9 帰還

 

ノブとヨウビがほぼ同時に異空間から出てきた。


「ノブ、ヨウビ無事だったか! ほかのメンバーがあの球のなかで戦っているようだ。私はいい。 まず彼女たちを助けに行ってくれ!」

 私はエクスマキナゼロに抱かれたまま叫んだ。


「分かり申した」

「はい。お父様」

 ノブが球体の近くに飛んでいき、切りつけるが、球体には反応がない。

「ワシではダメなようだ」

「私がやってみます」


 ヨウビはまず緑色の球の壁を、魔断を纏わせた妖刀イペタムを投擲し切り裂いていった。

 すると交戦中の碧衣とエクスマキナグリーンが姿を現した。


『任務失敗。離脱許可求む』

 エクスマキナグリーンとシルバーが同時に許可を求めているようだ。

『認可』

 エクスマキナゼロの目が光るとグリーンとシルバーの背後に黒い渦を巻いた空間が現れ、吸い込まれるようにグリーンとシルバーが消えた。


 妖刀イペタムは次々、異空間の球体を桃色、青色、黒色、白色、蜜柑色、赤色と切っていく。


 球体はイペタムが切れ目を入れると、桃色や黒色の靄を出したり、水が溢れるように出てきたり白く光り輝いたりしている。

 蜜柑色の球体は甘酸っぱい香りで周辺を満たした。


 赤色の球体を切り裂くと激しく花火のように爆発した。

 すべての球体を切り裂くと、ヨウビが魔力を使い切ったのか、気を失うように倒れてしまった。


 そして交戦中の蓮月、瑠璃、クロ、紅々李が出てきた。

 なぜかティアリはもくもくとミカンを食べている。


 最後に出てきたのが6匹の火龍だった。

 火龍は気が狂ったように、辺りを燃やしている。

 交戦中だったエクスマキナは次々ゼロに許可を求め離脱していった。

 紅々李は倒れているヨウビに気がつき、杖で回復している。


 ――あれは美夜だな。龍になっている美夜を見るのは初めてだ。綺麗な龍だ。なんか、かっこいいな。・・・・・・私は見惚れてしまっていた。


 6匹の火龍はところかまわず街を焼き尽くしている。

 ビルから火柱が立ち、アスファルトは溶解し火の海に包まれていく。


「あちゃ~ また美夜が暴れてるよ。しかもあんなに火龍ドラゴン出しちゃって。あのままにしておくとシカゴなくなっちゃうな」

「シカゴもだが、この火が森に燃え移ると、大規模な森林火災を引き起こしかねん」


「瑠璃、美夜をお願い。 私は他のドラゴンを相手にするわ」

「ワシも手伝おう」


 瑠璃と碧衣、ノブが叫ぶ。

「水龍!」

「風龍!」

「土龍!」

 それぞれの龍が具現化された。


 クロ、紅々李、蓮月、ティアリはエクスマキナゼロに抱かれている私に気がつきこちらに飛んできた。

 しかし、見えない壁があるのか近づけないでいる。


 美夜が具現化したドラゴンは、土龍が「土の玉」をドラゴンの口の中に投げ込み、口から出している炎を鎮め、風龍が強い風で空高く巻き上げていくと消えていった。


 残るは美夜本体の火龍だ。

 熱い熱波によりできた陽炎の中に火龍が揺らめいている。


 瑠璃が水龍に命じ、大規模な激しい豪雨を降らせる。

 街に燃え移っていた火は鎮まり、燻ったアスファルトから蒸気が音を立てながら立ち昇り、辺り一面真っ白な靄が立ち籠める。


 瑠璃が幾重にも巨大な水の玉を火龍の顔にぶつけた。

 火龍が我に帰ったようで、

「ショウはどうした!?」といって、普段の美夜に戻った。


 刹那・・・美夜、瑠璃、碧衣がマナダウン状態で倒れた。

 ノブはかろうじて立っている状態だ。

「紅々李、回復を!」――私は身動きできない身体で叫んでいた。

「皆、無事で良かった。ノブ、後は頼んだぞ」

「すまん。ショウ。・・・身体が動かん」



 クロ、紅々李、蓮月、ティアリが見えない壁に藻掻きながら、悲痛な顔でこちらを見つめている。



『デウスエクスマキナ 帰還します』

「みんな、おれは大丈夫だ。拠点へ戻ってくれ」


 ティアリがクレオパトラに促され、何か気がついたようだ。

「瞬歩!」

 私の目の前にティアリが現れると同時に――


 私はエクスマキナゼロに抱かれ、黒い渦の中に消えた。

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