7 トラップ(前編)


 ……さて、用も済ませたし、中に入ってみるか。


 我々全員が中に入ると、すぐにスフィンクスは入口の上に座り、入口は閉ざされてしまった。

 我々は暗闇に包まれるが、雷雷が身体を発光させ、紅々李が杖で周りを明るく照らした。階段は大理石で出来ており、入口からしばらく下に向かって降りていく。


 たぶん地上から10mくらい降りただろうか、通路は真四角の歩廊になった。

 ピラミッドまで真っ直ぐに伸びている。周りを注意し20mくらい歩廊を歩いていく。

 壁と天井には一面にヒエログリフがびっしりと書かれていた。


「ティアリはこの文字読めるの?」

「うん。少しはね。なんとなく分かる程度だけど」


「何が書いてあるの?」

「死者、つまりここに眠っている王が再び復活するための道導みちしるべが書かれてある。古代エジプトでは死者は蘇ると考えられていたんだ」


「前世の記憶を持って生まれてくるから、蘇っていると考えてもいいような気がするね」

「ただね・・・」とティアリが何か言いかけたところで、私が歩いている床の大理石が少し凹んだ。


 すると、天井の石が一つドーン!と落ちてきた。


「キャァーーー!」


 続けざまに、無数の蛇が床に落ちてくる。

 蛇は床一面に広がった。しかもその蛇は毒のあるコブラだ。


 コブラは魔物ではないようだが、鎌首を持ち上げコブラ独特の首を広げ威嚇している。

 ――これだけの数だと刀で処理するのは厳しいな。


 洞窟の中だと美夜の火を使ったら酸欠を起こしてしまうかもしれないし……

 ここは雪ちゃんの力を借りるか。


「瑠璃、蛇の上に雨を降らせてくれ」

「あいよー 「時雨!」」

 私は手をコブラの方に向け 「氷結!」 と叫んだ。

 コブラは氷付けになり、氷の床が輝いている。


 スケートリンクのようだ。

 コブラを下に望みながら、碧衣の「天っ風!」で身体を後ろから押してもらい氷の上を滑っていくとピラミッドの下まで来たのだろうか、大きな黄金の壁に行く手を阻まれた。

 ティアリがその壁を調べているようだが、なんの反応もない。

 ――これはどうしようもないな。

 一度戻って、鶴嘴つるはしでも持ってこようかな?


 すると、杖で周りを照らしていた紅々李が

「あれ、何かしら?」と指さす。


 黄金の壁の右側の壁にかなり小さいが、鍵穴のようなものを見つけた。

「もしかして、この鍵かな?」

 アフメスが出てきて、首に掛けていた鍵を鍵穴に差し込む。

「この鍵は、代々伝わる鍵で、父から授かったものなんだ」

 くるりと回すと、「ガッチャン!」という音がした。


 まさか! ……何かの罠が発動した?


 皆、少し身構え、緊張感が走る。


 向かい側の壁の一部がゴゴゴと動き出し、高さ1m程の台が現れた。

 台の上部は、すり鉢状にくり貫かれており、中央部に穴が空いていた。

 その台の脇にヒエログリフで何か書いてある。

 ティアリが象形文字をなぞりながら読み上げる。


「王家の血統者よ。後継者と成り得る者よ。我を求めば、我に血を捧げよ」

 ――後継者ということは次の王ということだな。この上の受け皿に血液を入れればいいと思うけど、さて後継者は決まっているんだろうか?


「誰が、後継者なんだ?」

「それが、まだ決まってないんだ。うちらはどうでもいいんだけど、大臣たちが後継者争いでもめててね」ジェフラーが困り顔で話す。


「いっそ、ここで決めてしまうのもいいな」

 王子、王女がお互い肯く。

「姉上、私がまず奉げてみます」とジェフラーが手の甲を刀で切り。台の上の受け皿に血液を垂らしていく。


 ・・・・・


 反応はないようだ。

 次にアフメスが手の甲を切り、血液を奉げた。


 ・・・・・


 すると、ピラミッドの黄金の壁がゴゴゴと唸りをあげ、扉が開いた。

「よし、アフメスが次期王様だな」

 王子2人と王女はお互いを見て笑いあっている。

 ――とても仲のいい姉弟なんだな。

 こんな感じで決められば、後継者争いで無駄な血液を流さずに済むのに……


「さて、探検再開だ」

 ティアリたちがピラミッドの中に入っていく。

 続いて私が入ろうとした瞬間、悪寒を感じた。


 ! ……これは!

 私はすばやく後ずさりし、続いて入ろうとするメンバーを制止する。


 私は魔断を帯びた刀で、扉から先を切ってみると、刀の青い炎が揺らいだ。

 ・・・やはり魔法陣が設置してあったか。

 ピラミッド全体が魔法陣だったのかもしれない。



 魔法陣は解除されたが、恐る恐る足を入れてみる。

 ――大丈夫かな?

 全ての者が、ピラミッドに入った瞬間、扉はバタンと閉められた。

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