2 札幌

「どっから来たんだい。お姉ちゃん達。おじちゃんと遊ばないかい」

 まぁだいたいこうなる。

 私が前に出て、

「東京の方からです。冒険者です。通してください」と言ってギルド会員証を見せる。


 門兵はつまらなそうに見て、

「なんだ。冒険者か。いいよ通りな」

「ギルド支店はどこですか?」

「それなら、この通りに沿ってしばらく真っ直ぐ行くと時計台が見えてくる。そこがギルド支店だ」

「ありがとうございます」と言って熊の肉を少しあげた。

「おぉー肉だ。久しぶりだぜ。ありがとうよ、ぼうず」

お腹が空いていたのだろうか、とても喜んでいる。


――🐻◇🐻――


 しばらく歩いていくと真っ白な時計台を見つけた。

 中に入ると、ギルド支店と看板が出してあって、窓口に行く。


 窓口は3つしかなかった。

 総合窓口と鑑定窓口、買取窓口1箇所ずつだ。

 最初に総合窓口に行き、ギルド会員証を提示し、ホテルの予約をする。

 いつものことながら、階級と年齢のギャップに窓口のお姉さんは私と手帳を何度も見て目を行き来させている。


「ここにリオ支部で書いてもらったメモがありますので見てください」


【 この手帳は本物であることを保証する。 リオデジャネイロ支部長 テオ 】

 と書いてある。


「お若いのに、B級なんですね。ホテル人数分お取りしますが、何人部屋がいいですか?」

「3人部屋を3つ用意してください」

「1泊1部屋3万円になります。よろしいですか?」

「3割にしては高いような気がしますが、ここは物価が高いのでしょうか?」

「はい。他の国に比べると10倍くらい高いかもしれません。特に食料は高くなっています」

「分かりました。よろしくお願いします」


 城壁の外には魔物がいて、物資や食料が少ないのだろう。

 物価がかなり高くなっているようだ。


 次にさっき採った「ひぐまん」を鑑定に出す。

 鑑定窓口で「これ鑑定してください」

 と、「ひぐまんの魔核」と「肉」や「熊の胆」、「熊の手や足」、「熊の毛皮」などを載せていく。

 あまりの量に窓口のお姉さんが口をパクパクしていたが気にしないで積み上げていく。


 ――少し食べたとはいえ、200~300kg相当の熊5匹分だからな。

 キャンプ用品はあるので、食べるのは簡単だったが、持ってくるのが大変だった。

 瑠璃に氷の台を作ってもらい、肉などを上に置き、見えないようにテントカバーをかける。

 蓮月の花道で滑りやすくし、テントカバーでその辺に生えていた竹を使って帆を作り、碧衣に風で押してもらった。

 蓮月が木や草に言うと、滑りやすくしてくれるので助かった。


 鑑定結果は、 合計で 500P(1人62P) 650万円 だった。(下欄参照)

 すべて交換窓口で、交換してもらうことにした。


 *ギルド会員証メモ欄 5月20日 62P 累計42862P


 なお、ハクビは冒険者登録をしておらず、また、なる気もないのでPはつかない。


 物価が高いためだと思うが、結構な金額になった。

 でも1/10にすると65万くらいにしかならないということだ。

 ここでの買い物は控えたほうが良さそうだ。


 札幌に来たんだし外に出て、ビールとか飲んでジンギスカンとか食べてみたいところだけど・・・。

 未成年だしビールは飲めないなと思っていたら、この魔神世界では15歳以上が成人だという。

 皆と相談し、前世の記憶はあるといえ、初めて飲むんだからと少しだけ味わうことにした。


――🐰🐻🐰――

 ・・・

   ・・・

     ・・・そんなわけにはいかなかった――

 なんとなく予感はあったが、始めてのビールの味のはずなのに記憶が蘇ってくる。

 ジンギスカンを食べながら、かなり飲んでしまった。

 会計を見てびっくり。


 1人50万円で、ハクビと瑠璃はビールを飲まなかったので1人20万円、合計で390万円。

 ぼったくりバーにでも入った気分だ。

 ここの食料は極めて高いことに気づいた。――これからは自重しよう。


 フラフラ気分でホテルに雪崩込んだ。

 瑠璃とハクビは私を両側から担いでいる。

 私の部屋に担ぎ込まれると、皆が入ってきた。


 美夜が

「ここで2次会しま~す」 というが、お酒などない。

 何かよからぬことを企んでいるようだ。

「フフフ。白雪王子ごっこする人、手を挙げて!」というとハクビを除き皆シュタと手を上げる。

「決まった」――クロがシュッと来て逃げる間もなく私をグルグル巻にする。

 この連携プレイすごいな。……と少し感心する。


 ハクビは焦るというか、困り顔で見ている。

 少しため息を吐いた後、透明化してしまった。

 もう、酔っ払ってるし、どうでもいい気分なりそのまま寝ることにした。


 目を閉じ会話を聞いてる。

「じゃ、まずクジを引いて……」最初は紅々李だ。

 紅々李は運がいいみたいだ。

 今度宝くじでも買わせてみよう。

「1人10分だぞ。10分以内に目が覚めなかったら、次だ」と美夜がルールを決めていく。

 紅々李がキスしてきた。

 気持ちよくてそのまま寝てしまいそうだ。

 ――少し目を開けてみようかな。

 すると、美夜が鳩尾に肘を入れてきた。


「ウッ!」


 うめき声とともに意識が遠のいていく。

 完全に意識が飛んだ。

 すると、頭の中に創造神の魔神が出てきた。

「また面白い遊びをしておるのう」

「面白くなんかないですよ。あの姿見てください。グルグル巻ですよ」

「ビーナスも同じようなことしておったぞ。美人はああいうのが好きなのかもな」

「この北海道は広いからな。

 幹部クラスが各地におる。

 雑魚は放っておいてもいいが、幹部クラスを倒しておかないと、ボスを倒しても次の幹部がボスになってしまう。

 まずは、各地にいる幹部を倒し、最後に大雪山にいるボスを倒すといいだろう」


「――分かりました。分からないことがあったら、また教えてください。

 でも、ひとつ困ったことがあります」

「なんだ?」


「魔物を倒した時の荷物が多くなりすぎることが予想されます。

 我々のバッグでは詰めきれないでしょう。

 何かいい方法はありませんか?」

「ハクビに札幌支店までの移動魔法陣を授けよう。

 距離も短いし、お前たちの魔力でも荷物を飛ばすことが出来る。

 お前たち自身も飛ぶことができるぞ」


「札幌支店にはなんと?」

「ハクビに話させるが良い。

 神使であることは、支部長や支店長であれば分かるはずだ」

「分かりました」

「よろしく頼む」


――🐰🐻🐰――

 気がついたが、目は閉じたままにしている。

 また紅々李の番になっている。

 このまま起きてもいいが、また肘鉄を食らうかも知れないし、しばらく美夜の順番まで待つ。

 美夜と5分くらいキスした後パッと目を開けた。

「やった!今日は私の勝ちだ」

 美夜が喜んでいる。

 なんとあれから3時間もたっている。

 創造神との会話はあっという間の気がしてたけど、時間の流れが違うのだろうか?


 3回り目で私が目を開けたようだ。

 蓮月が縄を解いてくれる。

 みんなかなりお疲れのようで、そのままこの部屋で寝てしまった。

 キスを交代する時に着替えてきたのだろう。

 みんなパジャマや浴衣、クロはネグリジェだ。


 皆がまとまって私のベッドに入ってくる。

 瑠璃はお酒も飲んでいないし、正気なのでサッと定位置の私の右横を確保していた。

「今日は私が勝ったから隣に寝る」

 美夜が自慢気に隣に入ってくる。


 あとは3人分のベッドをひとまとめに移動し、適当に雑魚寝だ。 

 たまにはこうやって寝るのもいいかもしれない。

 酔っていたこともあり、そのまま朝まで寝てしまった。


 ☆彡☆彡☆彡


 翌朝、ハクビと一緒にギルド支店に説明に向かう。

 窓口で支店長を呼んでもらい、ハクビが人の姿から白狐に戻ると、支店長が驚いたように膝まづいた。


「神使様、何か御用でしょうか」と支店長が畏まってハクビに挨拶する。


 ハクビが

「私はこれからこの者たちと一緒に、魔核マスターや魔物を倒してくる。

 その際出た魔核やドロップアイテムをこの支店に魔法陣で移動させたい。

 どこか場所を貸してくれないか」

「分かりました。この時計台の3階の空き部屋をご利用ください」 

「それから荷物が届いたら、毎日1度は鑑定をして、この者たちにポイントとお金を付与して欲しい。出来るか?」


「お安い御用です。こちらこそ収益になりますので助かります」

「よろしく頼む」

 とハクビが言ってギルド支部を出てきた。


 これで、荷物の心配はなくなった。


 さあ、まずはどこに行こうか。


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鑑定結果

 ひぐまん C級 「ひぐまんの魔核」 1個100P 10万円 : 5個あるので500P 50万円

 ドロップアイテム 

 「ひぐまの肉」 1kg2000円 : 1000kgで100万円

 「熊の胆」 1個50万円: 5個250万円

 「熊の手や足」 1個10万円: 20個200万円

 「熊の毛皮」 1個10万円: 5個50万円

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