4 龍神世界(後編)


 人族が最上位になったのである。


 人族は、ある人工知能を開発した。

 それが「デウスエクスマキナ」である。

「デウスエクスマキナ」は、各種族の弱点、攻撃方法を計算し人族に有利な戦い方を提示したのだ。


 しかし、それが裏目に出る。

「デウスエクスマキナ」はその後、人族の弱点、欠点、存在悪を結論として導き出し、人族の排除を考えるに至った。人工知能が自我を持ち独立してしまったのである。


「デウスエクスマキナ」は密かに自分の子供といえる「エクスマキナ」や「アンドロイド」を増産し、数年掛け機械族を作り上げてしまった。

 機械族は、「3つの条件」を守ることもなく、人族は北アメリカ一帯を支配していたが、機械族は最初に人族の国の一部(人神世界のUSA)を支配した。


 この龍神世界が「力」による支配だとしても、「3つの条件」を守ることなく、それを破った者には、創造神「龍神」の鉄槌が下るのだが、機械族はもともと「生命」はないため、「龍神」といえども機械族に対してなす術がなかった。


 機械族が支配する国から逃れた人族は、北アメリカ大陸の北部(人神世界のカナダ)や、難民となり天上族、龍人族などが支配している国に逃げ延びた。


 北アメリカ大陸の北部に逃げた人間は、急激な人口増加に伴い食糧難となり、救いを求め悪魔と契約し魔物化しているものも少なくない。実質的に、北アメリカ北部は、悪魔と魔物が支配している国といってもいいだろう。


 今現在、獣人族と機械族が混戦状態に有り、獣人族の国である南アメリカ大陸が戦場になっている。

 このままではいずれ世界が「機械族」に支配されるとの恐怖感から他の種族総出で機械族を殲滅すべく南アメリカ大陸または北アメリカ大陸で戦いを繰り広げていた。


 世界大会は50年前から行われていない。

 とても大会を行える状況ではなく、龍神世界は世界大戦状態にあったのである。


「このように、もしかしたらこの世界は滅亡するかもしれん。・・・ププ(念波)」


 以上が、長老が笑いながら教えてくれたことだ。


 ヨウビが急にトランス状態になった。


「クロ、久しぶりだな」

「なんだ。龍神かにゃ。なんか用かにゃ?」

「もう2400年も経つ。お前が人神世界に行きたいのを許可したのは儂だぞ」

「ふん。厄介払いしただけだにゃ」


「そうつれなくするな。龍神世界のことはシオンから聞いたとおりだ。ショウ、よくぞ龍神世界に来てくれた」

「龍神様、お久しぶりです。なんかずいぶん変わってしまったようですね」

「そうなんだ。儂ではどうにも解決できなくなってしまった。機械が相手では最後の手段も使うことができない」


「ショウよ。デウスエクスマキナと交渉してきてくれぬか?」

「これまで、いろいろな種族が機械族と戦ってきてるんでしょう? 我々では話をするどころか、たどり着くことも難しいと思いますが――」

「そうかもしれぬな。しかし一縷の望みをかけたい。龍神世界にいる種族の弱点、防御・攻撃方法は、デウスエクスマキナに見切られておるのだ」


「一縷の望みに託すほど、追い詰められているということですか?」

「そうだ。お主らはまだデウスエクスマキナに確認されていない。つまりお主らの攻撃方法や弱点は分かっていないということだ。デウスエクスマキナはお主らにきっと興味を持つはずだ」


「だから、交渉できると」


「そうだ。だがそう簡単にはいかないことも分かっている」

「もし失敗したらどうなるんですか?」


「この龍神世界だけが機械族に支配されるのであれば、それも致し方なかろう。しかし、他の世界に影響が出るかもしれんのだ」

「機械族が世界樹の穴を通して、ほかの世界に行く可能性ですね」

「そうだ。実は世界樹の通路はアトランティスにあるだけではない。海底にも通路はあり、4世界に行くことができる」


「なるほど、剣神や魔神、人神世界にも影響が出る可能性があるというわけですか」

「そういうことだ。これまでの活躍を剣神や魔神に聞いている。お前たちは戦うたびに成長しており、昔の仲間も集まっているようだ。この状況を打開できるのはお前たちしかいないだろう」


「かなり厳しい戦いかもしれませんね。私だけならいいのですが、仲間も巻き込むのは躊躇われます」


「何言ってんだ。ショウが行くなら、我々が行かなくてどうする」

「龍神の頼みなら断るけど、ショウがやるなら一緒にいくにゃん」

「お兄ちゃん。そういうのは一人で抱え込むもんじゃないよ。ノブもいるし、みんなでやった方が成功率は上がるよ」

「そうだぞ、ショウ。儂にも協力させてくれ」

「うん。みんなでやれば、機械なんてペシャンコよ」

「束でかかってこようと、ぜんぶ吹き飛ばしてあげるわ」

「私の力がどこまで通用するかわかりませんが、お助けしたいと思います」

「全部、機械なんてビリビリさせてあげるわよ」

「オレもどこまで出来るかわからんが、楽しめそうだ」


「ってことで、決まりね。お兄ちゃん」

「分かった。龍神様、やれるところまでやってみます」


「そうか。ありがとうショウよ。儂に協力できるところがあれば、なんなりとヨウビに話してくれ」

「分かりました。では、まず私の前々世での子供に会いたいのですが、どこにいますか?」

雅尾みやび幻尾げんびだな。雅尾はヴィーナスとともにおる。幻尾は京都の稲荷大社におる」

 ――幻尾は京都で神使としての勤めを行っているのであろう。


「雅尾はヴィーナスと一緒に何してるんですか?」

「簡単に言うと、ヴィーナスの手伝いをしている。

 ヴィーナスはこの世界でお前が来るのをずっと待っていたのだぞ。

 お前が2400年も人神世界にいるもんだから、お前が剣神に来たと聞いて、この世界で生まれ変わって待っておる。今は機械族と戦っているようだ」


「分かりました。ではまずこの世界の日本に行ってみます。みんな行くぞ!」

「おぉーーーー!」


 ・・・第Ⅳ期につづく・・・

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