4 遺跡

 ここはインド南部、かなり日差しがきつい。

 ……塔の中に入って、涼むか。少し胡桃たちの成長も見て見たいな。


「胡桃。少し中の様子を見てきてくれないか。深入りはするなよ。無理だと思ったら戻ってきて」

「うん。分かった。ちょっと様子見てくるよ」


 胡桃と幹部たち6人が、塔に入っていく。

 胡桃と幹部2人は刀や槍を持っている。後ろ3人の幹部は弓矢使いのようだ。


 私は様子を見るため少し離れて後ろからついていく。

 胡桃たちが塔の中に入ると、間もなく魔物が出てきた。


 魔物「コリアンダー」と魔物「チリペッパー」だ。

 コリアンダーが何やら黄色い塊を飛ばしてきた。

 さらにチリペッパーが「チリチリチリ・・・」と喚きながら胡桃たちに近づいてくる。


 コリアンダーが飛ばしてきたのは、香りだ。

 かなり刺激的なカメムシの様な匂いがする。私の方まで匂いが飛んでくる。

 さらにチリペッパーが叫んだ!


「チリチリチリ、チリペッパァ!」


 コリアンダーが飛ばした粉塵が胡桃たちをとり囲むように回転を始めた。


「ハ・ハ・ハ・ハクション!……」

「ファ・ファ・ファ・ファクション!……」

「ヘ・ヘ・ヘ・ヘクシッ!……」


 コショウ攻撃でクシャミが止まらない。

 胡桃たちは目も開けられないようだ。

 胡桃は、まず身体強化をして、粉塵を纏いながらもその渦から飛び出す。

 私は胡桃の傍まで駆け付ける。


 まず、我々2人が粉塵を手から放っているコリアンダーにクシャミを我慢して切りかかる。

 しかしコリアンダーは切られると一旦粉と化し、また元の姿に戻ってしまった。

 ――こいつら、粉でできているのか!? ちょっと厄介だな。


「ハ・ハ・ハ・ハクション!……」

「ファ・ファ・ファ・ファクション!……」


 後ろにいる弓矢隊がクシャミをしているため的を絞り切れないでいる。


 次に我々2人はチリペッパーに切りかかる。

 チリペッパーも粉と化した。……が、あの渦巻きが停まった。


 胡桃の幹部がコリアンダーとチリペッパー目掛け、火矢を放った。

 勢いよく燃え上がる。

 ――火には弱いようだな。


 他にも魔物がいるかもしれないため、一度引き返すこととした。

 外ではカレーを食べながら、 Lip Magic Generations のメンバーが待っていた。


 相変わらず、日差しが厳しい。

 それに比べ中は冷っとしていた。中の影に入るとあまり暑さは気にならなかった。


――◆◇◆――


 少し休憩をとり、探索を再開する。

 今度はLip Magic Generationsのメンバーも一緒だ。

 くしゃみをしないように、防塵ができるバンダナで鼻と口を隠す。

 


 胡桃たちは、このくらいの闘いならある程度対応できると思われた。

 かなり動きも素早くなっており、太刀さばきも上級クラスになっている。


 さっきの魔物の粉塵攻撃は碧衣のスキルで対応できるだろう。

 できれば火は使いたくない。

 美夜が火を使うと粉塵爆発が起きかねない。


 さっきのチリペッパーとコリアンダーは炭と化してしまった。

 たぶんスパイスとして使えば高級なカレーが作れるとみた。

 できるだけ刀で処理したいところだが……


 1階では魔物には遭遇しなかった。

 2階へ螺旋階段を登って行く。


 2階に入ると早速、魔物が襲ってきた。

 魔物「コリアンダー」と魔物「チリペッパー」に加え、魔物「クミン」と魔物「ターメリック」だ。

 ――これで、4大スパイスが揃ったな。さて、どのように料理しようか?


 魔物たちはそれぞれ列を組み、ダンスを踊りながら近づいてくる。

 まず、 コリアンダーとチリペッパーがそれぞれ10匹ずつ、


 パチッ・パチッと指を鳴らしながら近づいてくる。

 私、瑠璃、碧衣、日葵、胡桃はコリアンダーとチリペッパー、

 クロ、美夜、蓮月、紅々李、ティアリはクミンとターメリックに相対した。


 それぞれの動きが揃っていて、見蕩みとれてしまう。

 ミュージカルを見ているようだ。


「チリ、コリ、チリ、コリ・・・」とにじり寄ってくる。

 コリアンダーとチリペッパーが同時に


「コリ、チリ、コリ、チリ、コリアンダー!」

「チリ、コリ、チリ、コリ、チリペッパー!」と叫ぶと黄色い粉塵が襲ってきた。


 だが、その粉塵はいとも容易く「颪!」と碧衣が吹き飛ばしてしまう。

 しかし、その粉塵は1箇所に集まっていき、大きな手の形になった。


 黄色い手袋のようだ。

 その粉塵の手袋に胡桃の幹部が矢を放つ。

 矢が次々、手袋に刺さっていく。

(火は使わないように言ってある)


 黄色い手袋は、一旦フッと膨らみ、矢を全て落とす。

 ――このままだと埒が開かないな。


 瑠璃「少し雨をあいつに振らせてくれ」

「あいよ! 『時雨!』」


 建物の中に雲が出来上がり、手袋に雨を降らせる。

 「氷結!」

 精霊雪ちゃんの力を借りて凍結させた。


 黄色い手袋は、身動き出来なくなる。


「碧衣。ろくろ刀であいつを上から削ってくれ」

「うん」 碧衣はバラバラになったろくろ刀でミキサーのように削っていく。

 碧衣のろくろ刀で削っていくと、魔核が現れた。


 一方、美夜やクロたちも魔物「クミン」と魔物「ターメリック」と交戦していた。

 前もって「できるだけ火は使わないように」と打ち合わせしていたので、美夜も火は使わずに刀だけで倒している。

 クミンは2人で一組になり、歌を歌いながら接近してくる。

「わたし、ま~……♪」

 美夜は的確に魔物の急所。魔核を真っ二つに切っていく。

 クロも負けずに、魔核の中心部を狙い、粉々にしていく。


 魔核が破壊されると、魔物たちは香辛料となり、ただの粉になっていく。


 それを蓮月、紅々李、ティアリが塵取と箒で集めて袋に入れていった。

 魔核は別の袋に回収する。


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