9 麻薬Gメン


 朝起きたら、乙女達はセーラー服を着ていた。


「そのセーラー服どこで買ったんだ? 日本じゃあるまいし 」

「アトランティスに来るときに乗った蒸気船の売店で売ってたよ。船乗りさんが着るんだって」

 瑠璃がクルッと回ってスカートの裾を持ちニコッと笑う。


 確かに、セーラー服は本来船乗りが着るものだ。

「でも、そのスカートはどうしたんだ?」

「これ履くと、ショウが喜ぶにゃん」・・・・・・まあ確かにそうだが。


「スカートも短めだ。うれしいだろ」

 碧衣が膝上10cmのスカートの裾を少し上にずらす。

 ――うん。うれしい。――でもなんだか認めたくない。


「せっかくだから、このマシンガン持ってくれる」と頼んでみた。

 ――これで完璧だ。「セーラー服とマシンガン」


(*少し著作権に配慮してみました。ちなみに「作品名」は通常著作権違反となりません。なお、短いセリフ引用も著作権違反とはならないようです)


 それを見ていたハクビが

「お父様。こんな趣味持ってたんですか?」と訝しげに見てくる。

「これは彼女らが勝手にやってることだぞ。そんなことより、ハクビお前人間に化けられるよな?」


「はい」 と言ってセーラー服を着た人間に化けた。

 ――なぜセーラー服を着ている。


「お父様の趣味に合わせてみました」

 ――さすがは――いやいや合わせなくていいから。


「私も機関銃を持って復讐しとうございます。リベンジです!」

 ハクビはテーブルに置いてあった機関銃を手に持った。


「お前の気持ちはよく分かるぞ。

 でも危ないから、今日はここで待っててくれ」

「お父様、ちょっと失礼」と言ってハクビは私の頬を舐めた。

「これでお父様のスキルを一つトレースできました。魔断をトレースさせていただきました」


 ハクビは舐めることで、その相手の魔法やスキルを真似ることができる。 

――やはり、わが娘だな。ハクビは3つ尻尾があるので3つ真似できる。


 ちなみに私が九尾だった頃は、9つ真似できた。

 『 Lip magic 』 はその頃のスキルが生かされたものだと思う。


「これで、私を封じ込めるものはいなくなりました。もう大丈夫です。久々に暴れてやります」

 ハクビが魔断を使えるとなると……

 もうマフィアとかカルト集団とか無視して、日本いってもいいんじゃね? と思えてきた。

 しかし、乙女達は意気揚々として、やる気満々である。


 これはもう止められないな。


「さ、行くか!」と言ったら、

「ショウはこれに着替えるにゃ」

 クロがそういって、少し長めの学生服(学ラン)と学生帽を持ってきた。


 背中に『 喧嘩上等 夜露死苦 』と書かれ、学生帽は後ろが破けている。

 ……よくこんなもの持ってたな。 ここまでくると前世紀の遺物だぞ。


「リオの街を探索してたら、古着店見つけたにゃ。

 そしたら、なんとなく見たことがある変なもの売ってるから買ってきたにゃ」

 ――オイオイ変なものって――まぁ折角クロが買ってきたんだし、着替えてみるか。


 皆が笑い目になりながら、褒めてくる。

「プッ ショウ、似合ってるよ~」 ……って、ま、気にしないでおこう。

 これで機関銃を持った学生の変装(変態?)集団が出来上がった。


 魔法機関銃は、美夜、瑠璃、日葵に持たせた。

 他のメンバーは普通の機関銃や刀だ。


「よし、準備は万端だ。行くぞ!」

「お――っ」 と掛け声たくましく颯爽と出かけた。


 途中何度も警官に呼び止められ、

 危険物携帯許可証を見せ、

「国からの依頼です」と説明し、

 警官が「ご苦労様です!」とポルトガル語で敬礼してくる。


 そして、後ろに警官が少し ……というかかなり離れて着いてくる。

(たぶん仲間だと思われたくないのだろう) 

 マフィアのアジトまで何度となく警官に呼び止められるものだから、

 学生服の怪しい集団と警官の取り巻きは100人くらいになってしまった。


――銃LMG銃――


マフィアのアジトまでやってきた。フォーメーションはWにしてみた。


 日葵    美夜     瑠璃

  クロ ショウ ハクビ 碧衣

   紅々李     蓮月


「今日は、正体がバレるといけない。自己紹介はなしだよ」と言い含めている。

 たぶん、大丈夫だ。


「よし、突入だ!」


 門を蹴破り、そのままマフィアの事務所まで乗り込む。

 あらかじめクロが潜入していたお陰で事務所の場所と部屋の配置は分かっている。


 我々の後を警官が追ってくる。

「私はブラジル国の麻薬捜査官だ! 覚悟しろ!」と口上を述べ、


 美夜たちが機関銃をブッ放した。


 ダダダダダダダダッ……


 突然の突入に、マフィア達は抵抗虚しく、次々倒れていく。

 後ろでは警官たちが応戦している。バン バン ヒュ~チュドーーーン

 ……ん? ミサイルもあるのか?


 機関銃とピストルの音が飛び交う。

 マフィア達は、次々警官に連行されていく。

 たまに魔核が落ちているので、拾っていく。


 一番奥にある事務所のドアを蹴破り、中に入るとマフィアの幹部10人とその取り巻きの子分が30人くらいいた。


 ボスは一番奥の机の上に足を上げ、座って葉巻を咥えていた。


「随分と手荒なまねしてくれるじゃねぇか。どこの組のもんだ?」

 とボスがポルトガル語でいう。


 私は何を言ってるのか分からないが、

「 ブラジル国の麻薬……」とクロに教わったポルトガル語で返答していたところにクロが割り込み、


「うちらは、麻薬GメンLMGだにゃん」と自己紹介を始めてしまった。

「そんなふざけた(格好の)麻薬Gメンがいるか!」と幹部の1人が言う。


 ダダダダダッ……


 と機関銃を撃ち 「少し黙ってな!」 と美夜が凄む。

 ボスが言う。

「構わねぇ。やっちまえー」……普通そうなるよな。


 ボスの声とともに、マフィアがマシンガンをぶっぱなしながらブツブツと詠唱を始める。

 ……なるほど、得物で戦いながら、詠唱を行えばいいのか。

 ……でもこいつら、全員魔核持ちか!?


 そこに、前方の3人が


 瑠璃  「氷壁!」 でLMGの周りに氷の壁をつくり、弾を全て防ぐと同時に、

 美夜  「豪炎!」

 日葵  「雷!」  といって、魔法機関銃で火と雷の弾の嵐を打ち込んだ。


 ボスと幹部を残して、魔核が転がっていく。


 ピョンと美夜が宙返りをしながら、ボスの机の上に立ち、ボスの口に機関銃の先を突っ込んだ。


「 黙ってろって言ったわよね 」と美夜が日本語で言う。


 ボスが 「ハイ」 と意味が分かってないようだったが答えた。


「さ、やるわよ」と日葵が明るい笑顔で言う。 ――やっぱ、やるんだ。


 クロが「んじゃ、最初からにゃ」


 「ワルキューレ!」

 あの音楽(「ワルキューレの騎行」)とともに、マフィアの幹部の足元で、爆発が起こり煙が立ち込める。


 蓮月が上を指差し 「月光!」 という。

 ……スポットライトが煙を通して我々9人に当たる。


 紅々李が手を広げ 「サンセット!」 という。

 ……周りが赤くなり、


 加えてハクビが  「狐火!」 と叫ぶ。

 ……赤から青色の炎でマフィアがいる床が包まれる。


 マフィアが火を避けようと飛び上がっている。


 クロが 「フフフ、我ら麻薬Gメン9人衆 L・M・G!」

 ……そしてスポットライトが私に集中する。


   「豪炎!」「雷豪!」「爆風!」


 と美夜、日葵、碧衣が一斉に叫んだ!

 マフィアに向かって火柱が無数に立ち、雷の雨が落ち、嵐が吹き荒れる。


 そして皆でポーズを決める中、私はピッと指を上げる。

 ――良かった。今回はマフィアだった。


 最後に瑠璃が  「ゲリラ豪雨!」  というと、

 マフィアはバケツを被ったように水浸しになった。


 ボスが、頬を引きつらせピクピクしている。


「もう我慢ならねぇ。お前らヤッちまえ」とボスが言ったが

 幹部は全て魔核に変わり、子分は身体をピクピクさせていた。


 ボスはひとり取り残されていた。


 事実上のマフィア壊滅である。


 最後に決め台詞


「か・い・か・ん」


 と、乙女達が叫んだ。 ――ん。 完璧だ。 私はうれしい――

 後ろでは警官が涙を流して「やったぞ!」と雄叫びを上げている。


 碧衣がヒュッと風のようにボスの近くに飛んでいき、口に機関銃を入れる。


「さ、魔女集会の場所教えてもらおうか」

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