15 雪女

「ショウ。とても久しぶりね。忘れちゃったかしら?」 


 といって手をとる。  

 ――はて? ……いつの話だ? 


「あなた勘違いしてるでしょ? 私は魔物じゃないわよ。雪の精霊よ」

 どおりで、魔物の気配がしないと思った。


 雪女はフフと笑みを浮かべている。

「雪ん子助けてくれてありがとう。 あなたと私の子供よ」


 ――うそ! いつの子供だ? 魔神世界にいたときか? まったく覚えてない。

 乙女達が胡乱な目で見てる。


「パパ~」と3人の雪ん子が手を広げて近寄ってくる。


――♀♂♀――


 ……

   ……


「――って、嘘よ」 といいながらウフフと笑ってる。


 ――悪い冗談だ。焦ったぞ。


「でも、ありがと。助かったわ。あのマスターったら私に言い寄ってきて困ってたのよ。しかも雪ん子まで人質に取って……許せないわ」

「ショウ……まだ思い出せていなようだけど、あの頃は楽しかったわね。……これはお礼よ」

 といって雪女に冷たいキスをされた。 ――頭の中が真っ白な雪の光で満ち溢れた。


「私が『 雪の精霊 』の加護で守ってあげるわ。あの頃のようにね」

 そういって、雪女と雪ん子が雪の結晶で光に包まれるように消えていった。


 乙女達がクロを除いて冷たい視線で見ている。

「あの頃って5000年も前のことだぞ。まだはっきり思い出せないし――」

「まぁショウだからな。何があっても不思議ではない。……子供の1人や2人我慢しよう。……いや3人か? 」美夜が諦めたように頭を振りながら言う。


「だから、雪ん子はおれの子供じゃないし、生前の子供とかって完全に時効だと思うぞ」


「――ん~確かにそうだな。生前の子供はいても不思議ではない。少し納得した」


 みんな笑顔で笑ってる。 ――ふぅ、良かった。

 しかし、魔神世界のオレってどんなことしてたんだ。

 まだ完全に思い出せていないし不安だ。

 まぁここで考えていてもしかたないな。

 そのうち思い出すだろう……って思い出すのが怖い。


 とりあえず、北海道の魔核マスターは倒した。

 魔物はまだ残るが、これで街の外にも人が戻ってくるだろう。

 一安心だ。北海道支店に報告しよう。


 ・・・・・・ ・・・・ ・・・ ・・ ・ ・


 北海道支店に戻ってきた。

 空が晴れ渡っている。

 雲ひとつない澄み切った空だ。


 今日は満天に星が見えるだろう。


 支店に入ると、支店長が来て

「ハクビ様、 Lip Magic Generations の皆さんありがとうございました。

 北海道から魔核マスターはいなくなったようです。

 こんなに早く魔核マスターがいなくなるとは思いませんでした。

 これで北海道も安心して生活できます。 冒険者もまた戻ってくるでしょう」


 とお礼を言われ、ポイントとお金をくれた。


 あの大雪マス(Sクラス)は、破格の10万P 、5000万円だそうだ。

 大雪マスの魔核はなかったが、倒した確証はハクビがしており、ポイントをつけてくれるという。

 富良野マスと魔物を加えると(多少、ポイントは上乗せしてある。)


 合計ポイントと金額は、12万P(15000P/人) 6000万円になった。 


 *ギルド会員証メモ欄 6月15日 15000P 累計77862P


 宿に行って寝る事にする。

 3人部屋を3つ用意してもらった。


 私の部屋は瑠璃とハクビだ。

 瑠璃が甲斐甲斐しくハクビの世話をしている。姉または妹ができた気分なのだろう。


 ハクビがブラシで瑠璃に毛づくろいをしてもらっていると、急にトランス状態になった。


「ショウ。ありがとう。まずは北海道の魔核マスターを倒してくれたことにお礼を言おう」


 魔神(創造神)だ。


「はい。次は本州ですね。魔神様。またお願いがあります」

「なんだ。言ってみろ。」

「今度は、移動魔法陣の転移先を日本支部にしてもらえないでしょうか」


「分かった。ハクビに伝授しておく。本州、九州、四国は各地方に魔核マスターがいて、制圧している。頼むぞショウ」

「はい。やってみます」


「――それにしても……フフフ」

「なんですか? その変な笑いは――」



「――雪女だ。あの者は以前は女神をやっていたのだ。

 ある事件があってな、精霊にしてやったんだ。

 またお前と一緒になるとはな。まぁがんばれ――」


 といってハクビを元に戻した。

「まったく、いつも魔神様は・・・きつね使いが荒いなぁもう」

「お父様にも精霊の加護がつきましたね。

 雪はもちろんなのですが、雪に関係する事象を操ることができます。

 雪というより、氷点下の温度を司る精霊と考えたほうがいいでしょう。

 雪はひとつの事象に過ぎません。

 あらゆる水分を凍結させてしまう。

 たとえ人の血液であろうと凍結させてしまうスキルです。

 付け加えると瑠璃さんとの相性がとても良いスキルです。さすが兄妹ですね」


「フフフ~ 私と兄様がいれば鬼に金棒よ。まかせといて」と 瑠璃が自慢気にいう。 ……オレは金棒か?

「精霊「雪女」がいろいろ制御してくれるので大丈夫だと思いますが、かなり危険なスキルです。注意されてくださいね」


 ……なんかヨウビにも同じことを言われたような気がする。

「ハクビ。ところで、今度はどこに行けばいい?」


「一度、日本支部に行きたいと思います。

 そこの支部長と話をさせてください。

 魔核を持ったマスターは、各地方にいるようです。

 大雪マスタークラスの魔核マスターは、東京にいるようです。

 まずは、各地方の魔核マスターを倒していきたいと思います」


「分かった。まず明日は日本支部に飛ぼう」

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