EP17 不確定

「次に死にたいのは誰っ?!」




風でブロンドの髪をなびかせた少女は拳銃を四方八方に振り向け叫んだ。


ビルの屋上、そこには数名の警官が膝を付き少女の人質となっていた。


先手を打たれ、既に二人が犠牲となり人質達は完全に少女にしたがほかなかった。


ビルの下ではレスキュー隊やパトカーのサイレン、群がるギャラリーの喧騒けんそうと悪い意味で賑やかだった。


携帯をかざし動画を撮る者もいれば、警察の制止を振り切って近付こうとする者、恐怖からか、人質の親族だろうか、泣き叫ぶ者も居た。


警察は目的と望みの開示を求めた。


しかし、少女には何の要求も無かった。




恐怖に支配された沈黙を破ったのは一人の警官だった。


「僕達はこのまま君に殺されるのを待ってるだけなのか?何か目的があるんだろ?」


その問いの返答は一つの銃声だった。


次の犠牲への恐怖が場をよりピリつかせた。



「…こんな筈じゃなかったのにっ!」



少女は叫ぶ。綺麗だったブロンドは自身の手により掻き回され乱れていた。


________







と、ここまでが僕が予知した未来だ。


既に僕の足は予知で見たビルへと向かっていた。


階段を上り、ドアを開ける。



ビルの屋上には少女が立っていた。



もちろん風に綺麗なブロンドヘアを靡かせながら。




予知では涙を流した痕は無かったはずなのに…


少女は泣いていた。



銃をこちらへ向けて…



そうだった、彼女は僕より…



「予知ってのも結構、役に立たないものだね」



僕は手に持っていた銃を彼女へ向けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る