2 ヒデ

 時はヒデがアフメスと別れ、蒸気新幹線に乗った時までさかのぼる。


 9月末

 ヒデはケープタウンの王様が住んでいる宮殿の門まで来ていた。

「なんとか逃げ延びてきたが、南アフリカ王国の王様に謁見できるだろうか?」


 ヒデは、不安な気持ちでいっぱいだった。


 仮に謁見できたとしても、ここの王様がヒデを雇ってくれるかどうか分からない。

『そのときは、草履取りでも何でもいいから使ってもらおう』


 ヒデは門兵のところに行き、声をかけた。

「王様に謁見したいのですが……」

「ここはお前のような見すぼらしいものが来るところではない! さっさと立ち去れ!」

「これを冒険者のショウ様から預かっております。ぜひ謁見を……」

「なに! ショウ様だって!?」


 門兵は以前、ショウたちとの一件があり、少し考えたあと

「少し待っておれ、この書状を執事に見せてくる」


 門兵が書状を持っていくと、今度は慌てて執事と一緒に戻ってきた。


「王様が謁見されるそうです。どうぞこちらへ」

 言葉遣いまで変わり、恐縮しているようだ。


 執事に案内され、ヒデは謁見室まで来ていた。

 間もなく、ノブ王が現れる。ノブは、ショウの親書を見ながらやってきた。


 ノブを見るなりヒデは涙を流した。

「もしや、信長様ではありませんか?」

「ヒデというからもしかしたらと思ったが、お前は秀吉か?」

「はい。やっと会えました」

 ヒデは、大阪城で死んだあと、信長の後を追って転生し、この剣神世界にやってきていたのだ。しかし、見つからず何度も生まれ変わることになる。


「ショウからの書状だと、お前はエジプトにいたのだな。お前、私とまた一緒に組んでやってみないか?」

「もちろんです。草鞋取りでも、何でもいいのでここで使ってほしいと思っています。ただ、私は今エジプトの次期王であるアフメス様に仕えております。いずれ恩義を返すため戻りたいと思っております。それでもよろしいでしょうか?」


「あはは。あいかわらず忠義が堅いやつだな。好きにするがよい」

「勿体なきお言葉。痛み入ります」


「ショウの書面を読むとやはりかなりの切れ者のようだ。お前を大臣に取り立てよう。わしはとりあえずこのアフリカを統一しようと考えている。それまで付き合え。お前は調略が得意だったな。やり方は任せる。最初にお前が交渉して国を落としてこい。ダメなときはわしが乗り込み、国を奪い取って行くことにする」

「ははっ 仰せのままに」


「あまり畏まるな。わしは昔の信長ではない。だいぶ転生を経て丸くなったんだぞ。それから二人の時はノブでいいからな」

「いえそんな滅相もない。せめてノブ王と呼ばせてください」

「まったく、まぁ呼び方などどうでもよい。好きにするがよい」


 こうして2人は約500年ぶりに出会い、結託することとなった。

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