5 隠れ家


 蓮月と美夜は一足先に帰ってきていた。

「ショウ。ごめ~ん。ショウの娘ってどういう感じの娘?」


「あっ! そうか、ごめん。 それはオレが悪い」

 確かに、容姿や特徴を伝えるのを忘れていた。


 そこへクロと日葵が帰ってきた。

「なんだ? その格好は!」

 露出の高いビキニと羽や飾りを頭やお尻に着けている。


「そんなことどうでもいいにゃん。」

「フフ、ショウこの格好好きでしょ。みんなの分も買ってきたよ」と日葵

「いやいや、それよりたぶんショウの娘の情報掴んだニャン」


「さすが、クロと日葵! それで、どこにいるんだ?」

「ん~それが、ジャングルの小屋にいるみたいなんだけど、場所までは特定できなかったにゃ」


「それで、十分だ。 ん? ……そ、そこっ、そこで着替えない!」

 美夜たちが部屋の隅でカーニバル衣装に着替えようとしている。

 紅々李や碧衣がハッと気づき、恥ずかしがっている。

 私は空気になっていたようだ。……でも、集団心理ってこわいと思う。


 私が後ろを向き、美夜たちがカーニバル衣装に着替え終わったところで、娘の探索に出発だ。


 時刻は午後11時を回っている。

 この時間帯の方が、人目につかず囚われた娘を助けるにはいいだろう。


 この世界では、街を歩くときは刀剣、銃の所持は禁止されている。

(といっても、マフィアは隠し持っているようだが)

 冒険者は、許可をもらえば持ち歩くことを許可はされているが、目立つし、警察に呼び止められる回数も多くなるので必要時以外は持って歩かない方がよさそうだ。


 今回は必要時なので、カーニバル衣装の上に、完全武装する。

 私はいつもの服装だ(黒衣にTシャツ、ジーパン)。

 しかも、ここは魔神世界だ。


 相手はどのような魔術を使ってくるのか予想できない。

 剣神世界に銃はなかったので、銃にも要注意だ。

 我々の防具が銃に対してどのくらい防御できるのか試していない。

 頭を狙われればひとたまりもないだろう。


 まずは、娘ハクビがいる場所を特定する。


 ジャングルといっていたので、この街に一番近いジャングルに向かう。

 シュガーローフ マウンテンの麓まで飛んできた。

 そこに降り立ち、蓮月がジャングルに生えているの椰子ヤシの木に聞いてみる。


「3本の尻尾が生えている白い狐見かけませんでしたか?」

「こ、これはアルテミス様。ちょっと待っててくろ。他の木に聞いてみるヤシ」

 蓮月のスキル「アルテミス」の効果で、精霊アルテミスと間違えているようだ。


 一陣の風が吹き抜けたように、木々がザワザワっとなる。


「アルテミス様、分かりますただ。

 ここから右奥に30分程歩いて行くと獣道に出るヤシ。

 その奥に小屋があるようで、そこにいるようでヤシ」

「ありがとう。またよろしくね」と蓮月が微笑みながら応えた。


 蓮月が右奥に向かって「花道!」というと、

 その方向に道が開け、花が咲き乱れる。

 ――蓮月のスキル、一気に開花したって感じだな。


 月光に照らされた、薄紫の花の上を周囲を警戒しながら軽快なサンバのリズムに乗せて踊り歩いて行く。

 サンバとかうるさいかなと思ったけど、私が(碧衣からもらった)風のスキルで音を遮断しているから問題ない。


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 *ここで、「風のスキル」について少しだけ解説しよう。

「風」と名称がついているが、実際には「空気」である。

 空気が移動することで風が生じる。

 嵐も、空気が激しく移動して巻き起こるものである。

 音は空気の振動が耳に伝わるものであり、空気がなければ音は伝わらない。

(ほかの物質(例えば水や金属)を振動させて直接鼓膜に響かせれば別だが)

 したがって、風のスキルを使い、音を無くすのは比較的容易であったので、「音無し!」で消音できる。

 空気の振動を無くし、無音にすることは気配を無くすことにも通じるのだ。

(と、作者は思いつきで創作した。)

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 蓮月の「花道!」とともに碧衣が「風花!」を使って通り道に花を巻き上げていく。

 音楽(笛や太鼓)が衣装と花にマッチして乙女たちはとても楽しそうだ。


” ピーピピピピーピピピーピー、ドンドンッドドンドン ”

「オーレ~オーレー、サンバ、サンバ~♪ 」


 と 楽しく歌い踊っていると、あっという間に30分が過ぎ、獣道に出た。


 獣や魔物と出会わないように、今度は静かに歩いて行く。

 ここで、魔物たちと戦うのは得策ではない。

 でも、この衣装はかなり目立つ。


 しばらく道に沿って、ジャングルの獣道を登って行く。

 さらに1時間ほど歩くと、明かりのついた小屋が見えた。


 「STOP! トラップ魔法陣が仕掛けてあるかもしれない」

 なんとなく、そう感じた。


 魔断を刀に付与し、切っ先に紫紺の炎を纏わせ、先を進む。


 ! 紫紺の炎が揺らだ。


 何らかのトラップが仕掛けられていたのかもしれない。

 魔断により、トラップは解除されたはずなので、クロに「音無」を付与し、黒猫に変身して小屋の様子を見てきてもらう。


――★☪★――


 クロがシュシュシュっと暗闇に紛れて戻ってくる。

「いたにゃ! 縛られて鉄の檻に入ってるにゃ。まだ、生きてるけどかなり弱ってるにゃ」

「マフィアは、何人くらいいた?」

「15人くらいにゃ。みんな機関銃をもってるにゃ。それに魔女っぽいのが3人いたにゃ」


 ――もしかして念波で話しかけられるかな。

(この世界に来た時点で、話しかけられるはずだったが、ここにくるまでそのことをコロッと忘れていた)


「ハクビ。聞こえるか? 父さんだ。分かるか?」

「えっ! お父さん? 九尾の? 今どこ?」

(マフィアに気づかれないよう、念波で会話中)


「すぐ傍にいる。今助けてやるからな」

「ダメ! 絶対きちゃだめ。

 ここの魔女、魔力や霊力を押さえ込める力を持ってるの。

 近寄ると、魔力を抑えられて、拳銃で打たれちゃうから――きちゃダメ!

 ……逃げて!」


「分かった。それだけ教えてもらえば十分だ。静かに待ってろ」


「――お父様。……無理しないで!」

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