13 ファラオ

 その後、馬車に乗ってファラオの住む宮殿に行くことにした。

「さて、ファラオに会ってくるか」とティアリ達は意気揚々として宮殿に入っていく。その後に我々も続いて入っていった。


 長い回廊を抜け、謁見室に来た。

 謁見室で待っていると、ファラオのカーラー女王が出てきた。

「大儀である。まずは無事に帰還されたことを祝おう。それで成果はあったのか?」

 カーラー女王は、ティアリたちが「死者の書」を求め冒険に行ったのを知っているようだ。


「はい。その前に報告があります。ヒデ大臣と王家の谷の奥で遭遇したのですが、絶命しておりました」

「それは残念だ。ヒデ大臣の姿が見えないから心配していたんだが、そんな所に行っておったのか。まあ良い。あのように醜き者はあまり好きではない。兄上が取り立てていたので仕方なく使っていたまでのこと。それで地下にピラミッドは見つかったのか?」

「はい。この者たちの協力を得て、ピラミッドは見つけました。ただ『死者の書』は処分させていただきました」


ファラオは王座の椅子からガタッと立ち上がり、

「なんだと! そんなこと許されると思っておるのか! 私がお主たちの自由を許しておるのは、『死者の書』を手に入れるためだったんだぞ!」と怒りの声をあげた。


「探す許可は頂いておりましたが、それをどうするかは聞いておりませんが」

「たわけが! 探すということは持って帰るということだ。そんなことも分からんのか!」


「それから次期ファラオは「アフメス」がなることになりました」

「それを決めるのは、私だ! もう許さん。者共こやつらを引っ立てよ」

 ――カーラー女王はかなり怒ってるな。しかし、この王宮内でひと悶着起こすのも考えもんだしな~


 ダダダっと王宮兵が出てきて我々を取り囲む。

 しかし、ティアリたちもいるし手は出せないようだ。


 すると、ティアリの身体からクレオパトラが出てきた。

「カーラー女王よ。私が誰か分かるか?」

「誰だお前は? 霊体だな。どこかで見たような気がするが……」


「我はクレオパトラ・フィロパトル。地下のピラミッドの墓に眠っておったものだ」

「これは我が祖先、クレオパトラ様。大変失礼いたしました」

「私から説明しよう。まずはこの者らを下がらせよ」

「分かりました。兵は下がっておれ」


 我々を囲んでいた兵は、恭しく扉の外に出ていった。

「地下のピラミッドには、私の後継者になり得るものかどうか調べる部屋がある。そこで選ばれたのが「アフメス」だ。分かったか」


「クレオパトラ様のおっしゃることならば、致し方ありません」

「それで、『死者の書』を処分したというのは本当でしょうか?」

「ずいぶん『死者の書』に拘っておる様じゃな。何に使うつもりだ」


「それは我国に敵対する国の王を処分するためです」

「たわけが! あの『死者の書』は使ったものの命を死んだ者の残り寿命の分を短くするのだぞ。それでも使う気か!?」

「そんな!? では部下にやらせます」

「それで国主が務まるか! すぐにでも交代させたいが、お主はアフメスが成人するまでファラオを務めるが良い」 


「そんな。。。後5年しかありません」

「もし破れば、私がお主の名前を『死者の書』に書き込もう」

「『死者の書』はなくなったのではありませんか?」

「『死者の書』は私そのものだ。いつでもなれる。ここで誓え」


「分かりました。我が祖先クレオパトラ様の命に従い、5年後にアフメスにファラオの座を譲ることを誓います」

「よし。この場でお主の生命をとることは止めておこう。しっかりファラオの職責を果たすが良い」


 そう言って、クレオパトラはティアリの身体に戻っていった。


「カーラー女王、アフメスが5年後ファラオになること認めていただき感謝申し上げます。それからジェフラーはアフメス付きの宰相としてください」

「分かった。もう好きにするが良い」

 カーラー女王は憔悴し、虚ろな目をしている。


「それから私はこの者たちと冒険に行くことにしました」

「それはダメだ。お前にはいずれどこかの国に嫁いでもらわねばいかん」

「私は、このショウと結婚することにしました」

「エッーー そんなの決まってない」と乙女達が騒ぎ出す。


「私は決めたのです。よろしいですかファラオ」

「ダメだといっても、お前にはクレオパトラが憑いているからな。どうしようもないわ。勝手にせよ」


「ありがとうございます。では早速冒険に行ってまいります」

「姉さん。少し休まれてから行かれても……」

「そうですね。では一晩だけ休んであす早朝に出立しましょう」


 ファラオは

「私はとても疲れた。休ませてもらう。今日の晩餐には出席できぬが存分に楽しまれよ」と言って、肩を落とし奥の部屋へ歩いて行った。


 ――◆◇◆――


 この後、盛大に晩餐会が開かれた。

 ファラオは出席していないため、次期ファラオのアフメスが中央の椅子に座る。


 その両脇をティアリとジェフラーが座った。その対面に我々が座る形となった。

 次々に見たことがない料理が運ばれてくる。

 コブラの丸焼き、ワニのステーキ、ナイルスッポンのスープなどだ。

 我々は冒険者なのであまり気にしないで食べていく。


 だいたい平らげたところで、お風呂に入った。ここは男女別別で、ゆっくり入ることができた。

 そして私の部屋で皆と打ち合わせ、明日行く場所を決める。

 次はインドに行くことにした。


 そこへ、ドアをバンと開け、ティアリが入ってきた。


「今日は私がショウと初夜を迎える!」


 ブッーーーと皆は飲んでいた烏龍茶やジュースを吹き出す。


 瑠璃がティアリの前に立ち

「ティアリ、まだ誰もそういうことになってないし、兄はまだ童貞なのよ。

 兄の貞操を破るには私の許可が必要なことになってるの」


 ――まぁそういうことにしておこう。


「そうなのか? じゃ瑠璃、許可を出してほしい」

「いずれね。でもこれはとても重要な問題なのよ。

 それにここにいる仲間が許さないと思うわ。

 あなたはこのLip Magic Generationsとして冒険するのよね」


「うん。是非お願いしたい」

「いずれ誰を伴侶とするかは、兄が決めるわ。それまで我慢してちょうだい」


「伴侶? 初夜って男女が一緒に寝ることじゃないのか?」

「まぁ 確かにそうだけど・・・何するか分かってる?」


「ははは。オレは無垢で生まれたからな。誰もそのことは教えてくれないし……」

(*無垢とは、前世の記憶を持たない赤子、つまり前世がない魂をもって生まれてくる存在である)

「そういうことね。じゃ今日は、特別にティアリに初夜を迎えさせてあげるわ」

(これは遊び甲斐がありそうね。と、瑠璃はほくそ笑むのであった)


「でもね。抜け駆けはしないように兄には2人の女性を侍らせることにしているのよ。今日は、ティアリと紅々李にしてあげる」

 ――完全に瑠璃が仕切っているな。オレの気持ちはいいのか?


「でも、兄に手を出したらダメよ。この周りの乙女が黙っちゃいないからね」

 乙女達がティアリをキッと睨む。

「う~ん。分かった。抜け駆けはなしということだな」


 皆が頷く。――フゥー、なんとかまとまったぞ。さすが瑠璃だな。


 ティアリの初夜? ということもありとても緊張して寝てしまったが、何事もなく朝を向かえた。

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