8 トラップ(後編)


 扉に触ってみたが、扉は重く、開けられそうにない。後戻りはできないようだ。


 ティアリ達は王族だからトラップ魔法陣が作動しなかったのかもしれない。

 我々が入っても良かったんだろうか?


 この先の通路はかなり狭い。1人がぎりぎり通れるくらいの狭さだ。

 炎炎と雷雷は大きいため、ひょっこり瓢箪に戻すことにした。


 通路をしばし歩いていると、上に昇る階段になった。

 途中、階段から枝分かれし別の通路に行く回廊が何箇所かあったが、まずは登りきってみることにした。


 周りを注意しながら階段を中程まで歩いていくと、何やらゴゴゴゴ・・・と地響きのような音が聞こえてきた。


 だんだんと音が高くなってくる。 ゴゴゴゴ・・・・

 先頭を歩いていたアフメスが慌てて、降りてきた。


「なんか、大きな玉が転がってくる!」


 よく見ると、石の大きな玉だ。ゴロゴロ階段を転がってくる。

 このままでは全員がペシャンコだ。

 私は慌てて、召喚魔法陣を広げ「菊ちゃん!」と呼び出した。

 菊ちゃんが「任せて!」と懐から皿を出すと皿がみるみる大きくなっていく。そして大きな皿を前に突き出した。


 石の玉は、その皿にぶつかると、逆に弾かれるように階段を上へ向かって転がっていく。


「この皿はね。何でも弾くことができるのよ。防御は完璧なんだから」


 お菊ちゃんが何度も落ちてくる石を跳ね返している間に、階段を少し降りて、別の通路に身を隠した。

 それを見て、菊ちゃんもその通路に身を隠すと石の玉は勢いよく階段を下って行き、

「ズカァーーン」と階段の下の壁に追突し、粉々に砕け散った。


 また、通路を出て階段を登り始めると石が転がってくる。

 また菊ちゃんが受け止める。それを何度か繰り返し、


 ……ん~これは一旦、階段を登るのを諦めるか。

 我々は、階段の途中にある通路を行くことにした。

「助かったよ。菊ちゃん」

「このくらいお安い御用よ。また呼んでね」といって、菊ちゃんは和紙に戻っていく。


「今の着物を着た女性は何だ? あんな皿でなぜ玉が弾かれてしまうんだ?」とティアリが不思議がって尋ねてくる。

「彼女は、魔神世界の・・・ん~精霊で、菊ちゃんっていうんだよ」

 ――妖怪とか言えないし、どっちかというと精霊の類だよな。


「魔神世界にまた行ってみたくなったぞ。今度一緒に連れて行ってくれ」

「うん。考えておくよ」

 通路をまっすぐ歩いていくと、床が一気に崩れた。


 飛び上がろうにも羽は付けていない。

 針の筵むしろで串刺しになる!?

 と一瞬、江戸城でのことを思い出した。


 クロは崩れた石の上を飛び跳ねてるが、他のものは一気に雪崩れ落ちていった。

 落とし穴は、針の筵ではなく、滑り台のように別の通路に落ちていく。


 ……ふう~命拾いしたな。

 そう思って壁に寄りかかると、その壁が急に後ろに動き出す。

 と、同時に後ろの方から水のようなものがどーっと染み出してきた。

 もしかして水責めかと思ったら、火が燃え上がった。


 その火に追われるように、前方に駆け出す。 

 そして横の上に伸びる階段の通路に逃げ延びた。

 屈んで、その水を嗅いでみると、

 ――これって石油の匂いだな。


 と思ったら、上から石の壁が落ちてきた。

 美夜が私を引っ張って助けてくれる。

「美夜、ありがとう。ちょっと油断してたよ」

「うん。気をつけろよ」


 その後も、迫ってくる壁、落ちる天井、変な蟲や蠍の攻撃などの罠をくぐり抜け、王のミイラが安置されている「黄金の柩の部屋」に辿り着いた。


 不思議なことに魔物の類は出なかった。

 

「やっとここまで辿りつけたよ。ショウたちのお陰だ」と言って、

 社交辞令なのだろうか、ティアリがキスしてきた。

 また美夜とクロが入ってきてもみくちゃになる。


 さて、ここまで来れたのはラッキーだったな。

 というより、誘導されていたような気がする。

 もしかしたら、あの罠は我々を正しい道に誘導するように仕掛けられていたのかもしれない。

 と思った瞬間だった。

 ガコン!!


 いきなり、石の扉が閉まった。

 ――えっ? 閉じ込められたってこと?

 困ったな。この扉簡単に開きそうにないぞ。


 なにか仕掛けがあるかもしれないけど、……まずは目的を果たそう。


「さぁ、死者の書を探そう」


 といって、周りを見渡すが、書物らしきものは見当たらない。

 これも何らかの仕掛けがありそうだ。


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