第493話 ヒノモト王国へ⑥ 上陸
改めて、初上陸となるヒノモト王国。
要塞村組の反応は、
「「「「「おおー!!」」」」」
驚きに包まれた。
「あ、当たり前なんだけど……ストリア大陸とは何もかもが違うわね」
「ヒノモトの人たちの格好は、タキマルさんたちので見慣れているはずでしたが……これだけたくさんの人が同じ格好だと言葉が出ませんね」
「え、えぇ」
「わふぅ……」
クラーラ、ジャネット、エステル、マフレナの四人は、大勢の人々でにぎわうヒノモト王国の港町に圧倒されていた。普段、タキマルたちが要塞村を訪れる際、その独特の格好が特徴的ではあったが、ヒノモト王国へやってくるとその立場は逆転。自分たちの格好の方が特徴的で目立ってしまう。
「女性陣には着物を用意してありますので、このまま城へ向かいましょう」
「は、はい。ありがとうございます」
着物というのはヒノモト人が着用する服の総称で、用途に応じて素材や色彩が変化するらしい。
タキマルがクラーラたちに用意するといった着物は、今日の夜に行われる予定となっているパーティーで着るものだ。そのため、町人たちが来ているものより一層豪華できらびやかなものになる――と、ヒノモトの文化に詳しいというケイスが教えてくれた。
トアたちは活気あふれる港町から、タキマルが準備させておいた馬車に乗ってヒノモト城の城下町を目指して出発した。
「城下町というのは、セリウス王国でいう王都のようなところらしいですよ」
馬車の中では、船でヒノモト王国の情報をいろいろと聞いて回ったというジャネットが、そこで得たヒノモトの特徴やルールをみんなに教えていた。ちなみに、ローザ、フォル、ケイスの三人は別の馬車に乗っている。
ジャネットはその後もさまざまな情報を話していき、トアたちもそれを興味深げに聞いている――と、
「実は……ちょっと気になる情報もあるんです」
突然、ジャネットは声色を変えると声のボリュームも大きく下がる。それは、これから話そうとしている内容に関係していた。
「気になる情報というのは?」
「ここ最近、少し治安が荒れ気味というか……種族間のいざこざが増えているみたいなんですよ」
「種族間のいざこざ?」
ストリア大陸にも、人間の他にエルフやドワーフ、銀狼族に王虎族といった多種多様な種族が生活していた。もちろん、それは場所を変えたジア大陸のヒノモト王国でも同じであり、ここでは主に妖人族という種族が人間と共存関係にあった。
八極のひとりである百療のイズモや、トアが深夜に出会ったツバキという少女もその妖人族に属する。
だが、ジャネットが仕入れた情報によると、その人間と妖人族の間で何かトラブルが起きているらしい。
「ほ、本当なのか?」
「正直言って、信憑性があるかどうか分かりかねますが……火のないところに煙は立たないと言いますし、念のため報告をしておいた方がいいかと思って」
「確かに……その情報を知っているかいないかだけでも、これから先の行動が変わってくるからな。ありがとう、ジャネット」
「い、いえ」
信じたくはない情報だが、放っておけない情報でもある。
それを心にとどめおこうと決めた直後、前方にヒノモト城が見えてきた。
目的地到着まで、あとわずかだ。
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【お知らせ】
新作を投稿しました!
「聖樹の村で幸せなスローライフを! ~処刑宣告された少年は辺境の地で村長になる~」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860376109239
今回の新作はタイトルにある通り!
スローライフ×ハーレム×村づくりにプラスしてちょっとした「ざまぁ要素」もあります。
以上の要素がお好きな方はぜひ読んでみてください!
そうでもないという人もこの機会にぜひ!
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