13 富良野

 数日後、まず、富良野に行く。

 ここの魔核マスターを倒せば、いよいよ北海道では最後の魔核マスターと決戦である。


 時計台の屋根から飛び立ち、富良野には30分で着いた。

 ラベンダーが咲き乱れていてとても美しい。


 蓮月がラベンダーに話をする。

 サワサワサワとラベンダーがたなびくと、

「そのマスターなら、『 美瑛の青い池 』でがっちゃい服着て、がおった顔してたな。 とうきびまくらってっから見れば分かるべンダー」


 何をしているのか分からないが、たぶん、 美瑛の青い池にいるはずだ。

 富良野の今は人のいないラベンダー畑から、「花道!」を作り、歩いていく。

 ラベンダーが

「こっち、こっち」と案内してくれる。

 

――🌸🌸🌸――


 しばらく行くと、ラベンダー畑から白樺生い茂る雑木林に入った。

 そこにもラベンダーが次々花を咲かせ、道を作ってくれる。

 ラベンダーが香る小路を歩いていくと、モスグリーン色をした青い池を見つけた。

「あそこにいるベンダー。あいつ、うちらの仲間を魔物に変えてしまうだ。倒してラベンダー」 とラベンダーに頼まれた。

蓮月が困って

「君らの魔物になった仲間は救えないかもしれないよ」

「かまわねえべ。うちらはまた生え変われるンダー。でもこれ以上魔物にはしたくねーダー」

「分かった。任せといて」 と蓮月が胸を叩いてラベンダーにいった。


 青い池の傍にいるのが富良野マスだな。なんか変な服を着て、とうもろこしを食べている。

 ……とうもろこしも美味しそうだな。でも、まだ時期じゃないだろうに。


 富良野マスがこちらに気付いたようで

「あっ、おらのトウキビ狙ってきただな。トウキビは雪山に保管してただべ。やんねど!」

 ……そうか。雪で保管してたんだ。偉いなー。でも食べたいな~


「やっちまえ! 『ざんぎ』、『ら・ベンダ』」とあらかじめ書いてあった魔法陣で魔物を召喚させた。

 魔物「ざんぎ」は鳥唐に足と手が生えた魔物である。

 魔物「ら・ベンダ」はラベンダーが入った瓶に手と足が生えている魔物である。

 ざんぎは、手羽先を広げ、羽毛もないのに飛び上がった。脂汗が滴り落ち、必死に飛んでいるのが分かる。

 ら・ベンダは頭の蓋を開けて、とても良い香りを出してきた。


 ――とても気持ちが落ち着くなぁ……


 ハッ、これはラベンダーの鎮静効果だ。

 乙女達はとてもまどろんだ顔をしている。

 そこに手羽先もといザンギが油を搾り出し吹きかけてくる。


 そこへ富良野マスターが

「フッフッフッ これが分かるか?」とマッチを持って脅してきた。

 ……火をつける気だな。

「マッチ売りの少女の真似ね」と蓮月が尋ねた。

「ちゃうわ! おまえらを焼き殺すんだ」


「瑠璃! ゲリラ豪雨だ。」

 瑠璃がすかさず 「ゲリラ豪雨!」 と叫ぶ。

 怒涛の雨が富良野マスと我々に降り注いだ。


 富良野マスは、マッチを擦るが当然火は点かない。

「しけってしまったでねえか」

 乙女達に雨が降り注ぎ、油とラベンダーの香りも洗い流される。


 「よくもやってくれたわね。おかげでビショビショじゃない!」と美夜が怒って、

「ざんぎ」と「ら・ベンダ」に 「豪炎!」 を放った。

「ざんぎ」と「ら・ベンダ」も油なのでよく燃えた。

(*ラベンダーからはラベンダー油がとれます。)


 後には、それぞれの魔核とドロップアイテム「鳥唐」と「100%ワイルドラベンダーの精油の瓶」が残っていた。


 その間に富良野マスターは呪文を唱えている。

「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ

 かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ


 私はある秘策を用意していた。

「瑠璃、クロ、今だ!」

 瑠璃とクロは富良野マスターにすばやく近寄り、

 コチョコチョコチョ……と、こちょがした。


「かえるぴょこぴょこ3ぴょこ……わははは……」

 瑠璃とクロがすばやく離れる。


 ドンッ・・・富良野マスは爆発して黒くなった。

 富良野マスターは 「 ずるいべ! このよくもやっただな。最後の攻撃だ!」

 と言ってとうきびを頬張ると、


 ププププっ と、とうきびを飛ばしてきた。

 ……汚っ……


 これには乙女達も嫌だと思ったのかあっちにこっちに逃げ回る。

 しかも地面に落ちると激しく爆発した。

 瑠璃が 「水壁!」 で防御し、

 碧衣が 「鎌鼬!」 で、富良野マスと飛んできたとうきびの実をまとめて吹き飛ばした。


 富良野マスはとうきびの爆発とともに切り裂かれ霧散した。

 その跡には、マスターの魔核とドロップアイテムの新鮮な「とうもろこし」と「ポップコーン」が大量に落ちていた。


 前哨戦は終わった。

 決戦を前にここでお昼を摂ることにした。

 お腹がすいては……である。


 とうもろこしを蒸して焼き、鳥唐を食べる。

 なかなかジューシーで美味しい。

 富良野マスも変な魔物だったが、雪山を利用した保管管理だけは褒めてあげよう。

 とうもろこしもやはり新鮮なものはとても美味しい。

 生でもとても甘く食べられた。


 ポップコーンはおやつに少し残し、余った「鳥唐」と「とうもろこし」、「ポップコーン」はハクビの魔法陣で転送した。


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 *突然ですが北海道弁講座です。

 ストーリーとは全く関係ありません。(北海道弁が堪能な方は次の頁へ)

「そのマスターなら、「美瑛の青い池」でがっちゃい服着て、がおった顔してたな。とうきびまくらってっから見れば分かるべ。」

 ⇒そのマスターなら、「美瑛の青い池」でがっちゃい(安っぽい)服着て、がおった(疲れた)顔してたな。とうもろこしを食べているから見れば分かるよ。

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