンティング帽をかぶって、大きめの虫眼鏡を持っている。


「ヘヘ~ン。実はもうすでにデウスエクスマキナが犯人を割り出しているわ」

「何か証拠があるの?」

「証拠はないわ」

「じゃなぜ犯人って分かったの?」


「証拠が全くなかったことが証拠なのよ!」

 瑠璃は虫眼鏡を目に当て、目を大きくしながら得意気に話す。


「どういうこと?」

「この国には、機械族が設置した監視装置が張り巡らされているの。コンピュータは言うに及ばず、カメラやマイク、皆が使っている端末、そして偵察用ドローンや虫型ロボットよ。このLMG大国に住むすべての人間や機械族はそのシステムに観測されているわ」

 これらの監視装置は、治安対策の一環としてデウスエクスマキナが管理している。


「エ~~それって監視されてるってこと!? トイレとかお風呂とかも見られてるの? 嫌だなぁ~」

「トイレとかで端末を使っていれば、そういうことになるわね。それでもって、どうするってこともないんだけど、逆に異常時は素早く対応できるのよ。例えば、事故や病気そして犯罪の抑止にもつながるわ」

 デウスエクスマキナは逆に犯罪につながる盗聴器や盗撮機は排除している。


「そうなんだろうけど、プライバシーまで覗くのはマナーに反してるんじゃない?」

「そうかもね。それらの判断はデウスエクスマキナに任せているんだけど、大きな事象以外は1か月後にすべて消去しているようよ。かなり膨大なデータ量になるからね」


「う~ん。でもなんだかなぁ」

「このことは隠しているわけじゃないし、嫌ならこの国を出ていけばいいだけのこと。安全性を確保するという保証があるわけだから、価値観の問題ね。

 といっても、街の中は80%くらいは監視できるらしいけど、郊外となるとドローンとか使っても監視できるのはせいぜい10%らしいわよ。

 それで本題に戻るけど、その被疑者がこの国に入国した後、まったく痕跡がないことが分かったの」

「なるほど、これだけの監視網がありながら、痕跡がまったくないってのは逆に怪しいな」


「うん。それでその被疑者が3人いるわ。手分けして探してきてほしいの」

「分かった。被疑者は3人いる。どんな手を使ってくるのか分からない。3人1組で行動するようにしよう」


 瑠璃の推理がひと通り終わったあと、私は立ち上がりドアの方に歩いて行った。

「それじゃ今日は紹介したい人がいる。先日、剣神世界に行ったときに偶然会ってね、つれてきたんだ。どうぞ、入ってきて」


「こんちわ~ 胡桃で~す!」

「胡桃ちゃん! 久しぶりだね。元気にしてた?・・・・・・でも、ほんとに偶然? 胡桃ちゃん」

「うん。このとおり元気いっぱい。 みんなも元気そうだね。

 あはは~バレたか。ずっとショウが来るのを待ってたんだ。でも、僕もAクラスにやっとなったんだ。うちらのメンバーが協力してくれてね。お頭をAクラスにするぞってみんなで点数くれて・・・・・・ちょっとずるいけど、Aクラスになることができた。もしよかったら、Lip Magic Generations のメンバーに入れてほしいんだ」


「まぁ、いいんじゃないか。みんなで協力して点数伸ばすのも、実力のうちだからね。胡桃をL・M・Gに入れてもいいかな?」

「ショウもそのつもりで連れてきたんでしょ。いいんじゃない」

 みんなの賛同も得られた。今日から胡桃もメンバーだ。


 ――□◆□――


 その後、手分けして被疑者が住んでいそうなところを探してきたが、見つからなかった。

「痕跡を残さないだけあって、見つけるのは容易じゃないな」

「クロがいたらすぐなのにね。 あっ、……ごめん……」


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