2 龍神世界の科学文化と機械族


「お父様! お願いがあります」

「ん? なんだ」

「稲荷うどんが食べたいです!」

「な~んだ。そんなことか。分かった。ちょっと待ってろ。そんなこともあろうかとカバンに仕込んできたんだ」

 お湯を入れて、5分待つ・・・・・・

「さ 出来上がりだ。食べてみろ」


「う うまいですぅ!」――ゲンビは涙を流しながらうどんを啜っている。


「食べているところ悪いが、この世界には、禁忌はあるのか?」


「ないようなものですね。電気はもちろんですが、反重力装置、超伝導装置、核融合、量子コンピュータ、航空力学、量子力学、AIなどほとんどのものが利用できます。3つの条件を守っている限り、禁忌事項は特にありません」

 3つの条件とはエルフが言っていた、命や財産を奪わない、自然破壊をしないことだろう。


「分かった。人神や剣神、魔神の知識は使っていいということだな」

「はい。この龍神世界はお分かりだと思いますが、力が全てという世界です。あらゆる力、腕力、魔力、体力、美力、知力など全ての力を駆使して勝つことが求められている世界でした」


「でした・・・・・・ということは今は違うということか?」


「ええ。50年前まではそうだったんですが、機械族が出現してから、それが有耶無耶になってます。人族は一際知力に長けていましたから、知力使って量子コンピュータによる人工知能「デウスエクスマキナ」を作り、敵対する種族の能力を分析し上位種に勝つまでは良かったのです」

「まぁそれも力のうちだからな」


「はい。ただ機械族が台頭してから、力の関係が崩壊しつつあります。10年に1度の世界大会も行えなくなりましたし、まず機械族を倒さないとこの世界は維持できないかもしれません。現在では、アンドロイド関係のロボットやエクス・マキナなどはどの国でも使用されていません。一部安全を確認されたAIを搭載した自動車、航空機、作業用ロボットがあるくらいです」


「それは、やはり機械族が関係しているのか?」


「ええ。50年前まではアンドロイドやロボットは大量生産されていて、各種族の代わりに仕事をしていたのです。50年前にデウスエクスマキナが覚醒してから、高度なアンドロイドが次々乗っ取られてしまったんです。乗っ取られたアンドロイドはエルフを除き全ての種族に攻撃を仕掛けてきました」


「なぜエルフは攻撃されなかったんだ?」

「エルフはもともとアンドロイドなどを使ってませんでしたから」

「なるほど、エルフは自然と共生しているからな。あまり機械も使っていないようだった」


「アンドロイドがデウスエクスマキナに乗っ取られてから、この世界はどうなったんだ?」

「私は日本から出たことがないので詳しいことはよく分からないのですが、各国で働いていたその頃のエクスマキナはあまり攻撃力はありませんでしたから、冒険者などがなんとか倒すことができました。でも、このままだと機械族が支配する可能性が高いと思われます」

 ……少し機械族のことを調べる必要がありそうだ。


「ところで、ミヤビはどうしてる?」

「ミヤビは、私たちが龍神世界に神使として来た時に、ヴィーナスさんが来てお父様のこといろいろ聞かれた後、ヴィーナスさんに心奪われてしまって……」

「ミヤビはどこにいるんだ?」


「今は北アメリカにいるようですよ。念波が通じないのです。どうやらヴィーナスさんが関係しているようです」


「困った奴だな。そのうち私も北アメリカに行ってみるよ」

 ……前前々世の事を考えると、私も息子のことは言えないけどね。

「日本の現状も確認できたし、一度アトランティスに戻ってティアリを連れてくるか。すぐ戻る」

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