8 クロ先生と碧衣先生のお稽古

 クロは、それぞれの身体や筋力などをみて、各々にあった武器を選び与えていく。

 与えるといっても、稽古場にある練習用の木刀や薙刀、盾などである。

 木刀にもいろいろ種類がある。長刀、短刀、太刀、大太刀、脇差、鉾、両刃刀、こん棒、ハンマー、メイスなどを堅い木や竹で模した刀である。


 盾は、手で持つタイプと腕と一体になった盾がある。その他、防御系では籠手(ガントレット)やお面、鎧などがあるが、お面は視覚が狭まることがあり、あまり多用されない。


 旧式の鎧は重く動きが鈍ることがあったが、最近は軽量化され、グラスファイバー製や炭素繊維が用いられたり、変わったところでは魔物の皮が使われたりすることがある。

 木刀などの練習具の重さは、中心部に合金が入っており、本物の刀や盾などと同じだ。


 それぞれの武器(又は盾など)をクロが選んでいく。


「ショウは~、少し防御が苦手みたいだから、腕に着けられる籠手と長刀か太刀を基本にして、脇差と短刀を着けとくといいにゃ」

「紅々李は、腕力がまだ足りないみたいだから、薙刀がいいと思うにゃ」

「蓮月は、音に敏感で高く飛べるから、後衛で補助するか、弓矢がいいと思うけど、あちしは知らないにゃ。とりあえず短刀を2本持って練習するにゃ。弓矢は中級レベルで教えてもらうといいにゃ」

「日葵は、見かけによらず筋肉質で、頑丈にゃ。盾を主体にして槍で戦うにゃ」


 その武器が合っているのかよく分からなかったが、確かにすぐ切られることはなくなった。

 生徒同士での稽古が続き、週に1度クロ先生に相手してもらうが、まったく相手にならない。瞬殺である。中級レベルの壁は高い。

 そんな感じで1ヶ月が過ぎ、クロ先生の稽古は終わった。


 2ヶ月目は、碧衣先生である。

 クロ先生は、攻撃主体だったが、碧衣先生は、防御に際立っていた。

 クロと碧衣の模範試合を見学したが、クロが素早い動きで剣を縦横無尽に切りつけても、碧衣はゆったりした動きで躱してしまう。まるで、狐に化かされている感じだ。

 クロの話では、ゆったりした動きに見えているだけで、実は残像が残っているとのこと。でも、碧衣も防戦一方で、クロには攻めあぐねていた。


 そのためか、碧衣先生は、主に攻撃の防ぎ方について教えてくれた。盾で正面から防ぐだけでなく、斜めに受けて相手の攻撃を受け流したり、盾も攻撃に使えること。刀で攻撃をいなしたり、滑らす方法や視線をずらすことで、相手の注意を逸らす方法などである。


 なかなか中身の濃い2ヶ月間であった。

 その後、他の中級レベルの生徒に教えてもらったが、最初の2ヶ月間が経験値としては大きかったように思う。


 入学から10ヶ月・・・待望の夏休みがやってきた。

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