12 利尻島

 利尻島には、宗谷岬から15分ほどで着いてしまった。

 蓮月が聞くと「マスターは今この島にはいねだ。別の島に行ったみでだぞ。」

 と杉の木が教えてくれた。


 別の島というと、礼文島かもしれない。行ってみよう。

 礼文島には3分もしないで着く。


 礼文島の杉の木に蓮月が聞くと、

「そいつなら、たんぱら起こしてスコトン岬で酒飲んでぐったらめいとるスギ」

 ……「たんぱら」と「ぐったらめく」がよく分からんが、この島の北のスコトン岬にいるようだ。

 ――困ったぞ。

 ……利尻マスターかと思ったら礼文マスターになってしまった。


 ……スコトン岬 …スコトン、スカトン、スカタン

 ……アホなマスターに思えるからスカタンマスにしよう。


 ハクビを外に出し、スコトン岬まで景色を眺めながら歩いていく。

 礼文島には、本土には見られない綺麗な花が咲いている。

 アツモリソウやコザクラ、ウスユキソウが咲き乱れていた。

 海もどこまでも澄んでいて美しい。

 あまり高い樹はなく、草原が続いている。


「あっ、あそこにスカタンマスがいるにゃ」とクロが教えてくれる。

 それを見て、日葵がいきなり「 雷! 」とその魔核マスターめがけ落とした。


 ……あはは。やっちゃったよ。……少し様子みようと思ってたけど、まぁいいか。


「なにするだ! 気持ちよく酒飲んでたに」と

スカタンマスは黒くなってプスプス燻いている。


「お前がスカタンマスだな! 覚悟しろ!」と美夜がいって

「 爆炎! 」 を叩き込む。

 ボンッ!となって、

 さらに黒くなったスカタンマスが


「スカタンじゃね~。よくもやってくれただな~」

「ゲリラ豪雨!」

 瑠璃が、黒くなっているスカタンマスを洗い流してあげた。

 さらに碧衣が「 突風! 」といって乾かしてあげてる。


「う~~寒み~べちゃべちゃでねか~凍えじぬ~」

と言ってたので、美夜がすばやく

「 豪炎! 」 といって温めてあげる。

 おまけでクロが「 桃源郷! 」といって気持ちよくしてあげた。


「焼け死ぬべ! ってなんだか気持ちええなぁ……って違うだ! このお前ら、おらを使っておちょくってるだな。」

 ……おお~やっと私の気持ちを分かってくれそうな人が出てきたぞ。


 でもな~スカタンマスだからな~

 蓮月と紅々李が「そだねー」といいながらお腹を抱えて笑っている。

「この~おだっているのか!? きもやける~ 今度はおらが攻撃する番だべ! 行け! コンブー」

 ――あっコンブーだ。コンブーの対処の仕方は分かっている。


「蓮月。竹山だ。」

「 竹山! 」

 と蓮月が叫ぶと、コンブーが竹に刺さって身動き出来なくなる。

 スカタンマスが 「この~次はくもたん行け!」


 ……やった! 出てきました「くもたん」。

 乙女達の目が一段と輝く。

「おめだちも行け!」とスカタンマスが言って出てきたのは

 魔物「ホッケちゃん」だ。


 さらに乙女達の瞳が輝く。ヨダレまで出てきそうな勢いだ。

 ヨダレを拭きながら抜刀する。


 ここで魔法(スキル)は使えない。私も抜刀する。

 ハクビのお腹が鳴ると、妖刀イペタムは、何も言わなくとも勝手に鞘から出てクルクル回っている。

 ハクビもお腹がすいていたのだろう。

 イペタムは主人の身に危険が及ぶと助けてくれるらしい。


 一瞬だった。


 意気投合した我々は、あっという間に魔物を片付け、雲丹どんぶりとホッケのちゃんちゃん焼き、利尻昆布の味噌汁を作り始めた。


「何、無視してるだぁ!」

 なぜか食材を提供してくれたスカタンマスが怒っている。

「もう。しょうがないな相手してあげる。私の分食べないでよ」

 と瑠璃が料理を作っている我々に一言、言った後、


「で、何してくるの?」 とスカタンマスに相対していう。

「何っておめえ……ちょっと待ってろ。魔法陣作っから」といってブツブツ言い始めた。

「待ってるわけないでしょ。お腹すいてんのよ!」

「 氷柱! 」といってスカタンマスを氷漬けにしてしまった。

「こっちはお腹すいてんのよ。バーカ」

 ……瑠璃、その言葉遣いはお兄ちゃん好きじゃないぞ。

 少し早口言葉の魔法も聞いてみたかったな~


 夕食をとりながらその氷の柱を見ていると、

 スカタンマスは氷の中で、少しじたばたしていたようだが、しばらくすると魔核に変わってしまった。

 氷の中には、人型をした空間と魔核、杖が落ちている。

 呆気ない最後だったが、とても美味しい雲丹とホッケを用意してくれたことには感謝している。


 ありがとうスカタン。


 余った雲丹とホッケは持てる分だけバックにいれ、残った分を札幌支店に送った。

 ――札幌に帰るか。

 礼文島は初夏とはいえ、ここでキャンプをするには夜は冷える。

 泊まるには札幌の方がいいだろう。

 一路、札幌に戻ることにした。

 利尻富士を眺めながら礼文島を飛び立ち、約1時間で到着した。


――★★★――


 久しぶりに、札幌支店に顔を出す。


 なんか、すごい賑わいだ。

 働いている人が10人くらい増えている。

「どうしたんですか?」と窓口のお姉さんに聞くと

「あっ支店長! 戻ってきましたよ~ Lip Magic Generations の御一行様です」


 ……御一行様とかって

「これは、ハクビ様と Lip Magic Generations の皆様。

 お疲れ様でした。こんなにこの支店が活気づくのは何年ぶりか……」

 といって支店長が涙ぐんでいる。


 毎度、魔核やドロップアイテムが送られてくるからそれを捌くのが大変だったようで、アルバイトを雇ったらしい。

 熊肉が送られてきたときは、3階に入りきらず、窓が割れたそうで、危うく時計台が潰れてしまうところだったみたいだ。


 ポイントは支店長権限で、少し上乗せしてくれたようで、8人できりよく割り切れるようになっていた。

 特別な功績があった場合に、支部長や支店長はポイントを追加できるらしい。


 合計ポイントと金額は、16万P(2万P/人) 6000万円だそうだ。 


 *ギルド会員証メモ欄 6月10日 20000P 累計62862P


 ハクビに聞くと北海道に残っている魔核マスターは、富良野と大雪山だけらしい。

 いよいよ大本命の大雪マスターだ。

 このマスターには、これまでとは比べ物にならない魔物が付いているらしい。気をひきしめないと……


 でも、今はゆっくり寝て身体を休めよう。


 次が本番だ。


 しっかりと対策を考えないといけない。



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 ここで北海道弁講座です。(物語とは関係ありません)

「そいつなら、たんぱら起こしてスコトン岬で酒飲んでぐったらめいとるスギ」

 ⇒そのお方なら、気が短いのか怒ってスコトン岬でお酒を飲んで訳わかんないことを話していたよ。

「この~おだっているのか!?~きもやける~」

 ⇒この~ふざけているのか!?~腹立つ~

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