7 仲間

(1)仲間

 お昼には給食が出た。カレーライスとスープをクロと一緒に食べた。

 家のカレーも美味しいが、寺子屋のみんなで食べるカレーもとても美味しい。

 クロは猫舌で、熱いものは苦手なようだが、「辛いのは別にゃ」とか言ってフーフー言いながら食べている。


 梅組には100人程の生徒がいて、クロを交えて近くの生徒と雑談をした。

 話をするのは、やはり年齢が近い生徒が多く、だいたいグループができている。

「お父さん何してるの?」とか「前世は何?」とか、たわいのない会話である。


 クロ以外の名前は、蓮月レンゲツ美夜ミヤ碧衣アオイ紅々李ククリ日葵ヒマリ、以上が女性、他男性5人だ。

 ――男性はあまり興味はない――


 各々の簡単な特徴は(男性は除く)

●蓮月:ピンクの髪で色がとても白い兎族。頭の上にある長い耳がかわいい。眼がルビー色でキラキラしている。少し天然。9月13日生 5歳


●美夜:紅色の長い髪で、白い眩い肌をし、キリっとした目で種族としてかなり珍しい龍族。常に水晶の数珠を腕にしている。1月11日生 5歳


●碧衣:碧い髪で、金色の大きな目の白い肌をした狐族。聡明で堅実。3月3日生 5歳


●紅々李:濡鴉ぬれがらす色の髪にサファイアブルーの目をした美形で婉然えんぜんな人族。10月10日生 5歳


●日葵:銀色の髪で、ブロンドの眼の快活なおしゃべりの犬族。7月7日生 5歳


●クロ(九鷺):黒のソパージュのかかった髪で、黒眼の少しおどけた感じのする猫族。6月6日生 5歳


 姿かたちは、人族と同じである。

 違いは獣耳であったり、尻尾があるくらいで、耳は髪に隠したり、尻尾も服を着れば隠せるようで、あまり人族と変わりない。

 人族との決定的な違いは、それぞれの獣になることができることと寿命。

 例えば、猫族はネコ科の動物になることができるようで、虎や豹にもなることができる。狐族と狸族は特殊で人間にも変化できる。

 ただし、どの種族も一定の条件を満たさないと変化できない。


 人族は変化できないが、すべての種族と子供を作ることができる。

(通常は、種族間だけ。ハーフはその種族と人間だけ)

 寿命や妊娠期間は、種族によって異なる。


 気がついただろうか? ……全て5歳である。

 試験で落第をしない限り、5歳間隔で上のレベルに上がっていく。

 普通に上がっていけば、このクラスの5歳児は、10歳で20歳レベルになり、

 20歳レベルに進学しても15歳で卒業である。


(2) 稽古

 午後の授業が始まる。

 午後からは、剣術のためそれぞれ別の稽古場に移動する。

 剣術は上級になるか、20歳まで続けられる。

 15歳までに上級になると、剣聖学園に進学できる。


 先ほど話した中で

 初級は私の他、蓮月、紅々李、日葵

 中級はクロ、碧衣

 上級は美夜だけだ。

 ――龍族はポテンシャルが違うな。


 美夜は上級のため、富士の麓にある剣聖学院に誘われたが、勉学を行うため保留にしたらしい。それではということで、中級レベルの先生になるそうだ。

 初級は、なんとクロが先生だ。

 なんか逆に少しやりにくい。


 だいたい同じ年齢層で、10人くらいに教える。

 クロは、まずそれぞれに竹刀を持たせ、1対1で試合をさせた。

 私の相手は紅々李だ。私と紅々李は竹刀を持ち一礼をした後、少しずつ間合いを詰めていく。

 数回竹刀が衝突した後、


 バン! 


 私は見事に……胴を切られた。

 ――痛ッ――防具はない。痛みがお腹に直接響く。

 クロがその試合を見て指導に入る。

「見た感じ、ショウは防御が弱いみたいにゃ」

「紅々李は、力が足りないにゃん」

 ――けっこう痛かったが――


 後は、竹刀を素振りして今日の稽古は午後3時45分に終わった。

 その後道場を掃除し帰宅する。

 サークル活動をしたり図書館に行く人もいるが、寺子屋は午後5時には門を出ないといけない。

 学校の先生も家庭があるからね。


(3) 家業の手伝い

 火曜日と木曜日は家業のお手伝いをする。

 父は刀剣鍛冶師なので、刀剣作りをするわけだが、いきなり刀剣は作らせてはもらえない。まずは、作業場の掃除や水くみなど雑用を行う。そして作業工程などを盗み見る。


 母は、刀剣を作るでもなく、一日中家事を行うでもない。

(家事は家族全員が共同で行うことになっている)

 何をするかというと、特殊技能(教師、医師、薬師等)のある女性以外は、産前産後の5年間を除き、狩猟に出かける。

 魔物を退治することもあるが、森の中で増えすぎた動物を間引きするのが目的である。もちろん捕った獲物は、できるだけ食用に回し、皮や骨なども無駄なく使う。

 そんなこともあり、この世界の女性は男性より強かったりする。


 こんな感じで、数年間は見て覚え、雑用を行っている。


 ●クロの場合(クロ視点です)

 泥棒家業は忙しいにゃ。父は1晩に5軒くらいの裕福な家庭に這入るにゃ。

 余計な殺傷はしたくないので、できるだけ音がしないように猫に化けて忍び入るにゃ。だいたい10万円くらいの品物を狙うけど、猫が咥えて出てくる大きさの物となると限られてくるんだにゃん。


 品物が玄関に置いてある場合は、品定めをせずにそのまま貰ってくるにゃ。

 1年に1度しか入れないので、粗末なものだったら、翌年に30万円相当の品物を盗ってくるにゃん。

 泥棒自体は主に夜間に父が行うが、父が盗ってきた品物を日中に鑑別し、適切な値段で販売しなければならないにゃ。


 父は普段、日中はゴロゴロと寝ていることが多いにゃ。

 うちはこの世界に来てからまだ化けることができないから、泥棒そのものを手伝うことはできないにゃ。

 今は鑑定スキルを磨いているにゃ。

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