13 マダガスカル島(前編)

 9月3日


 皆の得物や防具を約1ヶ月かけて作成できた。

 すこし腕試しをしてみたい。


 でも、その前にすることがある。

 今日でギルドに入会してちょうど1年だ。

 つまり会員更新日である。


 我々はギルドの総合窓口で、1人384万円の年会費を払い更新した。

 ちなみに級はA級となっており、

 メモ欄には 8月30日 3750P 累計258,750Pと記されている。


 私は約1ヶ月の間、鍛冶に明け暮れており魔物刈りには参加していないが、グループで登録していると、グループの均等割とできるため、勝手に点数が増えていった。


 もちろん、魔物と戦った者だけで増やすこともできるのだが、戦っていなくてもギルド会員証を持っていけば均等割してくれる。


 実際に戦った人数とかはギルドには関係のない話で、ギルドとしては魔核やドロップアイテムが手に入れば、ポイントはオマケみたいなものである。



 私はA級ではあるが 実力としては Lip Magic Generations の中では一番弱く、

 ポイントは他のメンバーと同じという違和感がある。


 つまり、会員証に記載されている級は本当の強さを示しているわけではなく、目安に過ぎない。

 実際にどのくらい強いかは戦ってみなければ分からないわけで、戦ったとしてもチームであれば、チームとしての戦闘力と戦術や指揮も必要となってくる。


 単に攻撃だけが強ければいいというわけではなく、当然防御や回復、戦術眼などが必要とされる。

 そういった意味で我々 Lip Magic Generations はとてもバランスがとれたチームといえよう。


 大体の役割を確認しておこう。


 チーム戦術及び指揮: ショウ 補佐:美夜

 主に攻撃: 美夜、クロ

 主に防御: 碧衣、瑠璃

 主に回復: 紅々李、ショウ

 攻撃及び防御: 日葵、蓮月  


 もちろん戦う相手によって、戦術は変わってくるので、この役割も目安に過ぎない。


 さらに魔法陣で召喚できる攻撃型の山女ちゃんと防御型のお菊ちゃんがいる。

 かなり頼もしい助っ人だ。

 聞いたところでは花子ちゃんも攻撃に参加していたようだが、普段はまずない。

 花子ちゃんは、蓮月が面白がっていつも召喚していて、ちょっとしたムードメーカーだ。


 Lip Magic Generations のメンバーは新しい武器を携え、マダガスカル島へ向かった。


 一度確認しておこう。

 今回完成させた刀剣又は防具だ。


 碧衣:ろくろ刀「天風あまかぜ

 蓮月:蛇腹刀改「月下美人」

 日葵:ユニコーンの槍「ライジングサン」

 クロ:両刃刀「パンドラ」と 短刀改「黒の瞳」

 紅々李:紅々李刀の杖「ちはやぶる」

 美夜:大太刀「不死鳥の舞」

 瑠璃:ガントレット「蟒蛇おろち

 ショウ:太刀改「吹雪」


 マダガスカル島は、日本よりも大きな島で、面積は約6万平方m、最も高い山は

 マロモコトロ山で標高約2900mである。


 我々は、ターコイズブルーの海を渡り、島の西部に位置する魔窟ツィンギ・デ・ベマラの近くの平原に降り立った。


 ここの魔窟には剃刀のような尖った岩が多数並び、特異な景観が広がっている。

 この岩山は、石灰岩のカルスト台地が数万年かけて侵食され形成したものと考えられている。


 この平原をフォーメーションUで歩いていく。上空には前方に美夜が炎炎に、後方に日葵が雷雷に乗って付いてくる。


 クロ     蓮月

 碧衣     瑠璃   

  紅々李 ショウ


 時々、とってもかわいいキツネザルやアイアイなどの動物が顔を出してくる。


 魔窟の入口までくると雰囲気がガラッと重々しく変わる。

 刹那、赤い砂塵に紛れ怪鳥エピーが現れた。


 エピーは10羽ほどの群れを作っている。

 空は飛べないようで、ダチョウのような鳥である。

 ただ体長はとても大きく3mくらいあり、太く強い脚で強力な蹴りをかましてくる。

 怪鳥エピーが物凄い勢いで走って突っ込んでくる。


 瑠璃がすばやく、水壁を前方に張った。

 しかしエピーはそれを高くジャンプして軽々飛び越えてきた。


 クロが回転しながら、エピーの背中に飛び乗り・・・遊んでいる。


 エピーが蓮月と碧衣に蹴りを入れてきた。

 碧衣と蓮月は刀で受け止めるが弾き飛ばされた。

 軽く擦り傷を負う。

 すばやく紅々李がヒールし治療する。


 たまらず美夜と日葵が攻撃しようとしたが、


「攻撃するな!」と止めさせた。


 怪鳥エピーは怪鳥というが、魔物ではないのだ。

 何か理由があって襲ってきているのだろう。


「美夜。すこし奥を調べてきてくれ」


 美夜が炎炎に乗って空から奥を調べに行く。

 すると、無数の卵と、魔物と戦っている怪鳥エピー、そしてもうすでに息絶えたと思われる小さなエピーが倒れていたのである。


 美夜はすぐに、このことをショウ達に伝えた。


「分かった。まずはその魔物を駆逐するぞ!」

「了解!」 皆が一斉に動き出す。


 エピーが戦っている魔物は、「ゴールデンアカンベー」だった。


 魔物「ゴールデンアカンベー」はオナガザルが魔物化したもので、毛が金色だ。

 攻撃方法としては舌を出し「アカンベー」をしたり赤いお尻を叩いて相手を挑発し、ムキーっとなったところを鋭い爪や歯で集団で襲うらしい。

 ちなみに歯は金歯だ。


 この金歯に噛まれると、一時的に金縛りにあい動けなくなるらしい。


 単体ではそれほど強くはないが、集団で攻撃してくると驚異だ。

 他にも隠れたスキルを持っているようだ。


 ゴールンデンアカンベーがお尻を叩いて我々を挑発してくる。

「なによ!馬鹿にして」と瑠璃がその挑発に乗ってしまった。


「まとめて水で流してあげるわ」といってポセイドーンの鉾を振りかぶり、ゴールンデンアカンベーの集団目がけて、鉾で空を切る。


 すると、今までにも増して魔力が増強された鉾からは、大きな水流が巻き起こり、ゴールンデンアカンベーを飲み込んでいった。

*「ポセイドーンの鉾」の魔力が増強したわけでなく、刀鍛冶を行うことでなぜか瑠璃自身の体力と魔力が増していた。ポセイドーンの鉾の能力は、その鉾を持つ者の身体(体力)と魔力に比例する。


「フッ どんなもんよ」瑠璃はドヤ顔だ。


 そこに隙が生まれた。


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