1 奪還


 ショウは羽ばたいていた。・・・・・・天使と悪魔の翼で・・・・・・


 瞳からは止めどもなく涙が流れ落ちていた。


『クロ……』


 仲間が近寄ってくる。


 ・・・・・・クロと美夜を除いて・・・・・・


 それをエクスマキナたちが攻撃しようとしていた。


「やめろ!」――私は怒鳴った。

「エクスマキナ・・・もう終わったんだ・・・

 デウスエクスマキナの下に一旦戻ってくれ。たのむ――」


 エクスマキナとアンドロイドは攻撃を中止し、ワシントンの方向に向かって飛んでいった。


 私の純白と漆黒の翼は消え、気が遠くなり落下していった。


 ――★彡☆彡★――


 それを受け止めたのは、「瞬歩!」で瞬間移動してきたティアリだった。


 遅れて、雷雷に乗った日葵、ノブ、瑠璃、碧衣、蓮月、紅々李が飛んできた。

 ヨウビはノブに気を失ったまま抱き抱えられていた。


 美夜は光の矢が刺さったまま、気を失っているのか死んでいるのかわからない状態で炎炎の背中にうつ伏せになって乗せられている。


「拠点にもどる力は残っているか?」 ノブはティアリに確認した。

「ギリギリね」

「ショウは奪還した。皆 もどるぞ」


 炎炎と雷雷はひょっこり瓢箪に入れられ、ノブはそれぞれの腕で美夜とヨウビを抱えている。


 ティアリを中心にして、皆がティアリを片手で触る。


 ・・・クロはいない・・・


 ティアリは私を片腕で抱えながら、ノブの肩に手を差し延べ、叫んだ。


「拠点!」


 クロを除き、Lip Magic Generations は拠点に瞬間移動してきた。


 フッと拠点に現れる。

 みな、その場でそのまま力尽き倒れた。


 1日後、まず体力があるノブとティアリが気がついた。

 2日後、日葵と碧衣が目を開く。

 3日後、瑠璃と紅々李、蓮月も気がついた。

 4日後、紅々李に癒され、ヨウビが起き上がった。

 5日後、紅々李とヨウビに癒され私が最後に気付いた。


 私が目を開けたとき、皆、私を囲むように見ていた。


「クロは! 美夜はどうした?!」


「クロはいないわ。 美夜はあそこよ」 そう瑠璃が指をさして教えてくれる。


 フラフラしながらベッドで寝ている美夜の傍に行ってみた。

 美夜は死んだように動かない。


 美夜には依然として光の矢が刺さったままだ。


「美夜、……みやッ!……」


 私は美夜の身体を揺り動かし、名前を叫び続けた。

 美夜が好きなキスもしてみたが、まったく動きも、話もしない。

 ただ、心臓は動いているし呼吸もある。

 原因はやはりこの「光の矢」だろう。


 私も1本刺されただけで、まったく動けなかった。

 心臓の位置にある、アイヌからもらった首飾りが砕けている。


 四肢に4本の矢が刺さっているが、たぶん、矢が心臓を貫く瞬間、お守りが守ってくれたのかもしれない。


 光の矢は抜こうと思っても、まったく抜けなかった。

 ・・・・・・これはデウスエクスマキナの下まで連れて行くしかないのか?


 瑠璃があることを思いついたように、

「この矢、ティアリの『瞬動』で動かせるかも?」


 ――やってみる価値はある。

「ティアリ、頼む」


 ティアリが『光の矢』に触れ、叫ぶ。

「瞬動!」


 ”カラン”・・・触っていた『光の矢』が消え、壁にぶち当たって落ちた。

 全ての『光の矢』を同じように「瞬動!」させる。


 すると、美夜が唸り声をあげた。


「う~・・・ん」


 だがまだ寝たままだ。

 紅々李が「ホーリーライト!」を浴びせ続けること1時間。


 美夜が飛び起きるように気がついた。

「・・・・・・ここは」

「ショウはどうした!」


 私は美夜を抱きしめ、泣きながらキスをした。


「なんだ。ショウらしくもないな。いつもなら頼んでもキスしないくせに」

 美夜がはにかんでいる。


 美夜がハッとして・・・


「ク、 クロはどうした!」


 美夜は周りを見渡しクロを探したが、どこにもクロはいなかった。


 メンバーも下を向き、涙ぐんでいる。

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