第97話 チーズが上か チーズは下か
リアル文字作業と取り組んでいる間に今週は過ぎ去っていきました。
趣味作業ではないので、自分ペースでというわけにはいきません。
文字を目で追う作業は、ある程度進めたところで、いったん時間を置きます。
それから確認をすると、なぜなぜどうしてな言い回しや言葉選びが目について、これではダメーと自分にダメ出しが出るわ出るわでクタクタになります。
で、ひと休み。
ひと休みの間隔が狭まってくると、そろそろ本日終了、です。
終了の前のひとあがきで、音読をします。
音読すると、さらにダメ出しが出るので、そこに印をつけて、今度こそ机の上を片付けます。
パソコンで作業をするので、気分転換は、パソコンを離れた方が、脳がすっきりします。
気分転換に、タフな主人公の勢いのある小説が読みたくなりました。
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(スティーグ・ラーソン 著 ヘレンハルメ 美穂訳 岩澤 雅利 訳 早川書房 2011年刊)を観て読んで、タフでクールな女性キャラクターづいてたこともあり、そういう主人公がいいなと思いました。
こちらの主人公リスベットはスーパーハッカーで彼女のキャラクターもよかったのですが、ここのところの日々ネットやら何やらと取り組み中のちょっとお疲れな脳には、ネットも携帯連絡手段もなかった時代のものを逆に読みたくなったのがこの一冊。
『サマータイム・ブルース』
サラ・パレツキー著 山本 やよい訳
早川書房
主人公は、V・I・ウォーショースキー。
ポーランド生まれのアメリカ人のタフな私立探偵、シカゴ在住、空手の達人。
今回読んだのは新版(2010年刊)で、もともとは1985年にハヤカワ・ミステリ文庫で刊行されたものです。
今から35年前……とは思えない、古びてなくて面白かったです。
昔、確か一度読んだことがあったと思うのですが、その時は、カッコイイ女性探偵ものとして読み流しただけでした。
今は、作中グルメに目がいきます。
調査中に立ち寄ったベーグル・デリでは、「ライ麦パンにコンビーフをのせた特大サンドウッチとフレスカ」(フレスカ:柑橘系風味のダイエットドリンク。ヴィクがダイエットに気をつかっている場面がちょくちょく出てきます)を。
タフさが仇になってクタクタになりながらのデートのような仕事のようなディナーでは「セネガル風スープとほうれん草サラダ」(とびきりおいしいスープは「あっさりしていて、なめらかで、カレー風味がかすかに混じっている」)を。
いざという時匿ってくれるオーストリアの戦争亡命者で医者の親友ロティの家では、「彼女が主食にしている濃いウィンナ・コーヒー」を。
描かれる飲食物で、キャラクターの輪郭が浮かび上がってきます。
で、読んでいて、最初に気になった彼女の食事シーンをご紹介。
やばそうな事件から手を引けと押しかけてきた、在りし日の父親の同僚にして友人とその連れをいなすことを考えながらの朝食は、「チーズ、ピーマン、玉ねぎを順々に薄切りにして、黒パンにのせ、そのオープンサンドを天火に入れた。」にコーヒー。
シンプルだけれど、実際に作ってみると、とろけたチーズとピーマンの組み合わせが絶妙です。
ここで、ちょっとした疑問が。
このオープンサンド、チーズが上なのか、チーズは下なのか。
ピザトースト風だとすれば、パンの上にタマネギとピーマンを乗せて、その上にチーズですよね。でも、食材をカットした順番は書いてあるのですが、パンに乗せた順番は書いてないのです。
そこで、パンの上にまずチーズを乗せて、その上にタマネギとピーマンを乗せてもいいのではないかと思い、やってみました。
チーズが上だと、タマネギとピーマンの上にとろけかかってパンまで覆いかぶさって、全てが一体化します。
それは、それで美味しいです。
が、チーズが下だと、タマネギとピーマンそれぞの味を味わえるのです。
焼くことで甘みの増したタマネギとピーマン。
その先に訪れるチーズとパン。
上か下か。
たったこれだけのことで、味わい方が変わるのです。
チーズ上バージョンとチーズ下バージョンの写真を後ほどTwitterにあげておきますので、見較べてみてくださいね。
チーズ上バージョンの方は、チーズがとろけてピーマンが突き抜けてしまってますが。
さて、そろそろコーヒーがはいります。
ひと息ついて、作業の再開です。
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