天界の入り口



 茜色に染まった雲海に、金烏玉兎きんうぎょくと、低い太陽と金色の月。


 ――そこは天界。




 今日亡くなった人だろうか、5000人位の人間と動物がいた。


 驚いたことに、猫や犬などの動物も雑多な人の言葉を発している。


 喧騒渦巻く中、頭の中に響いた声があり、それぞれ誘導させられている。



「――ショウくん。……あなたはK組に並んでください」



 私の名は「ショウ」という。苗字はなぜか記憶にない。


 ショウという漢字もわからない。

 周りの人や猫にも聞いてみたが、苗字は思い出せないらしい。

 良かった。ボケたわけではなかったらしい。猫に苗字があるのかは微妙だが。



 周りを見てみると、皆、妙に若い。20歳くらいだろうか。

 自分はどうなんだろうと、手や身体を見てみると20代の頃の皮膚、体型なのに気がついた。

 たぶん顔も若返ったんだと思う。



 私は言われるままに、K組と表示されている空中に浮かぶ文字のところに並んだ。

 K組は、みんなきれいに整列しているが、R~V組あたりはただ集まって寝転がっているのが多い。


 たぶん集まりもしないのは、W~Z組なのだろう。棒のようなもので突かれて、集められていく。


 移動していると、「ゲコッ」と声がした。


 なんと、カエルを踏んでしまったようである。



「気を付けてケロ」とカエルに注意され、慌てて謝まる。

「申し訳ないでごわす」


 なぜか、鹿児島弁になってしまった……だがしかし、九州出身ではない。たぶん。


 カエルは、軽く会釈しB組の方に向かっていった。

 へェ~あのカエル、見かけによらず偉いんだなぁと思いつつ、きっと『殿様カエル』に違いないと心に刻んだ。



 クラスはA~Zまで26組あり、

 Aの方が上位クラスらしく、A~E組までは椅子が用意されており、その他は立って並んでいる。

 A組は特別クラスみたいだ。10人くらいしかいなかった。



 皆がだいたい整列したところで、空中に浮かぶ矢印模様の方向に行くように誘導される。



 しばらく歩いた先には、500人ほどが入れる階段状の教室があった。

「まるで大学の講義室みたいだな」なんて思っていると、教師風のメガネをかけた天使がやってきた。



 なぜ、天使かって?――背中に白い羽と輝々とした輪を頭の上に浮かべている。


 ……見るからに天使である。

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