10 カメレオンデビル

 ★今回はクロ視点です。


 魔窟探索組:蓮月・紅々李・碧衣・クロ


 今回はうちがリーダーにゃ

 ギルド会館の掲示板を見に行ってみるにゃ

『 モザンビーク島の「サン・パウロ宮殿」に魔物カメレオンデビルが出現。駆除求む。 報酬50万円、3万P 』

 これを引き受けることにしたにゃ。


 ちょっと遠いけど、羽を使えばすぐにゃ!

「みんな、いくにゃ!」と飛び上がった。

 碧衣が「天っ風!」で羽に加速をつける。


 約1時間で真っ青で透明度の高い海に囲まれたモザンピーク島に近づいてきた。

 島の周りには珊瑚礁が海面を通して眺めることが出来る。


「あそこに降りるにゃ」


 あまり人影がない島に赤い壁の建物「サンパウロ宮殿」を見つけ、パタパタと羽を揺らし、静かに降り立つ。


 人気がまったくないサンパウロ宮殿に入っていく。

 ガサガサガサ……

 なにか動いた感じだが、まったく何もないにゃ。


「何もいないにゃ」

 クロは目がいいので大体の者は見つけることができる。

 さらに奥に入っていく。


「キャーーーー」

 紅々李がお尻をペロッと舐められたらしい。


 でもそこには誰もいないにゃ

「不思議だにゃ。よく分かんないけどこれ撒いてみるにゃ」


 クロはライオンゴロシの刺刺とげとげ撒菱まきびしを床にまいた。


「グゲッッ」

「ん? そこにゃ」とクロは手裏剣を飛ばす。


「グギャーー」

「まだいるにゃ。皆、臨戦態勢にゃ!」

 皆は刀や薙刀を構え背中を寄せ合う。


 シュッと何かが伸びてきた。

 紅々李が薙刀でスパッと切った。

 切ったあとには何かウニウニとナマコのようなものがうごめいている。


 蓮月が「荊棘!」を張り巡らす。

 碧衣が「鎌鼬!」を荊棘の周りに発生させた。


 鎌鼬に飛ばされ、その魔物が荊棘に突き刺さり、姿を現した。


「あっ魔物「カメレオンデビル」にゃ」


 カメレオンデビルは擬態し、壁に溶け込んでいた。


「一気に片づけるにゃ」

 皆は一斉に刀や薙刀で数十匹のカメレオンデビルに止めをさした。


 そう思って安心してたら、カメレオンデビルから黒い影のようなものが出てきた。

 数十の黒い影は一体となり、ひとつの形を作り上げる。


 デビルだ。  「我が名はカーメン」


「ドジでのろまなカメかニャ?」とクロが聞く。


「違うわ! カーメンだ。よくも我が分身カメレオンデビルを殺してくれたな」

 カーメンは黒い息を吐いた。


 すると、荊棘がみるみる枯れていく。


「これはな。精気を吸い取る悪魔の息だ。どうだ、参ったか!」

 クロたちがとても苦しがっている。


「く、苦しいにゃ~。日葵がいなくてよかったニャ。日葵だったら死んでるにゃ」

 少し匂ってくる。いや、かなり臭い。


 ――日葵は匂いにすごく敏感なため、この場にいたら悶絶して気を失っていたであろう。


「ちゃんと歯磨きしないとダメだぞ。息臭いニャ」

「わしの技は効いておらんのか?」


「効いてるにゃ。とっても臭いにゃ」

「いやいやそっちじゃなくて・・・」

 カーメンは困惑している。


(実は紅々李がホーリーカバーを使って防いでいた。しかしさすがのホーリーカバーも悪臭には効かないのであった。)


「良い子はちゃんと歯を磨かないとだめにゃ!」

「おれ、悪魔なんですけど」

「だめにゃ! 歯が臭いと女の子に嫌われるにゃ」

「は、はい。ごめんなさい」

 カーメンは申し訳なさそうに口に手を当てた。


「もしもしカメにはウサギにゃ!」といって、蓮月を前に出す。


「え~~わたし息臭い人苦手だなぁ」と、いやいや前に出てくる。

「それじゃ、風で押し返しちゃえ」と碧衣が前に出てきて

「そよ風!」といって風をカーメンの方に吹かせる。


「うっ 臭い!」

 今度はカーメンが自分の息の臭さに苦しがっている。


 そして

「こういうときは、お花ね!」

「花子ちゃんに協力してもらいましょ」

 と言って、ショウから借りてきた『トイレの花子さん』を蓮月が召喚した。


「しょ~~喚!」


 と叫ぶと、純白の着物を着た花子ちゃんが召喚魔法陣から出てくる。

(別に「召喚」と叫ばなくても出てくるのだが、その方がかっこいいらしい)


「花子ちゃん、やっちゃって!」と、蓮月が叫ぶ。

 でも花子ちゃんは、突然呼び出されオロオロしている。


「私 何したらいいの!?」


 白く美しい着物を着た花子ちゃんの周りに、

 蓮月と碧衣が一緒に、「花吹雪!」 を舞上げる。


 ――とてもいい香りがするにゃ。

「あの~わたし戦えないんですけど~」


 でもなぜか花子ちゃんを見たデビルカーメンがおののいている。


 紅々李が何か閃いたようだ。

「わかったわ。あのカメは綺麗なトイレがだめなのよ」

「カメ倒せるか分かんないけど、やってみる!」

 花子ちゃんがトイレをデビルカーメンの真下に出現させる。


「カメ! 臭いからそこに座るにゃ」

 しぶしぶ、カーメンは洋式トイレに座る。


「なんで説教受けないといけないんだ?」

 それを見た花子ちゃんが 「えいっ!」 と叫んだ。


 そして一気に「ジャーー」っと水を流した。

 デビルカーメンはその水洗トイレに吸い込まれるように流れていった。

 *花子ちゃんのトイレは汚物を流すアイテムなのだ。


「よくもやってくれたな! 覚えてろよ! オレはカメじゃなくカーメンだぁ……」

「やっぱり臭いものは流すのが一番ね」……蓮月は天然であった。

「デビルカメ。覚えておくにゃ」

 ……悪魔だけど、かわいそうなカーメンと紅々李は思うのであった。


「今回は花子ちゃんの活躍で、退治できたわ。ありがとう」と

 碧衣が褒めている。

 花子ちゃんは恥じらいながらも、うれしそうだ。


「よし、魔核とアイテム回収して帰るにゃ」

 カメレオンデビルの魔核とカメレオンの皮を持って帰ることにしたにゃ。

(なお、デビルカーメンは流されたので何も残っていない)


 ショウがカメレオンデビルの皮を見て

「へぇ~、この皮、面白い構造だな。クロの忍者服に使うと面白いぞ。透明人間になれるかもしれない。実際には消えてないんだけどね」

 そういって、特殊な忍者服を作ってくれることになったにゃ。


 ――フフフ、これでいつでもショウに近づけるにゃ――

 ショウは身体に寒気を覚えるのであった。

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