2 東北地方(前編)

 6月25日、仙台に来た。


 北海道はあんなに晴れていたのに、ここは梅雨ということもあり曇天だ。

 魔核マスターの影響もあるだろう。


 この地方に魔核マスターは、3人いる。

 ただ、他と違って3人いっしょにいるようだ。

 場所は蔵王。


 ――困った。……3人もいるとなると、なんて名付けよう?

 蔵王マスター1、2、3 ん~あまりに安直だ。


 蔵王の名物といえば……樹氷とお釜、玉こんにゃく

 ……よし! 樹氷マス、おかまマス、玉こんマスにしよう。

 魔核マスターの名前だからな。こんなもんだろう。


 蔵王のお釜の辺りに降りる。

 富士山の噴火に伴ってここも噴火したようだ。

 まだ噴煙が出ている。


 その噴煙の中から魔核マスターが出てきた。


「なんだ~おめえら。ここさ何しにきただ。」

「出たな。樹氷マス、おかまマス、玉こんマス! お前らを倒しに来たんだ。」


「誰が、おかまマスだ! 樹氷マスはまだ許せるが、玉こんもおかすいべ」

「りんごちゃん、ももちゃん、さくらんぼちゃん、こいつら取り囲め!」

 ――かわいい名前だ。魔核マスターにしてはネーミングセンスがいい。


 林檎と桃、サクランボに手足が生えた魔物がたくさん出てきた。

 デザート系だ。

 言わずもがな刀剣を構える。


 乙女達は、魔物「りんごちゃん」と「ももちゃん」の皮を綺麗に剥いていく。

「りんごちゃん」と「ももちゃん」は 「キャーーッ」

 と悲鳴を上げ、手足で大事なところを隠す。

 ――って、大事なところがよく分からないが ……


 魔物「さくらんぼちゃん」は、サクランボが2つで1つの魔物だ。

 実から出ている柄の部分が繋がっている。

 皮を剥くわけにはいかないので、その柄の部分を切り離すとなぜが


「 キャーーッ! エッチ~」と言って大事なところを隠している。

 ……ん~大事なところって ……

 そのまま、りんごちゃん、ももちゃん、さくらんぼちゃんは頬を赤らめ、

 ドロップアイテムになってしまった。

 魔核はあの実の中にあるのだろう。


 おかまマスがなよっとして、

「やっぱり果物系はNGね」と、きどった言葉を発した。

「次は、植物系だ! 行けぇ 「いーぶりがっこ」「ズンダー」「玉こーん」」


 3セットで一つみたいな出方をしてくる。

 魔物「いーぶりがっこ」は、簡単にいうと大根の漬物の沢庵を燻煙でいぶった魔物だ。

 魔物「ズンダー」は、餅に枝豆をすり潰してまぶした魔物で、黄緑色をしている。

 魔物「玉こーん」は、甘タレの醤油で煮詰めた玉こんにゃくを3~5個串で刺した魔物だ。

 どれもとても美味しい。いや危険な魔物で手と足がある。


 魔物「いーぶりがっこ」が身体を雑巾のように捻り、回転蹴りをしてくる。

 同時に魔物「ズンダー」が身体をもちもちさせて近づいてくる。

 さらに魔物「玉こーん」が頭の先にある尖った串の先を向けて突っ込んできた。


 回転蹴りを上手く避け、けたところを刀でタタタタタンと切る。

 ズンダーは短い足だったので、足を引っ掛けて転ばすと、その辺の草にくっついた。

 玉こーんはまっすぐ飛んできたので、スッとやり過ごし、お尻から出ている串を引き抜いた。


 すると、いーぶりがっこが黄色の漬物に、ズンダーは鮮やかな緑の草もちに、玉こーんはくすんだ茶色の玉コンニャクになりドロップアイテムになった。


 玉こんマスが

「こんちくしょう! 玉とっちゃうわよ」 と、卑猥な言葉を発する。

「次は、動物系だ! 「牛ターン」、「ハッタハッタ」、「ホヤムスメ」行けぇ」


 魔物「牛ターン」は、牛の舌を味噌または醤油をつけ炭火で焼いた魔物だ。

 魔物「ハッタハッタ」は、秋田沖で取れるハタハタが、なぜかハリセンをもった魔物だ。

 魔物「ホヤムスメ」は、海のパイナップルと呼ばれ、2つの突起のある赤茶色の帽子をかぶった魔物だ。


 魔物「牛ターン」がくるりと回って、舌舐りしながら乙女のお尻をペロッと舐めてくる。

「キャー何すんのよ!」と乙女達は牛ターンにビンタを食らわしている。

 魔物「ハッタハッタ」が、私がメンバーのお尻が舐められているのに目を奪われていると、後ろからハリセンでいきなり叩いてきた。


 パシーン!

 と大きな音の割に、あまり痛くない。

 しかし、これが本当の刀だったら私の首が飛んでいたところだ。

 魔物「ホヤムスメ」がウインクして頭から潮を飛ばして攻撃してくる。

 魔物「ハッタハッタ」がさっきの林檎や桃、さくらんぼを持って、

「ハッタハッタァ」と声をかけてくる。

「兄さん、安くしとくよ。ホヤムスメも食べごろだよ」と誘惑している。


 Lip Magic Generations のメンバーにキッと睨まれるが、

 私はそんな誘惑には負けはしない。安心して欲しい。

 魔物「ハッタハッタ」を三枚に下ろして黙らせた。


 そして、Lip Magic Generations のメンバーはいやらしい牛ターンの舌を舌の根元から切り落とし、口がきけないようにした。(もともと話さないが) 

 魔物「ホヤムスメ」も頭のカツラのような皮を剥くと、頭を押さえ恥ずかしがっている。

 3つの魔物は、ドロップアイテム「牛タン」「ハタハタ」「ホヤ」になってしまった。


 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・・


 残すは、 樹氷マス、おかまマス、玉こんマスだ。

 樹氷マスが

「東北の各地の名産品集めるの大変だったんだぞ!」 と怒ってる。


 おかまマスが座り込んだ。

 樹氷マスが、おかまマスターの頭の中央の禿げた部分を取り囲む頭髪に冷たい息を吹きかける。

 禿を囲むように頭の上に樹氷ができている。

 玉こんマスが、玉こんを茹でていた熱々の熱湯をおかまマスの頭にかけた。

 すると、白い蒸気が立ち上がり、たちまち辺り一面、白い靄で覆われた。


 ――すごい連携プレイだ。 ……おかまマスの頭は大丈夫だろうか?


 と余計な心配をしていると、

 おかまマスが「オカマホール!」と叫んだ。


 ――すると、私はとても深い穴に落ちていった。

「……ウ!ワァ~~」

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