第418話 精霊女王アネスの危機④ 精霊と天使
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「おのれ天使め! よくも我が愛しきアネスを!!」
「ちょっ!? な、なんなのよ、この鬱陶しい精霊族は!」
突如勃発した水の精霊ビセンテVS天使族リラエル。
「ま、待ってください、ビセンテさん!」
トアは臨戦態勢に入るビセンテの前に立って落ち着かせる。
なぜなら、リラエルが無関係であることは明白――と、思っていたのだが、もしかしたらこの要塞村へ来る前にやらかした事案である可能性もあるなと考え直してリラエルへと向き直った。
「リラエルさん……」
「な、何よ?」
「もしかして――昔アネスに何かしました?」
トアがそう尋ねると、リラエルは、
「はあ……?」
何をバカなことを聞くんだとばかりに大きくため息をついた。トアはより正確な記憶を思い出してもらうため、より詳しい情報をリラエルへと語るのだが、それでもリラエルのリアクションが変わることはなかった。
「あのねぇ……いくら天界人だからって、そう易々と精霊族になんて介入しないわよ」
「で、では、アネスの性格が豹変したことについては無関係だと?」
「豹変? それはどういう意味ですかな?」
トアの言い放った「豹変」という言葉にビセンテが食いついた。
その件についても聞きださなくてはいけなかったので、トアは要塞村に精霊女王アネスが襲い掛かった話をした。
「なんと……そのようなことが……信じられない……」
要塞村を襲撃したアネスの悪行三昧を耳にしたビセンテは膝から崩れ落ちる。先ほどまでのたぎるような闘志は完全に消え失せていた。
「随分と忙しない精霊族ね」
呆れたようにため息をつくリラエル。
その横では、エステルが複雑な表情を浮かべていた。
「よほどアネスのことが大事だったのね……」
どことなく、過去の自分の境遇がビセンテと似ている気がすると思ったエステルは、完全に同情モードに入っていた。
それはさておき、詳しく話を聞いていくと、ビセンテの言うアネスと要塞村に暮らしているアネスは同一精霊であることが分かった。
となると、問題は、
「なぜ、アネスは突然あのような性格に変貌してしまったんだ?」
ビセンテ曰く、百年近く会っていなかったそうなので、変化が起きたのはその間だろうと推測していた。寿命の長い精霊たちにとって、百年という時間はそれほど長いものではないらしい。
「リディスさんたちなら何か知っているかもしれませんね」
「無理だろう。彼女たち精霊にとって女王の命令は絶対――そこに疑いの余地など持たないはずだ」
同じ精霊族だけあって、その辺の事情には詳しいビセンテ。
と、その時、
「……もしかしたら、あの男かも」
リラエルがボソッと呟く。
「あの男って……?」
「タブーを犯すことをなんとも思わない、暴れ馬みたいなヤツが天界にもいたのよ――トア村長とエステルにとっては、この世でもっとも会いたくない相手かもね」
「! ま、まさか!」
天界絡みでトアとエステルが会いたくないと言える存在。
それは――
「堕天使ジェダ……」
トアが言うと、リラエルは黙って頷いた。
堕天使ジェダ。
今、ヴィクトールたちが追っている神の意志に背いた天使。
地上で怪しげな組織をつくったり、魔獣を解き放ったりと読めない行動を繰り返している。
何を隠そう、その魔獣によってトアとエステルは両親や友人、そして故郷そのものを失ってしまったのだ。
アネスの性格激変には、そのジェダが絡んでいるのではないかとリラエルは推測したのである。
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