1 北海道へ


 日本支部のある富士山の麓から北海道まで行くことになった。

 昨日も曇天だったが、今日も曇天だ。太陽は全く見えない。


 ハクビが魔神(創造神)から聞いた話では、数十年前に富士山が噴火して、その時の噴煙が日本をすっかり覆ったらしい。

 富士山が噴火する前までは、魔物と人間が対峙しなんとか均衡を保っていたようだ。

 しかし富士山の噴火による噴煙で魔物の活動が活発化し、日本が危うい状態になっているとのこと。


 富士山の噴火で、日本中の火山活動が活性化しているのも原因だが、噴火自体を魔核マスターが起こしているとの話もある。

 噴火自体は自然活動の一環だからやむを得ないとしても、マスターが噴火を引き起こしているとなれば話は違う。

 自然災害ではなく人災だ。

 なんとしても、魔核マスターを倒さねばならない。


 ハクビをひょっこり瓢箪に入れ、天使(悪魔)の羽でギルド日本支部の札幌支店まで飛んでいくことにする。


 まず、翼を広げ羽ばたき、300m上空まで飛び上がる。

 碧衣の「天っ風!」で追い風を作り、時速200kmくらいまで速度を上げる。

 直線距離で900kmくらいなので、休憩を入れ、約5時間で到着するだろう。


 途中、空から東京、仙台などを見下ろしてきたが、人神世界や剣神世界のようにあまり家やビルもなく、閑散としている。

 所々、大きな城壁で囲った塀の中に人間が住んでいる街が散見された。

 そこには溢れんばかりの人がいたが、皆痩せ細っている。

 城壁の中には畑や田もあるようだが、あれではすぐに食料はなくなるだろう。


 たまに壁の外で魔物と戦っている冒険者(だと思う者)がいた。


 札幌に着いた。

 ここも大きな城壁で囲まれた街になっている。

 この街にも溢れんばかりの人がいた。


 いきなり、街の中に降りていくと魔物と勘違いされる恐れもあるので、街の近くに適当な丘を見つけ降り立つ。

 さっそく、魔物5匹が出てきた。


 くまの魔物だ。何ていうんだろう?

 クロたちに適当に相手をしてもらいながら、まず、ハクビを呼び出す。

「着いたよ。出ておいでハクビ」というとひょっこり瓢箪からハクビが出てくる。


「あ、これは「ひぐまん」ですね。

 割とかわいいのですが、結構凶暴なので気をつけてください。

 火を吹きます。

 それから胸にある三日月型の模様ですが、模様ではありません。

 危なくなると、それを取ってブーメランのように投げてきます」


 ハクビは魔神から魔物や魔核マスターの情報をインプットされているので、どのような魔物なのか教えてくれる。

 ハクビが

「できるだけ刀で倒してください」というので、

「ひぐまん」を刀で倒していく。


 ブぉ~~っと火を吹いてきても、美夜と瑠璃が消火してしまう。

 美夜は火を点けることも、消すこともできる。

 もうみんな手馴れたものだ。

 最後にブーメランを投げてきた。木に当たるとスパッと切れて、またひぐまんに戻っていく。

 ブーメランは蓮月が蛇腹刀で絡めとり、ひぐまんを刀で切ると霧散しなかった。


 早速、解体にかかる。

 ひぐまんは捨てるところはないそうだ。

*残酷なシーンが4行ほど続きます。

(見たくない方は4行飛ばしてください。)


 最初に、ひぐまんの魔核を5匹分取り出す。

 ひぐまんは魔核を取り出すと、普通のヒグマになった。

 次に毛皮を剥ぐ。

 正中線から刀を入れ、内臓を取り出す。


 この中の「熊の胆」はもっとも高く売れる部分だそうだ。

 あとは簡単に食べられる大きさに刀でスパスパ切っていく。

 熊の手や足も高く売れるらしい。


 落ちていた白樺の皮を美夜に火をつけてもらい、我々が食べる分だけを焼いていく。

 熊肉のステーキだ。

 しばらく肉料理を食べていなかったこともあり、皆ヨダレを垂らしている。


 採りたてということもあるだろうが、けっこう美味しい。

 冬眠後だったのだろう、脂身も少なく少し硬いが、香りがいい。

 たらふく食べ、満足したところで、札幌の街まで歩いていく。


 ――🐻🐻🐻――


 約1時間後、札幌の城壁に着いた。

 城壁の周りは堀になっている。

 その堀に橋が掛かっており、その橋を通って行くと、門兵がいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます