14 大雪山

 さぁいよいよ大雪山の魔核マスター退治だ。

 ポップコーンの入った大きなカップを片手に持ち、食べながら大雪山に飛ぶ。

 ――なかなかいけるな。 塩味が効いていていいつまみだ。


 大雪山は、暗雲が空を覆い、6月だというのに雪が降り、靄が立ち篭めていた。

 その雪原の中に、黒い人のようなものと、白い服を着た女性が立っている。


 探すまでもない。

 あれが大雪マスだ。

 悪魔の羽が生え、手には悪魔がもつような大鎌を持っている。


 雪原に降り立つと、白い服を着たとても美しい女性が、悲しい表情で手を振り上げ

「 吹雪!」 と言って攻撃してきた。


 美夜が炎炎に乗り、「豪炎!」と言って吹雪ごと雪を蒸発させていく。

 大雪マスが

「雪女! もっと強い攻撃をしろ! 雪ん子がどうなってもいいのか!」 と叫んでいる。

 ……あの美しい女性は魔物の雪女だ。……でも少し様子がおかしいぞ。

 少し様子を見るか。


 雪女が 「 霧氷!」 というと、

 まわりに立ち篭めていた靄が氷に変わっていく。

 そして樹木も草も全て氷に変わっていく。

 大雪マスが手に持っていた大鎌を振り回すと、樹木は粉々なって砕けていく。


 ――あれに巻き込まれると、我々が全て凍らされる可能性がある。

「美夜! 我々の周りに「円炎」だ!」


「 円炎!」 我々の周りに炎の壁を作り、霧を蒸発させる。


「この役立たずめ!」 と言って、雪女を大雪マスが頬を打った。


「お父様、あの雪女は子供の雪ん子を囚われているようです。

 私が透明となり探してまいります」

「分かった。頼む!」


 大雪マスが、鎌を振り上げ我々に向けて振りかぶると、その方向に切れ込みが生じたように衝撃波が飛んできた。


 それをサッと避けると、衝撃波は後ろの方の山に当たり、爆発して山が崩れた。

 ……山が崩れるとかって、

 当たったら死ぬぞ。あぶないな~


「クロ、日葵、あのマスターを魔法機関銃で撃て!」 

「了解!」・・・ダダダダダダッ

 と機関銃をぶっ放した。

 大雪マスは手を前に広げ、何も言わずに魔法陣を作り上げ、見えない壁で全ての弾を落とした。

 ――無詠唱だ。こいつ悪魔と契約しているな。・・・


 そこへハクビが

「お父様見つけました。雪ん子は保護しました」


 すると、雪女が…… シュッと翻って、その雪ん子の前に降り立った。

 3人の雪ん子が 「お母さ~ん」 と泣きながら雪女に縋り付く。

 雪女も泣いて抱き寄せ合っていた。


「よくもやってくれましたわね」 と 雪女が冷たく光る眼をして叫んだ。


「 つらら!」

 と大きな円錐状の氷柱を作り、飛んでくる。


『つらら』は我々の上を通り過ぎ。マスターに向かって飛んでいく。

 大きなつららを幾重にも飛ばしていく。

 しかしマスターは見えない盾でそれを防ぐ。


 さらに雪女は、もう片方の腕を上げ

「 つらら!」 と叫ぶ。

 するとマスターの前方だけでなく、後方、いや四方八方につららができ、大雪マスを貫いた。


「この雪女~~~」  と 大雪マスが叫ぶが、まだ息絶えていない。


私は 「みんな、とどめだ!」 と叫んだ。


 紅々李が   「 ちはやぶる!」

 瑠璃が     「 蟒蛇! 」

 クロが     「 混沌! 」

 蓮月が    「 月下美人! 」 

 美夜が     「 不死鳥! 」 

 日葵が     「 雷神! 」 

 碧衣が     「 風神! 」   と同時に叫ぶ。


 それぞれの大技が大雪マスに爆裂する。 

 そして今ある魔力の精いっぱいの力をぶつけた!

・ちはやぶる! 大きな清浄なる光が大雪マスを包み込む。

・蟒蛇!    白い蛇が大雪マスを縄状に締め上げる。

・混沌!    細胞破壊を起こし、大雪マスの体がボコボコしてくる。

・月下美人!  清浄の光の矢が、四方八方から大雪マスを突き刺す。

・不死鳥!   不死鳥が現れ、火の精霊が大雪マスを燃やしていく。

・雷神!    雷雲を呼び寄せ大量の雷を大雪マスに浴びせた。

・風神!    竜巻とともに現れた風の精霊が相手を真空状態にして切り刻む。


 それでも大雪マスは辛うじて息絶え絶えに

「お前ら、覚えてろ! また後でな 」 と叫び、大きな魔法陣を作り転移しようとしている。


 そこへハクビが 「 魔断!」を帯びさせた妖刀イペタムで大雪マスを切り刻むと、大雪マスは転移できなくなった。


「なぜだ!」 と大雪マスが困惑して叫ぶ。


 ――私は思わず――


「 封印! 」


 と叫び、大太刀で大雪マスを頭から縦にズバっと一閃した。


 マスターは霧散したかと思うと、

 一旦広がった霧が凝縮されるようにひとつの毒々しい魔法陣になった。


 ……魔核じゃない?


 雪の上に魔法陣が出来上がっている。


「お父様!やりました。

 魔核マスターを封印できました。

 ここまで悪魔の力で増強した魔核マスターは、倒すことはできなかったと思います」


 ――封印ってなんだ? ……いままで使ったことないぞ。こんな技?


「お父様。封印は「魔断」の発展系ですね。上位魔法と思えばいいですよ」

「魔法陣は封印したときにできるんです。

 このままだと、また復活するかもしれませんから、美夜さん、この魔法陣は燃やしてください。」


 美夜が雪の上の魔法陣を「 豪炎!」で雪を溶かして蒸発させた。


 それから、雪女が私の側に寄ってきて、


「ショウ。とても久しぶりね。忘れちゃったかしら?」 といって手をとった。  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます