9 フロートシップ(2)


 ――500万龍って――


 どうしようと思って、雨が降りそうな外を眺めていると、1台の古そうなフロートシップが雨ざらしになっているのを見つけた。


「あの。あそこに置いてあるフロートシップは売り物ですか」

「あ、あのフロートシップはお客様が新車を買われたので、廃棄処分にするために置いてあります」


「あのフロートシップは買えませんか」

「あまりお勧めできませんよ。自動航行機能がついていませんし、あまり速度も速くありません」


「少し乗ってみてもいいですか?」

「はい。どうぞ」


 私は外に行き、そのフロートシップまで店員に案内され乗り込んだ。

 そのすぐ後から、ノブとクロ、紅々李も付いてきて、一緒に乗り込んできた。

 ドアがガルウイングになっている。

 中は、運転席が真ん中になっていて、両脇の助手席に1人ずつ座れる3席シートだ。


 後ろの席が、2人、2人、3人で全部で10人座れるようになっている。

 少し小さいバスのような感じで、中はそれなりに広い。荷物もたくさん積めそうだ。

 運転席には、最初から操舵レバーが2つ付いていた。


 早速、動かしてみる。

 最初にスタートボタンを押す。モニターが前面に映し出される。

 3Dルームと同じように上に行くようにレバーを引くと、上に垂直に浮き上がった。

 右に左にレバーを倒すと、ゆったりした動きで右に左に動く。


 なんかこっちの方が人神世界で経験した車の動きに似てるな。

 元の位置に戻ってきて、下に行くようにレバーを押す。

 フロートシップから降りて、店員に聞いた。


「このフロートシップは、いかほどですか?」

「こちらは、実際には反重力装置だけ残して、全てリサイクルする予定でしたので反重力装置だけの値段になります。100万龍となります」


 そこにクロが難癖をつける。

「リサイクルするってことは、リサイクル費用がかかるはずにゃ。工賃含めればもっと安くなるはずにゃ」

「はぁ確かに……では50万龍ではどうでしょう?」――いきなり50万龍になったぞ。


「もう一声にゃ」

 そこに3Dゲームに満足した顔で美夜がやってきた。


「これは龍人族の方もご一緒でしたか。分かりました。30万龍にします。これ以上は……」

「はい。30万龍で買います」


 100万が30万になった。さすがクロだ。それにしても龍人族はかなり優遇されているんだろうか?


「会計はどうすればいいですか?」

「はい。どなたが支払われますか?」

「私が支払います」

 店員は、スマートフォンのようなものを操作し、私にモニターを見せた。


「この金額でよろしいですか」……モニターには30万龍と値段のところに表示されている。

「はい。お願いします」

「では、ここに人差し指を置いてください」

 ピンポーン! と音が鳴り、会計が済んだようだ。


「はい。ありがとうございます。このフロートシップはあなた様のものです。また当店京都フロートシップ販売店をご利用ください」


 メンバーをフロートシップに乗せ、その店を後にし、京都ギルド支部に向かった。

 ギルド支部の駐車場に、フロートシップを降ろした。


 ギルド支部には、簡易な電子図書館がある。簡単に言うとパソコンなのだが、その端末に調べたい言葉を話すと、勝手に調べて情報を出してくれる。


「フロートシップの構造」

 現在ある最新式のフロートシップの展開図が表示された。

 床下に反重力装置がある。

 フロートシップの動力源は、超電導電池のようだ。超電導電池から供給された電気が反重力装置を稼働させ、電気が供給されることで上昇し、電気を少なくすると下降する仕組みのようだ。さらに前後左右への移動は風力により行っている。


 フロートシップに積載されている電力の供給は、雷など空気中に帯電している電気を取り込むらしい。

 反重力装置を作れるわけではないが、かなり簡単な仕組みだ。

 これなら……


 フロートシップを改造することにした。

 主な改造部分は以下の6点だ。


 1)電気は日葵や私が雷を作ることで、超電導電池に電気が蓄電できるようにする。

 2)いざという時に加速できるように、碧衣や私が前後左右に作った噴出口から風を出せるようにする。

 3)フロートシップが飛んでいるときは安全装置が働いてドアが開かなくなっているが、その安全装置を取り外し、いつでも脱出できるようにする。(良い子はマネしないでね)

 4)後部座席の上部から顔や身体が出せるように、サンルーフを設け開閉できるようにする。

 5)フロートシップの外側のボディーにカメレオンデビルの革を貼り、ステルス化(透明化)できるようにする。

 6)前と後ろのライトが開き、魔弾が撃てるようにする。魔弾は運転席両脇の2人と最後尾の2人が撃てるようにする。


 剣神世界での鉄の加工技術を使えば、それほど難しい加工ではなかったので1週間ほどで完成した。

 メンバーは私の改造とは別に、フロートシップの内装を思い思いに面白がって作り直している。ピンク色のカーテンやお花が飾ってあったり、かなり乙女チックな内装だが、あまり気にしないでおこう。


 フロートシップの後部座席には、テーブルもあり応接セットのようになっている。


 改造したフロートシップは、内部はファンシーで、外部はちょっとした戦闘機のようになってしまった。

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