10 龍宮城


 ビーチパラソルはなかったので、ヤシの木の下にバッグを枕に寝込む。

 ――そういえば、もぐらマスのサングラスあったな。太陽が眩しいしかけてみるか。このサングラスも何かのアイテムかな? 魔力を通して見てみる。


――🌴🌴🌴――


 ……「 ! ゲェーーーーー! こ、これは!」とんでもないものが見える。

 黙って、周りを見渡す。


「す、すごい! 透けて見える!」


 な、なんと! 地脈や水脈が見える。ちなみに、人間や人魚は血流が見える。

 あまり見ていて気持ちがいいものではない。

 これを使ってもぐらマスはマグマの流れを探してたんだな。

 サングラスに魔力を通さないと普通のサングラスになった。

 何かに役に立つかもしれないからとっておこう。


 瑠璃や美夜、クロはその辺にあった板の上に乗りサーフィンだ。

 蓮月はヤシの木から、ヤシの実をもらって

 紅々李や碧衣、日葵、ハクビたちと「シークァーサー」と「海ぶどう」をつまみながらヤシの実ジュースを飲んでいる。


 人魚が紅々李や碧衣たちを背中に乗せ、すごい勢いで海の上を飛んだり跳ねたりしている。

 美夜、クロも負けまいと、悪魔の羽を使い、その後をウインドサーフィンで追いかけていく。

 瑠璃も「波乗り!」とスキルを使って波の真上に裸足で立って、追いかけていった。…… まるで競艇だ。


――◇●☪――


 しばらく海水浴を楽しんだ後、

「今日は私たちの島に来て泊まっていきませんか?」とお誘いを受けた。

 せっかくなので、マーメイドが住むという竹富島へ行くことにした。

 竹富島へは石垣島から近いので、飛ばずに瑠璃の「水割り!」で割れた海の底を通っていく。

 壁に水族館のように、熱帯魚が泳いでいるのが見えて楽しい。

 マーメイドやマーマンも驚いたように水の中から我々を覗いてくる。


 我々が竹富島に着くと、マーメイドたちが集まってきて、色とりどりの花で飾られたレイを首にかけられた。

「ウンディーネ様 ようこそいらっしゃいました」と

 マーメイドの長老に会釈される。

 瑠璃のことをウンディーネと勘違いしているようである。

 マーメイドの長老といっても、見た目は他のマーメイドより少し円熟味が増した感じのするとても色気のあるお姉さんって感じだ。


「ウンディーネではないですよ、瑠璃といいます。よろしくお願いします」と

 至極まともに会釈する。

「そうなんですの。とても強い水精の加護をお持ちなんですね」

「ポセイドーンもそんなこと言ってたね」と蓮月がいう。

 ――あっ また余計なことを

「えっ! ポセイドーンって、あの伝説のポセイドーンですか?」と

 長老がびっくりした表情をする。

「トリートーンも呼びますね」と

 瑠璃がβの笛を吹くと、どこからともなく、キラッと歯を光らせてポセイドーンとクジラに乗ったトリートーンがやってきて、瑠璃に膝まづく。


 ポセイドーンと人魚(マーメイドたち)は念波で会話ができるようで、藍の洞窟での出来事を手短に話したようだ。

「もう我々も、言い伝えでしか聞いたことがなかったので、今も実在しているとは……」 長老は驚きと興奮を隠せないようだ。


「ポセイドーンとトリートーンは私たちの守り神でもあったのです」

「今日は、宴を開きましょう。特別な場所にご案内しますわ」

「さぁ、この亀にお乗りあそばせ」・・・ってまさか


――🐢🐢🐢――


 海の底ではなく、亀に乗ってのんびりと波照間島の中央にある龍宮城に招待された。 海神ポセイドーンとトリートーンも一緒に招かれた。


 龍宮城は不思議な空間で、これも一種の魔法なのだと思うが、水流がいたるところから滝のように落ちており、その中を熱帯魚や人魚が泳ぎ回っている。


 人魚は陸地に上がるときには、人型になり綺麗な長い脚をのぞかせている。

 胸にはもちろん貝殻やココナッツのブラだ。

 滝が流れる通路を通り、大広間に行くと大きなシャコガイの席があり、その中に座るように促された。

 ポセイドーンとトリートーンは体が大きいので、そのまま胡坐をかいて座った。


 料理やお酒がどんどん運ばれてくる。

 宴席には長老の他、マーメイドやマーマンが100名くらいいて、鯛や鮃が舞い踊っている。・・・あれはタイ魔王だな。

 手や足があるので魔物なのだろう。

 目の前に、鯛や鮃など刺身がおいてあると少し複雑な気分だが、美味しくいただいている。

 北海道のビールも美味しかったが、沖縄の泡盛もすごく美味しい。


「自己紹介します!」といつもは大人しい紅々李が立った。

 どうやら酔っているようである。

 すでに前半で自己紹介は行っているので、ここは割愛しよう。


 いつもの通り、人魚たちが笑い転げている。

 ポセイドーンとトリートーンは瑠璃がいるためか、笑いを堪えていた。

 締めは、皆で琉球舞踏の「カチャーシー」を踊る。

 とても楽しい宴席であった。

 ポセイドーンとトリートーンは手を振りながら海に帰っていく。


――🐢🐢🐢――


 翌日、本土に帰るときにお土産をもらった。

 そう、「玉手箱」である。


「あの、これって箱を開けると煙が出てくるんですか?」と

 恐る恐る長老に聞いてみる。

「あ、昔そのようなものもあったわね。……未来に行ける魔法陣が書かれたものだったかしら。ただあれは、未来に行くと自分も相当の歳をとってしまうという代物です。あまり使えない魔法でしたね――」


「その箱の中を見てみればわかりますよ。取説を入れてあるから読めばわかると思います。――フフフ。面白いものをみせてもらいましたから。何かの役に立つでしょう。魔物を退治してくれたお礼よ。」

 長老が玉手箱を手に取り、差し出してきた。

「この中に入っている魔法陣は、未来に行ってしまうものは入っていないんですか?」

「あ~ら。おなた方に危険ものは入れてませんことよ。少し変わった箱です」

「分かりました。ありがたく使わせてもらいます」


「はい。皆さん、また遊びにいらしてね」

「はい。皆さんお元気で……またお会いしましょう」といってお別れした。


 ――🐢🐢🐢――


 次は、京都に行こう。


 ……龍宮城を出たら、100年後とかってないよな?……

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