1 拠点(セントローレンス島)

 この島には海馬とど海象せいうちなどの海獣や馴鹿となかいはいるが、人は住んでいないようだ。

 それほど大きな島ではなく、全長150kmほどのブーメラン型をした島である。


 島の南側にはポリニア(冬でも凍らない場所)と呼ばれる海面を覗かせている。

 今は厳冬期にあたり、ポリニアを除き、島は流氷で覆われ、見渡す限り一面の雪原だ。日中暖かくなっても氷点下を上回ることはない。


 今の時期なら、歩いてでも北アメリカ大陸に渡れるだろう。


 とりあえず、フロートシップで降り立ち、拠点作りを始める。

 まず美夜が周りの雪と氷を溶かしていく。

 10分もすると高さが10m、半径30mくらいの円柱にくり抜かれた氷の壁に囲まれた穴ができる。


 その中にフロートシップを入れる。


 地面がむき出しになったので、ノブが「一夜城!」で簡単な城を作る。

 城の窓には私がガラスがわりに、氷で窓を作る。

 瑠璃が地面に手を当て、「温泉!」と叫ぶと、温泉が吹き出してお風呂も出来上がった。

 氷で上に出る階段を作れば拠点の完成だ。


 むき出しになった地面には、蓮月がクローバーを芽吹かせ、さらにメイフラワーやスターフラワーなどを咲かせ、花畑にしている。

 最後に魔法陣から「花子ちゃん」を蓮月が呼び出し、トイレも設置した。

 あとは適当に氷を溶かして横穴を作り、それぞれの個室や稽古場も作った。

 城と部屋の明かりは、フロートシップや雷雷から電源をとれるので問題ない。

 光を灯すと、周りの氷が青白くキラキラ瞬いている。

 風は防がれ、温泉もあるためか暖かい。まるで雪原にできたオアシスのようだ。


 拠点を作ったのには理由がある。

 一度拠点を作ってしまえば、ティアリの瞬間移動で戻ってくることができるからだ。

 ここからの移動はフロートシップは使わず、天使(悪魔)の羽で移動しようと思っている。

 毎日少しずつ移動し、ティアリの能力で戻ってくる。

 翌日、ティアリに昨日移動した場所からまた飛んで範囲を広げていくのだ。


 また、敵にこの拠点を悟られないためにもティアリのスキルは活用できる。敵のレーダーにはティアリの瞬間移動は捕らえることができないだろう。

 最後の手段として、ここまで瞬間移動できれば、フロートシップでデウスエクスマキナの勢力範囲から逃げ出すことも可能かもしれない。


 一度フロートシップに戻り、皆で打ち合わせを行う。

 拠点に置いてあるフロートシップは、会議室代わりに使う。


 私は皆に私の作戦を伝えた。

 最終目的地はデウスエクスマキナの本拠地、人神世界のペンタゴンのある場所ワシントンD.Cだ。

 まずは海沿いに南下していく。カナダのバンクーバーを通りアメリカのサンフランシスコ辺りまで行く。ここまでで約5000km。


 そこからはひたすら約3500kmの距離をワシントンまで飛んで行く。

 1日約500kmを飛ぶとして、最短で17日かかることになる。

 途中、戦闘も幾度か行わなくてはいけないだろうから、休憩も含め約1か月は見込んでおこう。


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