3 Lip Magic Generations 合流


 アトランティス行の移動魔法陣をリュックから出す。

 その上に乗り、シュッとアトランティスに戻ってきた。


「ティアリはいるか?」


 ティアリはエルフが珍しいのか、エルフの子供たちと綾取りや折り紙をして遊んでいた。

 エルフの子供といっても、50歳は過ぎているらしいが、見た目は子供である。

 綾取りや折り紙は、剣神世界で日本に来ていた時に覚えたようだ。


「なんだい。ショウ」

「一度、日本に移動魔法陣で飛ぶぞ。それからまたアトランティスに戻ってきて、皆で日本に行きたい。そういえば、瞬間移動は一日に何回出来るんだ?」

 そこにクレオパトラが出てきて


「ティアリの魔力と距離に比例するんだ。アトランティスから日本だとティアリの今の魔力では1日に2回が限度だ」

「そういえば、別世界にも瞬間移動はできるのか?」

「可能なんだが、今のティアリの魔力ではできない。もう少し魔力を高める必要がある」

 ――別世界に移動できるようになると、剣神にもすぐに行けるし何かと便利なんだけど。ティアリの空間魔術は、もっといろいろ使い道がありそうだし、未知数だ。


「ふ~ん。この世界で修業して魔力高めてみるよ」

「じゃ、ティアリいくぞ」

「みんなはもう少し待っててくれ」


 ティアリを移動魔法陣の上に乗せ、私が魔力を通すとティアリが消えた。

 続いて私も同じように魔法陣で移動する。

 京都、稲荷大社前に転移してくるとティアリが驚いた表情で待っていた。


「日本って発展してるんだな。あの空に浮いているのはなんだ?」

「天上族が住んでいる家らしいぞ。飛び回っているのは、人を乗せて移動する車のようだ。この世界全体の科学文明が発展しているようなんだ。オレにも分かんないものがたくさんありそうだ」


「ティアリ、来たばっかりで悪いんだけど、またアトランティスに戻るぞ」

「うん。分かった。わたしに掴まって」

 と言われ掴まったら、ギュッと抱きしめられキスされた。

 そして、パッと瞬間移動し、アトランティスにそのままの状態で現れた。


「ア~~~~ッ」


 もちろん、乙女達が騒ぎ出す。

「ショウ。私たちがいないところで何やってんのよ!」

「これはティアリが……」……なんか言い訳にしか聞こえないよね。


「ティアリ、抜けがけはなしだよ」瑠璃が諌める。

「えへへ~ だって二人だけになったチャンスだったから……ついね」


「ティアリ、続けてで、悪いんだけど、今度はみんなで京都へ飛んでくれ」

「分かった。みんないつものように円陣になって」

「もう……まったく、ショウも気を抜いちゃダメだよ」と碧衣たちに諭された。

「行くよ。京都!」

 今度は全員で京都にやってきた。

 初めて見る龍神世界の京都にみんな驚いている。

 稲荷大社に寄った後、少し京都の町並みを散策してみることにした。


 京都の景観は、人神や剣神世界とあまり変わりない。

 大きな違いは、アスファルトや電線がないことであった。

 人神世界でのアスファルトは、すべて石畳だと思ってもらえばいい。


 人神世界でも京都では市街地を除きできるだけ電線を隠しているが、龍神世界の京都には目障りな電線や電柱はまったくない。ゲンビに念波で聞いてみたところ、電線そのものをこの世界では使っていないそうだ。


 地上の観光施設は、マイクロ超伝導装置に蓄電し、必要な電気を供給しているようである。

 その電気は、空中に浮かんでいる浮島に導雷針があり、自然界で発生した雷を超伝導蓄電装置に保管しておき、1年に1回程度供給装置を取り付けた空飛ぶ車が来て、マイクロ超伝導装置に蓄電するのだそうだ。

 他の国では、その電力量では不足するため、宇宙に設置した太陽光パネルで電気を作りマイクロ波により送電し、砂漠や海上に浮かべた受電装置で電気を供給しているところもあるようだ。


 観光施設で働いているのは主に人族だった。


 以前はアンドロイドが働いていたらしいが、現在はアメリカから逃げ延びてきた難民の人族を天上族が受け入れ働かせているらしい。

 ゲンビから聞いた話では、北アメリカの難民は、南アメリカ方面には、メキシコ国境付近に大きな壁があって逃げられなかったらしい。空から逃げようとしても壁に設置してあるレーザーで落とされるため、北側から逃げてきたようだ。


 Lip Magic Generationsの乙女達は、自動ドアや電子ゲームなどもの珍しいものばかりなのですぐに店の中に入っていく。


 私が店の外で待っていると、舞妓さんが声をかけてきた。

「ちょっとそこのお侍さん。寄ってかないかい」

 ……私のことだろうか?  腰に太刀をぶら下げているからお侍さんと間違えたかな?


「こんにちは。あの、舞妓さんは祇園で働いてるの」

「そうよ、お兄さん。楽しいことして遊びましょ」

 それを見てた美夜が出てきた。


「えっ! 龍人族の方とお知り合いどすか。大変失礼いたしました。失敬します」

 舞妓さんはすごく恐縮して、立ち去ろうとしたが引き止めて聞いてみた。

「あの、すみません。この辺にギルドはありませんか?」


 ……お金やポイントのこともあるし、まずギルドで確かめておかないといけない。

「ギルドならこの先の京都御所にあります。あんたたち冒険者さんどすか?」

「そうなんです。ここのギルドに確認したいことがありまして」


 さらに他のメンバーが集まってきた。

「なんと、ぎょうさんべっぴんさんがおりますね。これはうちの出るまくなかったわ。またよろしゅうに」


 舞妓さんに手を振って別れた。

 ……少し芸者遊びもしてみたかったけど、まずはギルドだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます