12 空飛ぶ魔物


 その後、札幌にフロートシップで飛んで行った。


 札幌にはギルド支店があって、支店に手配してもらいカプセルホテルに宿をとった。乙女たちは1人1カプセルなので不満な顔をしていたが、古典的な宿はこの世界だとかなり割高だ。


 人神世界だと、外国人が日本に来て畳の部屋を見て喜ぶのと同じ感覚なのだと思うが、金額が高いというのは今の我々には厳しい。

 カプセル食は味気ないが、ゆっくり体を休めるのはありがたいことである。


 ノブがいるためなのか、あの変な遊びもやらなくなって、気分的には安心するのだが、少し物足りないと思うのは、私が毒されてきたためだろうか?


 翌日、軽く朝食を済ませ、札幌を旅立つ。


 途中、魔物「ひぐまん」を見かけたのでお腹もすいていたし、狩ることにした。


 乙女たちは、フロートシップのガルウイングのドアを開け、天使(悪魔)の羽で急降下し落ちていく。

 美夜と日葵はひょっこり瓢箪から炎炎と雷雷を出し飛び乗る。


 魔物「ひぐまん」は10匹ほどいたので、それぞれ1匹ずつ相手するようだ。

 私は上空からフロートシップでノブや白狐のヨウビと一緒に見守ることにした。

 乙女たちは天使のように飛びながら、得物を使って魔物「ひぐまん」を切り刻んでいく。

 すると、「ひぐまん」が足をロケットのようにして、飛び上がった。

 ――すごいな! この世界の魔物はロボット化しているぞ。


 ロボット「ひぐまん」は胸につけていた三日月型のブーメランを手に持った。

 シュッ と乙女たちに投げてくる。


 ―――やばい! 乙女たちの服が切り刻まれて、見てはいけないものまで見えそうだ。

「お父様! 見てはいけません」と白狐のヨウビが目隠ししてきた。

 たまらず、高みから見ていた美夜が大太刀「不死鳥の舞」で「ひぐまん」をスパッと切ってしまった。そして日葵が「稲妻!」を、雷雷が雷球を浴びせた。

 切られた「ひぐまん」と雷を浴びた「ひぐまん」は、魔核しか残っていなかった。


 数匹の「ひぐまん」がたまらず逃げていく。

 クロが「漆黒!」で目暗ましする

 そこを紅々李、碧衣、蓮月、ティアリ、瑠璃たち乙女が得物で切り刻み、仕留めた。


――🐻🐻🐻――


 まずは、今後の食事用に熊肉の燻製でも作ってみよう。

 カプセル食だけじゃ味気ないからね。

 私は、ノブと碧衣、美夜に協力してもらって、熊肉の燻製を作っている。

 まずノブに燻製窯を作ってもらう。ノブがいると土のスキルで簡単に窯が作れる。

 碧衣が風のスキルを使って熊肉をある程度乾燥させ、美夜が火のスキルで白樺の木に着火し、その上に樹皮を置き、煙で燻せば熊肉の燻製が出来上がる。

 保存も利くし、美味しさも増す。少し容積も小さくなるので持って運ぶのにとても良い。


 ついでに、私は「ひぐまん」の足の構造を調べている。

「ひぐまん」の足にロケット噴射器がついている。驚いたことにガスや液体燃料がない。どうやって火を出しているんだろう。


 そういえば、魔神世界の「ひぐまん」は口から火を吐いていたな・・・・・・もしかするとそれを応用しているのかもしれない。いろいろな進化があるものだ。

 その間に、乙女たちはフロートシップで別の服に着替え、玉手箱に服を入れている。

 *玉手箱は入れている時間の10倍、時間が戻るという宝の箱だ。破れた服も短時間で元に戻るのだ。


 さて、お昼にでもしよう。

 お昼に熊肉のバーベキューをしながら今の戦いを振り返ってみる。


「ここの魔物って、なんかすごい武器もってるよね」

 蓮月が驚いたように、つぶやく。

「たぶん、この世界の魔物はここの文明の産物の機械を食べて進化しているんだと思う」

「飛んできた時は、ビックリしたよ」


「得物だけで無理そうなときは、遠慮しないでスキル使っていこう」

「うん。分かった」


「これからどんな魔物が出てくるか分からないし、機械族との戦いもある。油断しないで行こう」

「お父様。私も闘ってみとうございます。私にも天使の翼作ってくれませんか?」


「作るのはいいんだけど、オレとしてはあまり戦いに参加してほしくないな」

「このイペタムの刀もありますし、それほど心配されなくても自分の身は自分で守れます」


「うん。分かった。最初は守りからな。訓練して香ちゃんが認めるようになったら一緒に戦ってみてくれ」

 ――― ハクビもけっこう戦い慣れしてたからな。大丈夫だとは思うが念のためだ。

「今日は釧路で一泊する。そこから国後、択捉、千島列島を通ってカムチャッカ半島に行く。そこからベーリング海峡を渡って、セントローレンス島に行く。たぶんここまでは機械族の進行はないと思う。一度そこを拠点に、北アメリカのアラスカ地方を偵察したい。いいかな?」


「分かった。その辺の地理感はノブやショウが一番分かるようだし任せるよ」

「ノブ。どうかな?」


「いいと思うぞ。ただ今は厳冬期だからな。防寒対策だけはしっかりした方が良い」

「なるほど。次の釧路で準備しよう」


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