8 日本(剣神世界)その1

 翌日、ニューデリーから日本に向けて出発した。

 ティアリの修行も兼ねているため、日本に行くついでに途中のギルド支部の近くにある主だった魔窟を攻略していく。


 ニューデリーからシンガポール、香港、台湾を経由し日本の江戸まで行く予定だ。


 換金したお金は必要経費を除いて人数割りするが、魔物は全てティアリが倒したことにしてポイントを入れていく。


 ティアリはそんなポイントとかクラスとかどうだっていいとか言っているが、将来的にSクラスになった時に開示される情報や特典が受けられないと面倒なことになりそうなので、同じポイントになるまで集中的にティアリに入れることにした。


 シンガポールのラッパライオン

 香港の魔天ロウ人形

 台湾の故宮博物院に住むという白菜石などを倒していった。


 日本に着く頃には、途中倒した魔物も含めると

 *ギルド会員証メモ欄 10月30日 50000P 累計543210P

 となっていた。ティアリもA級である。


(作者の都合で、偶然ティアリも含め皆同じポイントだ)


 ――◆◇◆――


 11月3日、江戸に帰ってきた。


 今週はそれぞれの家で家族団らんだ。

 ティアリは立花家に招待した。


 その夜のこと。


 私はいつものように瑠璃と同じ部屋で寝ていた。

 ティアリは隣の部屋である。


 深夜0時、ティアリが襖を開けて入ってきた。

「いつもベッドだから少し寝付けない。隣に寝てもいいか?」

 ――えっ。 どうしよう?


「別にいいんじゃない。じゃ私、隣の部屋に行くね」と

 瑠璃が寝ぼけ眼で襖を閉め、枕を持って隣の部屋に行ってしまった。

 ティアリが私の布団の中に入ってくる。


 ――ま、まずい! 瑠璃がいないとかなりまずい!!


 2人で布団に入って、本当の初夜のようだ。

 ティアリは寝ぼけているのか、大きな胸を押し付け足を絡めてくる。


 そういえば、まだティアリの防具作ってなかったな。

 今度作ってあげようかな――ってそんな場合じゃない。

 女性と二人っきりとか、あのリオで移動魔法陣に乗る時以来だ。

 あの時は何もできなかったなぁ。

 でもここで何もしないというのも男としてどうなのか!?


 よぉし、ここは……

「ティアリ!  頂きます!」・・・『まだダメよ! 転移!』

 突然クレオパトラが出てきて、瑠璃の布団に飛ばされたのであった。

(クレオパトラはこの世の理R18を守るべく、仕方なく出てきたのだった)

『ごめんね。本当は応援してあげたいんだけどね』


「もう、だらしないなお兄ちゃん」

 襖が少し開いている。

「ってお前、見てたのか?」

「フフ。今後の参考にね」

 ――少し安心する私がいた。


――⛄☃⛇――


 12月になり

 私は、ティアリのプロテクターを作るべく、富士樹海に来ていた。

 必要な分のケサランパサランを狩るためである。

 今回のメンバーは私の他に、瑠璃、日葵、ティアリだ。

 日葵は前回(第一期参照)来た時に日葵の感であの鳥居のある場所を探し当てていたので、探索が楽になる。


「富士山って綺麗な山だなぁ」

 ティアリは初めて見る富士山霊峰に感激している。

 これだけの標高の山が単体で眺められるのは世界でも数少ないと思う。

 時期は冬なので富士樹海にもうっすらと雪が積もっていた。


 防寒具は着込んできているが、ティアリは南国の生まれだ。

 寒いのかなと思って見ていると、雪を見て犬のようにはしゃいでいる。

 日葵は犬族、ティアリは獅子族なので、日葵は犬にティアリはライオンになり、雷雷も混じって一緒に駆けずり回っている。

 私と瑠璃は、こたつで蜜柑でも食べたい気分だ。


 しばらく樹海を進むと、日葵があの鳥居を見つけた。

 少し標高が高いためか、あの鳥居も雪を被っており、辺りも雪で真っ白だ。

 白で染められたキャンバスに朱色の鳥居が美しい。


 その鳥居の奥に、洞窟がある。洞窟の中は外のように寒くない。

 洞窟を4人と1匹で入っていく。雷雷は大きくて道幅が狭くなり通れなくなったので、ひょっこり瓢箪に入ってもらう。日葵が先頭になり、手の指でバチバチ発光して周りを明るく照らしてくれる。

 次が瑠璃、その次が私で最後尾がティアリというフォーメーションで進んでいく。


 洞窟を日葵の感で進んでいくと、30分ほどで前に来た広い空間に出た。

 以前と同じように広間の上から光が漏れ、雑草が生い茂り、苔が生えた小川がいたるところに流れている。

 その小川を辿っていくと、滝壺があり細い滝が流れ落ちている。

 さらにその奥の滝の裏には巨大な樹の下に祭壇があった。


 祭壇の周りの壁には、緑色のあざやかな苔がびっしりと生えている。

 以前来たときは、冒険者になりたてで間違ってきてしまったのだが、危なくメンバー全員がこの苔に倒されるところだった。


 今回はティアリの装備だけなので、それほどの数はいらない。

 といっても、ティアリは胸が大きいから普通の倍ぐらいは必要だと思う。

 ちょっとだけ、苔を小突いてみる。


 するとすぐに苔が総立ちになり、ケセランパサラン亜種緑が100体ほど現れた。

 ――3体ほどでよかったんだけどなぁ・・・そんな都合よくいかないか。

 あの時は、かなり慌てていたし、美夜の「豪火」でなんとか逃げることができた。

 あれから大分上達しているはずだ。刀もいいものになっている。


 少し余裕で抜刀する。

 私は、瑠璃と日葵に「瞬歩」を、ティアリに「風」を付与(キス)した。

 メンバーにはできるだけ刀で倒すようにいってある。


 皆、瞬歩でケセランパサランに近づき、槍や鉾、刀で切っていく。

 周りを囲まれ、危なくなると瞬歩で離脱する。


 ここである考えを思いついた。

 ティアリに瞬歩で近づく。

「ティアリの瞬歩って連続でできないの?」

「えっ 考えたことなかった。――う~ん。なんて言ったらいいかな」


「技の名前だね。――『乱歩』とかどう?」

 瑠璃が近くに寄ってきて、

「それなら、『江戸川乱歩』がいいよ」

 ――その名前って――たぶん、大丈夫だろう。

「オ~ 江戸まで来たからな。それいただき!」


 ティアリが叫ぶ!


「江戸川乱歩!」


 まるで影分身のように、数匹のケセランパサランの許に次々現れ、ケセランパサランを切り倒していく。


 ――す、すごい!

 ティアリが戻ってきた。

「少し、疲れるな」

「でもこの技すごいよ。敵が多い時に使うといいかもしれない」


「ついでに試してほしいことがあるんだけど……剣にティアリのスキルを纏わせるとどうなるの?」

「それも試したことないな」――すると、クレオパトラがフワッと出てきた。


「ついにそれを試す時が来たようね。この技はとっておきだったんだけど、いい頃合いかもね。見せてあげるわ。名付けて『瞬撃』よ。ティアリ、剣に金色のスキルを纏わせるイメージを作ってみて」


 ティアリはサーベルを片手に持ち、目を瞑り、サーベルにクレオパトラが纏うような金色のオーラを思い浮かべた。

 すると、銀色のサーベルが金色に変化し爛々と光り輝いた。


「できたわね。それを遠くの敵に向かって振ってごらん」

 ティアリはケセランパサラン目掛けて剣を振りながら叫んだ。


「瞬撃!」

 いきなりケセランパサランはスパッと真っ二つに斬れてその場に浮かんでいる。

「すごいでしょ。「瞬歩」は自分が移動する技、「瞬撃」は斬撃が瞬間移動する技だと思ってね」

 クレオパトラはそういうと、またティアリの中に消えていった。


 ……この技もとんでもない代物だぞ。普通、斬撃は軌道や波動が分かるものだが、この技はまったく見えないし分からない。

 ティアリは思いがけず2つのとんでもないスキルを習得してしまったようだ。


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★補足:

 作家名の引用は、名誉毀損に当たらない限り著作権違反とはならないようです。

 ちなみに江戸川乱歩の小説は、著作権が消滅した作家になります。

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