2 アトランティス大陸(剣神世界)


「ありがとうござ・・・・・うわぁ~~~~~」


 我々は、魔神世界に来た時と同じように、滑り台のような通路をすごい速さで滑り落ちて行った。

 ジェットコースターのように右に左に、上に下へ、たまに回転しながら滑り落ちていく。

 最初に来たときはかなりドキドキしたが、今は楽しい。


 ほの暗く、時に明滅した光の中を乙女たちもキャーキャーいいながら笑って落ちていく。

 約1時間も滑り落ちて行くと、だんだんとスピードは落ちていき、少し後退る。

 中央地点まで来たようだ。


 ひとまとまりになり、団子状態で止まった。ここからは歩きになる。


 やはり螺旋階段状になっていて、くるくる回りながら昇って行く。

 様々なケセランパサランが螺旋階段の周りを昇降し、瞬いていた。


 登りには途中休憩を交えながら、約5時間で出口に着いた。

 前回魔神世界に来たときは6時間かかったから、体力・運動能力も上がっているのかもしれない。


 出口に来ると、長老ラビが飛ぶように抱きついてきた。

「会いたかったぞ。ショウ!(念波)」

「皆も元気そうでなによりじゃ」

 ――ラビは年の割に茶目っ気がある。


「ただいま~ になるんでしょうか?」

「そうだね。うちらが生まれた剣神世界に戻ってきたんだから、ただいまだね」

 碧衣が私の肩を叩いていう。

「おぬしらが魔神世界に行ってからおよそ3か月じゃな。これからどうするつもりじゃ?(念波)」


「一度、日本に戻りたいと思います。ここからだと、一度アフリカに戻る形になりますね。また修行をしながら日本に戻れればいいかなと思ってます」

「うむ。それが良かろう。それならアフリカから中東、インドを経由して日本に行くのが近いだろう(念波)」 

 ――龍神世界のことも気になるが、剣神で鍛えた方が剣の腕は早く上がるからな。


 以前中国やヨーロッパで戦った時は、まだ初級、中級クラスの魔窟ダンジョンしか攻略していなかった。A級にもなったし、早くレベルを上げるためにも上級クラスの魔窟も攻略していかないといけない。 


「魔神世界でも剣の方が良かった場面も多かったのではないか?(念波)」

「はい。通常、魔法を唱えるには時間がかかるようで、剣で向かった方が魔物を倒しやすい場面が多かったです。それと、ラビ様に授けてもらった精霊の力がとても役に立ちました」

「それはおぬしらが元々持っていた力じゃ。そういえばお主、雪の精霊魔法が使えるようになっておるな(念波)」


 そこへ雪ちゃんが出てきた。

「お久しぶり。ラビちゃん」

「500年ぶりかのう? (念波)」

「そうね。あの頃はあたしが雪の精霊やってたかしら」

「あまり気候を操るでないぞ(念波)」


「フフフ 4000年前にはスタディオン山を氷漬けにしたけど、今はショウと一緒に遊んでるだけだから大丈夫よ。またねラビちゃん」

「ショウを頼んだぞ (念波)」


 ……雪ちゃんって何してたんだ?……だいたい想像つくし、まぁいいか


「ショウ。その雪の精霊魔法は、火と対極にあるスキルだからな。

 うまく使うことじゃ。

 ついでに教えといてやろう。

 お主の Lip Magic についてじゃ。

 特殊なスキルじゃからな。

 そのスキルはなぜ 「Lip」 になっているか分かるか?(念波)」

「口づけをすることでスキルをもらい、口以外の場所に口付けることでスキルを与えることが出来るからじゃないんですか?」


「それならば、Kiss Magic または Mouth Magic でもいいことになる。

 Lip には特別な意味がある。

 唇は接吻をするためだけにあるわけじゃないぞ。


 肺から出てくる空気は声帯を通して一定の音となる。その音は唇を通してさまざまな声となり、調べを作り、そして言霊ことだまを作ることもできる。


 お主らが発声している音、声、調べには、意味があるのじゃ。

 頭で考えるだけの場合よりも、言霊の方がより強い力が出せる。


 さらに精霊は、その言霊に力を与え具現化できるのじゃ。

 儂らには、声帯がないから真似出来んが、覚えておきなさい (念波)」


「ありがとうございます。心に刻みます」

 ――さすが長老だな。だてに歳をとっているわけじゃない。


「さて、ここを発つ前に、自己紹介してほしいところじゃが、日もだいぶ落ちてきた。今日は泊って、自己紹介は明日してもらおう。他の長老もお待ちかねじゃ ププ(念波)」


――★☪★――


 翌日

(冒頭に戻り、我々は自己紹介を行った)

「……我らLip Magic Generations!」 

 エルフたちが声もなく悶え苦しんでいる。


「ププ――格段に力をつけたな。良いものを見せてもらった。身体をもっと鍛えるんじゃぞ。ショウ。ププ(念波)」


 ……ハハハ(苦笑)。。。さて、行くか。

「それでは、まずはアフリカに飛んでいきます」

「また来なさい。今度は龍神世界に行くことになろう。ププ(念波)」


 炎炎と雷雷をひょっこり瓢箪から出し、美夜と日葵が股がる。

「また来ます。皆さんお元気で」といって、アフリカ大陸に飛び立った。


 飛んでいる途中、ヨウビの声が念波で届く。

「お父様。お帰りなさい。お疲れ様でした」

「ヨウビただいま。あっという間に過ぎた3ヶ月だったよ」

「皆さんご無事で本当に良かったです」

「かなりの強敵がたくさんいたけど、みんなにすごく助けられた」


「ハクビはどうでしたか?」


「かなり危なかった。一度殺されたんだが、世界樹の葉で助かった」

「そうでしたか。良かったです。こちらからは魔神世界のことはあまり知ることはできないので心配してました」

「ハクビも今は元気だ。オレのスキル「魔断」も私よりうまく使えるようになったし、うまく魔神世界の日本を導いてくれると思うよ」

 ――よほど心配していたんだろうな。気持ちが伝わってくる。


「それから、かなり修行になった。ラビ様にも皆スキルを開花してもらったしな。けっこう強くなったぞ」

「そうですね。見違えるようです。でも油断しないでくださいね。この剣神世界でも上には上がいますから」

「分かった。また日本に行ったら会いにいくからな」

「はい。心待ちにしております」

 途中、世界樹の世話をしているライトにも会って、飛びながら魔神世界でのことを話した。

 あの世界樹も順調に回復しているらしい。


 ライトともお別れし、さらに上空に飛び上がる。

 偏西風を翼に受け、時速200kmくらいまであげて飛んでいく。


 剣神の雲海と海原は美しい。


 コバルトブルーに染まった海のはるか上空、雲の絨毯と円形の二重の虹を臨み、輝く太陽を背に受けながら Lip Magic Generations は飛翔する。

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