3 カメ 対 花子

 私は魔断を帯びた剣で切ってみる。

 バシュ と破裂音のような音がしたあと、煙が立ち上がった。


「誰だ! 我が眠りを邪魔するものは!」

 かなり強い殺気を感じた。

「胡桃のレベルは?」

「B級だよ」

「B級のものだけ残って、すぐこの場から離れるように指示して!」

「分かった。幹部以外は全員退避!」

 ザザザッと胡桃のメンバーが離れていく。

 残ったのは胡桃を入れて6人だ。


「みんな、伏せろ!」碧衣が叫ぶ!

 バサバサっと皆、地面に伏せた。

 その上を一陣の波動が通り過ぎていく。

 その波動が大きな岩に当たると、ドーンという雷鳴にも似た爆音を立て岩が切れ、崩れ落ちた。


 ――碧衣の未来視がなかったら危なかったな。もしあのまま立っていたら――

「ククク。よく避けたな。我はデビルカ・」

「あっ、カメにゃ!」


 遺跡の入口に立っていたのは、クロたちが南アフリカのモザンビーク島の「サン・パウロ宮殿」で会ったデビルカーメンだった。

「カメ!なんでこんなところにいるにゃ?」


「カメじゃない!カーメンだ! お前らが水洗トイレで俺を流したからだ。  

 大変だったんだからな。ここまで流れ着いてくるの。あの時の恨みはらさで・」

「このカメに近づくのは困難にゃ」


「なんでだ?」

「息がとっても臭いにゃ」


「カメじゃないってば。もう・・・だが、しかし! 私の息はもう臭くない」

「嘘にゃ!」といって、クロが日葵を前に出す。

 日葵がクンクンしている。


「まぁ確かに臭いけど、我慢できないほどじゃないよ」

「えっ まだ臭かったか? けっこう歯磨きしたんだけどな」

「これは、カレイ臭だわ。カレイ臭はしょうがないよ」

「ん~。カメ。加齢臭は身体を洗わないとだめにゃ」


「ほ~そうなのか。ってそんなこと考えている場合じゃないわ! 覚悟せよ。我が恐ろしさ見せてくれよう」

 ……確かに、さっきの攻撃は危なかったな。


 蓮月が「フフ」と笑みを浮かべ、魔法陣の巻物を広げる。

「花子ちゃん。しょ~う喚!」

 花子ちゃんが召喚されてきた。


「えっ何? トイレ行きたいの?」

「花子ちゃん。出番よ。あの加齢臭のカメやっちゃって」と蓮月が花子ちゃんをけしかける。

「ゲッ 花子!」カーメンは花子ちゃんを見ておののいている。

 花子ちゃんは、カーメンの天敵であったのだ。

 それを見て花子ちゃんは「フフ」とほほ笑む。


「分かったわ。あの加齢臭いカメ倒せばいいのね。私、がんばる! 」

「そう何度も、加齢臭い言うなぁ! 」

 ――カメはいいんだろうか?


「花子ちゃん。今よ! ショックで落ち込んでいるわ」とカメが弱気になっているのを蓮月が見逃さずに言った。


「水仙、花園の舞!」花子ちゃんは謳い踊った。


「トっても・・・ イい色 ・・・ レん愛・恋慕・恋情・・・」 蓮月が後ろから「花吹雪!」をして、花が舞っている。


「 倒! 韻! 烈!」 

 ……おぉ~! いつの間にこんな技を!?


(花子ちゃんは、蓮月との特訓で歌と踊りを仕込まれていたらしい)

“倒韻烈”の掛け声とともに、鎌鼬を伴った花吹雪がカーメンを取り囲み身体を浮き上がらせる。(裏で蓮月と碧衣が無詠唱で技を出している)


 そしてカーメンをトイレに座らせた。

「今よ。花子ちゃん!」蓮月が叫ぶ!


 花子ちゃんは思いっきりトイレの水を流した。

「えい!」

“ジャーーーーッ”


 カーメンはトイレに流されていった。

「覚えてろよ~花子~~ハナコー ハナ・・・」だんだん声が遠のいていく。

 あのカーメンの攻撃はものすごく脅威だったが、誰にでも弱点はあるものだ。

 またどっかに流されたのだろう。封印できなかったのが残念だ。


 花子ちゃんはとてもうれしそうだ。

「私もやればできるのね」

 ――う~ん。なんか後ろめたいような気がする。

 ま、いいか。喜んでるみたいだし。


 まずはこの岩で出来た塔を探検する前に、お昼にでもしよう。

 あれ? 塔の入口にカレーが置いてある。

「ここにカレーあるけど、加齢臭ってこのカレーじゃないのか?」


 日葵が「うん。そうだよ。だからカレイの匂いがするっていったじゃん」

「もしかしてあの悪魔、このカレー食べてたんじゃないのか?」

 ちょっと味見してみよう。


 美味うま! なんだこの奥行きのある味は?

 ちょっと鑑別してみるか

 ――すごッ! スパイスが40種類も入ってる!

 あの悪魔が作ったのかな? 今度会ったらカレーのカメさんと呼ぼう。

「みんな。お昼にするぞ。今日はカレーライスだ」

「やったぁ! インドに来たからカレー食べたかったんだよね」


 それを見て胡桃が「ショウはいつも楽しそうに戦って食事つくるな」

「ハハハ。まぁお腹すいてちゃ戦うこともできないからね」

 排せつ物が作ったカレーでも火を通せば大丈夫だろう。

 ……ここに福神漬けでもあれば完璧なんだけどなぁ


 お昼を食べ終わるころには、真上から燦燦と降り注いでいた太陽が少し傾き、塔に影が射していた。


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