6 中国・四国地方(前編)


 一週間後の7月10日、現在は広島に来ている。

 今回の魔核マスターは中国と四国の間の瀬戸内海にいるらしい。

 瀬戸マスということにする。


 瑠璃にどの辺にいるか調べてもらう。

 瑠璃は手を海水につけると、なんとなく分かるらしい。


 どうやら安芸の宮島にいるようだ。

 安芸の宮島まで飛んでいくと、海の中に立っている大きな朱色の鳥居の下に、牡蠣の貝殻を体中に着けている魔核マスターと魔物を見つけた。


 前略   魔物様 省略します。    草々


 いつもどおり前座の魔物は手っ取り早く倒した。

 魔物「きび談合」「もみじマン」そして「お好みヤンキー」だ。

(もっといるぞ! と読者から文句が上がりそうだが、気にせず先に進む)


 瀬戸マスは、魔法陣を使って魔物を召喚した。

 魔物「土蜘蛛」だ。……オォー久しぶりにまともな魔物だ。


 瀬戸マスが「われぇ、たちまち土蜘蛛じゃ。ぼけ!」といってくる。

 土蜘蛛が「歌舞伎」のように網目状の蜘蛛の糸をメンバーに投げつけてきた。


「キャー」

 っと逃げ遅れた紅々李に糸が巻きつく。

 糸はネバネバしていて、しかも結構丈夫で切れない。

 美夜が前に出て、さらに飛んできた蜘蛛の糸を焼き払う。


 土蜘蛛は、自分で作った蜘蛛の巣の中央に陣取った。

 そこから蜘蛛の糸をまた投げつけてくるが、美夜が焼き払ってしまうため、蜘蛛もこちら側に近づけないようだ。


 そのまま膠着状態が続いたが、蓮月が蜘蛛を目掛け


「 竹山!」を放った。


 下から伸びてきた竹の先に、蜘蛛が串刺しになり、さらに日葵が「稲妻!」で止めをさすと魔核とドロップアイテム「蜘蛛の糸」が残った。


 蜘蛛の糸が土蜘蛛のいた木の上の方から垂れ下がっている。

 瀬戸マスはその糸を登り始めた。

 木にたどり着く間際で、糸が切れ瀬戸マスは真っ逆さまに落ちた。


 どうやら天国には行けなかったようである。

 いや、木の上には行けなかったようである。

 なぜ木に登ろうとしたんだ。と思ったら1枚の紙が降ってきた。


 クロが素早くそれを掠め取ってきた。

「ぶち痛てぇー。げに怒るでー。あそこに隠してた魔法陣、がめたろ」と言っている。

 ……何言っているかよくわからないが、どうやらあの紙は魔法陣らしい。


 紙を広げてみると魔法陣が書いてある。

 ――何の魔法陣かわからないが、魔力を通してみたら


 ――魔物「山姥」が現れた。……ゲッ 魔物じゃん。


 山姥がなぜかうっとりと私を見ている。

 ……ダメだ! 絶対にダメだ。キスはしないぞ。身体が受け付けない。


 でもせっかくなので、

「山姥。その娘の蜘蛛の糸は切れるか?」というと山姥は頷き、

 紅々李目掛けて包丁を振り上げた。


「キャーーーッ」 と紅々李が悲鳴をあげる。

「やめ――っ」っという間もなく

 山姥は紅々李の蜘蛛の糸だけスパッと切った。


 ――良かった~ でも紅々李が涙目になっている。


 次に山姥に対して

「あのマスターを倒せるか?」と聞くと、

 ニタァと笑って瀬戸マスに襲いかかった。


 瀬戸マスが抵抗してがなり立てている。

「このポンスーが! はがえーの つけえんけぇ われしばくど!」

 山姥がなぜかすごく怒って、包丁で瀬戸マスに斬りかかった。


 最初は牡蠣殻が鎧の代わりになって、切りにくいようだったが、

 牡蠣の内側の柱をうまく切ると美味しそうな牡蠣の身が出てきて、牡蠣の鎧は剥がれていった。


 さすが山姥、包丁の使い方が上手い。

 さらに包丁を振り回し、瀬戸マスをスパっスパッとみじん切りにしていく。

 瀬戸マスの抵抗むなしく、山姥に料理されてしまった。


 今回は我々の出番はないようだ。

 ・・・

   ・・・

     ・・・・・・・・・・・・・


 しかし、私は包丁を持った山姥に、しばらく追い掛け回されることになる。

 山姥が諦めたのか物悲しそうに泣いている。


「父上、山姥の願いを叶えてあげてくれませんか?

 ――父上の口づけには強力な呪いを解く力があるのです。」

 ……えっそうなの? 魔断とか封印の類か? 

 ハクビがそういうなら、意味があるんだろう。……覚悟を決めよう。

 目を閉じる。


 山姥がキスしてきた。 ……背中に悪寒が……

 でも、目を開けるとそこには羽衣を纏った綺麗な女性が立っていた。


 呪いが解かれたようだ。 

 涙を流してお礼だと言って

「なんでも切れる包丁だがなんでも切れなくなる包丁だ。うまく使いな」と

 研ぎ澄まされた包丁をくれた。


 あとは心残りもないし浄化してくれというので ……


 紅々李が「ちはやぶる!」と言って山姥を浄化してあげると、微笑みながら羽衣に導かれるように天に昇って行った。

 あんなにきれいな女性だったんだ。なにがあんな風に変えさせたんだろう?


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 とつぜんですが、ここで広島弁講座です。

(広島弁が堪能な方は、物語の進行とは関係ないので飛ばしてください)


「われぇ、たちまち土蜘蛛じゃ。ぼけ!」

 ⇒ お前らよくもやってくれたな。 とりあえず土蜘蛛だ。 呆けなすども!

「ぶち痛てぇー。げに怒るでー。あそこに隠してた魔法陣、がめたろ」

 ⇒ とても痛い。ほんとうに怒るぞ。あそこに隠してた魔法陣盗んだだろ

「このポンスーが! はがえーの つかえんけぇ われしばくど!」

 ⇒このアホが! 腹立つな 使えない奴だな お前ボコボコにするぞ

 となると思います。たぶん。


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