7 中国・四国地方(後編)

 ハクビが教えてくれる。

「山姥はもともと巫女だったんです。

 それが呪いの魔法をかけられてあのような醜い姿になったようです。

 それを解くのは王子様のキスだったようですね。

 どこにキスするとかはなかったみたいですから、口でもオデコでもよかったんだと思います」


 ――しまった。オデコでもよかったのか~目を閉じてしまったからな。 ま、いいや。


「それからその包丁はかなり貴重な包丁です。

 魔力が強く纏っている防具や武器に対しては、切れ味がすごく、逆に魔力がないか魔力をほとんど纏っていないものだとまったく切れなくなるという代物です。

 そのままでも使えますが、加工してもその性質は失われませんから、父上が適当な刀に生まれ変わらせてもいいでしょう」


 無事、魔核マスターと魔物を倒し、魔核とドロップアイテムを回収できた。

 包丁は残しておくとして、その他のものは日葵たちが適当に日本支部に転送する。


 お昼にお好み焼きと新鮮な牡蠣を食べ、デザートにもみじ饅頭ときびだんごを食べた。 お腹も満足したし、広島支部に報告だ。

 広島支部に行くと、日本支店から連絡が入ったのか、祭りのような騒ぎで迎い入れられた。


「これで、河豚ふくや鰹の漁に行けます。みかんやすだちも収穫できます。

 お礼と言ってはなんですが、打ち立ての讃岐うどんでも召し上がっていってください」 といわれ、夕食にうどんをご馳走になった。


 ホテルに行くと、やはり

 ――スイートルームだ。これって、変に日本支部から情報が流れていないか?

 先ほどの戦いの後、紅々李がまだ身体を震わせていたので、優しくキスをした。

 ……少し落ち着いたようだ。


 それをこっそり見ていたクロが、皆に報告したようで、部屋に行くと美夜が「蜘蛛の糸」をもってニコッと笑って待っていた。


「今日は山姥と蜘蛛の糸ゲームするにゃん」

おそるおそる「どんなゲームなんだ?」と聞いてみる。


 美夜が蜘蛛の糸を投網のようにパッと投げてくる。

 クロがサッと羽交い絞めにしてきたので、動けない私は、まともにその蜘蛛の糸を受けてしまった。しかもクロも一緒に……


「しまった~ その手があったか。クロ変われ!」とか美夜が言ってる。

「もう変われないにゃ。クロとショウは一心同体にゃ」

 ――またぐるぐる巻きにされているオレって


「もうしかたないな。ゲームの続きだ」と言って、蜘蛛の糸を天井の梁に通し、糸をクロと私を除く皆で引っ張り上げ、私とクロが宙づりになる。


 私は目隠しをされ、宙づりのままぐるぐる回された。

 クロがキャッキャッと喜んでいる。……私は少し吐きそうだ。


「さぁショウ。これから一人ひとりキスするから、誰か当ててみろ」

「ショウが当てたら、今度のバトルはショウの好みの服装で過ごしてやる。外れたら、今日はフフフ」


 ――最初は、日葵続いて蓮月、紅々李、瑠璃(なぜ混じっている)、碧衣、最後は美夜だ。


――👄👄👄――

  

「全部当たりだ。よく分かったな。まぁ当然だな。外れていたら、そのまま宙づりにするところだったぞ」……なんて恐ろしい。


[わては、このままでいいにゃ」……オイオイ


 雪女がフワッと私の身体から出てきた。

「熱いわね~ 一心同体は私なんだから うふふ もう汗だくよ」

 雪女は、胸元をチラッとはだけて見せる。

 ハクビが

「精霊が実体化するなんてあまりしないほうがいいですよ。雪女様」

「だって、楽しそうなんだもん。それに雪女じゃなくて、雪ちゃんって呼んでね」

「雪の女王までされてた方が、ちょっと軽いですよ」とハクビが困った顔でいう。

「いいの。いいの。わては生まれ変わってショウと一緒になるため精霊やってるんだから」

「なんか負けた気がするにゃ。あても精霊なるにゃ!」

「あんたは異世界まで追っかけて行ったんだから、これでいいと思うえ」と雪ちゃん。 ――これも異世界を超えた闘いなのだろうか――


 それを見ていたメンバーが

「何かすごいことなってる」

「雪の女王ってなんかすごいね」

「クロっていったい――」とかブツブツ騒いでいる。


――👄👄👄――


「もうええわ! やっぱり、すぐ外そう」と美夜が言う。


「――エッ」 ……エッって何?


「この糸、かなり丈夫だぞ。刀でも切れない」

「もうショウとは離れなれない運命なのにゃ」


「それは許せん!」と美夜が焦る。

 そこにハクビが私のカバンをゴソゴソして、

「この包丁なら切れますよ」とアドバイスをくれた。


「あ~~ダメにゃ~~」とクロが抵抗しているが、

 ――切れた。


 さすが山姥の包丁だ。

 こういう危険な遊びは良い子は真似してはダメだと思う。

「これで一安心だな」

「ほな、うちは戻るよ」と言って雪ちゃんはスッーと消えていった。


「でもお兄ちゃん、全部当ててしまったし……どうする?」

「分かった! ショウだったら、私たちにこれを着てほしいんじゃないかな」と碧衣が言ってくる。


 って私の意見は? 

   ――まだ何も聞かれてないんですけど――

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