7 江戸城 五の階(LMG VS 江戸マス)

 ★ Lip Magic Generations VS 江戸マス


 江戸マスが変身する。

 ……かなり強そうな悪魔だな。 頭が天井に届きそうだぞ。


 紅々李が叫ぶ。 「 ちはやぶる!」 


 悪魔が光輝とした光に包まれる。

 シューと収束するかに見えたが、江戸マス悪魔はそれを両手を広げるように打ち破った。


 その間に美夜、日葵、炎炎、雷雷が4方向から取り囲み、

「 豪炎!」「 雷豪!」 「炎の球」、「雷の球」で攻撃する。


 江戸マス悪魔は、防御幕を張って耐えるが、ハクビが魔断を帯びた妖刀イペタムを投擲する。

 防御幕は破られ、攻撃が江戸マス悪魔に届く。


 しかし、炎炎、雷雷の放った球を掴み、我々に投げ返してきた。

 数発被弾したが、私は日頃鍛え慣れているので、黒くなったぐらいで大したことはない。


 球を受けながらも、瑠璃と紅々李に反射を付与する。

 私と瑠璃、紅々李は反射でさらにその球を打ち返した。

 その応酬が続く。


 碧衣と蓮月、クロは後方支援だ。

 蓮月が「月光の矢!」で立て続けに矢を放つ。

 碧衣は颪で、矢に加速をつける。


 さらにクロが「漆黒!」と「ワルキューレ」で江戸マス悪魔の動きを妨害し、

 目にも止まらぬ速さで、江戸マス悪魔に矢が何本も撃ち込まれた。

 体中が針千本みたいになっているが、それでも江戸マス悪魔はびくともしない。

 江戸マス悪魔が「フン!」と唸ると、矢が全て落ちていく。


 蓮月が 「棘薔薇イバラ!」 で江戸マス悪魔を拘束する。 


 立て続けに瑠璃と蓮月、碧衣が得物(ポセイドーンの鉾と蛇腹刀、脇差)で後方から江戸マス悪魔の身体を削っていく。

 さらに美夜が炎炎から飛び降り、前方から火炎槍で切りつける。

 日葵も負けじと雷雷に乗ったまま槍で四方八方から突き入れた。


 紅々李が再度 「ちはやぶる!」 を

 ハクビが 「狐火」 を江戸マス悪魔へ放つ。 


 次第に江戸マス悪魔の体力と精神が削がれてきているようだ。

 そこへクロが、「フラッシュバック!」を江戸マス悪魔に放った。


 江戸マス悪魔は過去の悪夢がよみがり、頭を抱えもがき苦しんでいる。


「あいつら、いつも質問攻めにしやがって……賄賂や捏造がなんだってんだ。

 みんなやってるだろ。こいつら~ 」

「もっと大事なことあるだろう。……質問がせこいんだよ。

 重箱の隅を爪楊枝でつつくような真似しやがって~~」

「グオォーーーー お前らのせいで髪が薄くなってきたじゃないか~」

「ぐぁ~~~ 胃潰瘍にはなるわ 血尿は出るわ 血圧は上がるわ~~ メタボになるわ~~ 」

「国会議員なんて嫌いだ~~~ 評論家なんて嫌いだぁ~~ マスコミなんて嫌いだぁ~~ 復讐してやる! 皆殺しだァ~~」


 江戸マス悪魔の苦悩が聞こえる。


 ……悪い夢を見ているようだ。

 ずいぶんと悲惨な思いをしてきたらしい。

 聖人君子なんていないと思うが、自分の行いは棚に上げている。

 結局のところ、大統領の器ではなかったということだ。


 江戸マス悪魔が、かなり精神的に弱っているようだ。

 江戸マス悪魔が固有スキル

「タワーインフェルノ《江戸城炎上》!」と絶叫した。

 すると、黒い炎で周りの壁一面が燃えていく。

 特殊な炎なのか、瑠璃の「ゲリラ豪雨!」や美夜の「消火!」でも消えない。

「フハハハハハ こうなりゃ、お前らも道連れだ。ともに地獄に落ちようぞ……」

 

 ――誰がお前なんかと――

 黒い煙も立ち籠めてきた。

 諸悪の根源を絶たないと火は消えないな。

 よし。ここで使わずにいつ使う!

 

「いくぞ! みんな、必殺技だ!」 


 美夜と碧衣と蓮月と紅々李が 「 花鳥風月! 」

 日葵と瑠璃とクロとハクビが 「 臥龍点睛! 」

 と同時に叫ぶ。 最後に私が 「 絶対零度! 」 と叫んだ!


 それぞれが今ある魔力で最大の合わせ技を放った。

 それぞれの大技が江戸マスに突き刺さる。 


「 花鳥風月! 」で不死鳥フェニックスが悪魔の周りを舞い、キラキラした花吹雪が悪魔を包む。そして鎌鼬が悪魔を切り刻み月光の矢が突き刺さった。

 さらに、


「 臥龍点睛! 」で水龍が立ち上がり、龍の持った黒い玉が、青い神聖な光を稲妻のように迸らせ、悪魔を包み込んだ。

 そして


「 絶対零度! 」で全てが収束されるように悪魔は真っ白に凍結され固まった。


 刹那、完全凍結した悪魔が、ミシミシ音を立て、ひび割れながら膨張している。

 ひび割れたところから、清浄な光が辺りを照らすように漏れている。


 ……ん? これってやばいんじゃないの?


「全員退避だ! 紅々李、ハクビ頼む!」


「ホーリーカバー!」紅々李が全力で唱える。

 さらに二重になるようにハクビが

「 狐火 」をホーリーカバーの上に最大火力で燃やした。

 そして瑠璃がその外側に厚い水壁を作り、私が氷結させた。。。


――★火聖火★――


 直後、江戸マス悪魔が暴発し、江戸城の屋根と5階部分が床を残して吹き飛んだ。

 一緒に吹き飛んだのか、悪魔の火も消えていた。


 ……夜空が綺麗だ……

 星が見える。

 江戸城に来た時に見た暗雲はなかった。

 終わった。


 紅々李とハクビがぐったりしている。全力を使ったのだろう。私が雪ちゃんの力も借りて、ホーリーした。

 そして世界樹の葉の煎じグミ薬を食べてもらった。


 紅々李とハクビがみるみる元気を取り戻す。

 ……どちらが効いたのか分からないが、とにかく良かった。


――✿包丁✿―― 


 一方、

 ★ 山女 VS お菊


「あら、江戸マスやられちゃったわね。や~めた」と、お菊は皿を懐にしまった。

「そーなの? あなたとはあまり闘いたくなかったから、良かったわ」

 山女も包丁を引っ込めた。


「私ね。別に江戸マスの御台所じゃなし、関係も持ったことないわ。

 魔法陣から呼び出されちゃったの。御台所にするから仲間になってくれってね。

 御台所なんてどうでも良かったんだけど、暇だったから手伝ってあげたの。

 天界に帰っても暇だし、せっかくだから、私もあなたたちの仲間に加えてくれない?」


「いいけど。お菊さんの特技ってお皿を投げること?」

「お菊ちゃんって呼んでね。ほんとは違うわよ。古伊万里のお皿もったいないじゃない」

「このお皿は、山女ちゃん対策用ね。本当はこっちのお皿が本命よ」

 といって、別のお皿を懐から出す。


 そのお皿は、大きくもなり小さくもなるお皿だった。

「このお皿は鉄壁のお皿なの。魔力を通すとどんな攻撃でも防ぐことができるのよ」

「すごいけど。もし山女ちゃんの包丁で切ったらどうなるんだ?」


「野暮ね~そんな矛盾すること聞かないの」

「確かに私とお菊ちゃんがいればかなり戦力は上がると思うわよ」

「二人とも封印する形になるけど、いいのか?」

「ふふふ。あなたが戻ってきたからね。また楽しめそうね。ときどき出してくれればOKよ。封印してちょうだい」


 ……あれ?……お菊さんと知り合いだっけ?

 そういえば昔戦ったことがあるような……

「分かった。自分で封印できるか?」

「そんなの。もちのろんよ」

 ……山女ちゃんとお菊さんは、新しい和紙の上に乗り、自分で封印された。


「さ、 みんな帰るぞ!」

 我々は、天使(悪魔)の羽を広げ、天守閣の5階がなくなった江戸城から飛び立った。


 月星天には天の川が瞬いていた。

 夜露が落ちているのだろう。

 瓦が月明かりで青白くきらめき Lip Magic Generations を照らしている。


 我々は、天の川を背に、羽を広げ富士を目指し飛んでいった。

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