最終話 卒業

 前回予告していた通り、このエッセイも今回で最終回です。高校生活の思い出を綴ったエッセイである以上、やはり最後は卒業式で終わらせたいと思います。


 でもねぇ、卒業式ってわざわざ書くようなネタに乏しいんですよね。そりゃもちろん、高校生活の締めくくりとして大事な日ではあるのですが、人様にお見せするような強いネタがあるかと言われると別問題。

 まあ、今までにもグダグダなネタで一話丸々使った事もあるのですけどね。


 とは言え、前回既に卒業式と予告しましたからね。最終回なのにこんなスタートですみません(;^_^A










 長らく続いた高校生活。当時まだ十代だった自分にとっては、その時間もいつかは終わってしまうと言う事実は、頭では分かっていてもどこか実感のないものでした。


 しかしもちろん、卒業と言う節目の時は訪れます。

 三年生に上がったくらいから進路に関する話題が次第に増えていき、二学期にはもうほとんどの人の進路が決まっていきました。

 自分達の住んでいる所は田舎ゆえか、就職にしろ進学にしろ地元を離れる人が多くて、自分も他県の専門学校に進む事が決まりました。高校卒業は、同時に地元からも離れなくてはならないと言う、色んな意味で節目の時となりました。


 そして、いよいよ卒業式当日です。登校すると、ほとんどの人が事前に渡されていた卒業アルバムを持ってきていました。卒業アルバムって、終わりの方に白紙のページがあるじゃないですか。仲のいい友達同士で集まって、それぞれ寄せ書きを書いてもらっていました。

 それを見て、自分は思いました。


(あの白紙のページって、そうやって使うものだったのか)


 …………えーとですね、恥ずかしながらそんな事ちっとも知らなかったんですよ。小学校でも中学校でも卒業アルバムは貰っていたはずなのに、その時初めて知った衝撃の事実でした。


 そんな自分の元にも友達がやってきて、何か書かせろと言ってきます。ですが、自分の答はこうでした。


「持ってきてない」


 だって仕方無いじゃないですか! だって卒業アルバムを貰ったのは数日前で、とっくに家に持って帰っていました。寄せ書きの事なんて知らなかったら、わざわざあんなかさばるもの持ってきませんよ!


 と言うわけで、自分の卒業アルバムの寄せ書きページは白紙のままでした。











 そしていよいよ、卒業式本番です。

 体育館に、全校生徒や保護者が集まっています。町長さんだか、どこかの偉い人だかの話があって、それから卒業証書授与へと移ります。卒業生一人一人の名前が呼ばれ、返事をしてステージ上まで取りに行き、卒業証書を手渡されます。


 ただ「はい」と答えて取りに行くだけなのに、周りにたくさんの人がいるとやはり緊張しますね。自分の順番が近づいてくるたびに、徐々にその緊張感が増していき、ちょっぴり不安にもなりました。


 前のクラスが全員卒業証書を受け取り、いよいよ自分達のクラスの番が回ってきます。その、一人目の名前が呼ばれた時のことでした。


!」」


 おかしな音程の素っ頓狂な声が、体育館中に響きました。

 次の瞬間、ほとんどの生徒が大爆笑。卒業式と言う緊張感の中、突如起こったその珍事に、みんな笑いをこらえきれませんでした。もちろん自分も笑いましたとも。


 すると、それまであった緊張感はどこへやら。みんな盛大に笑ったせいか、どこかリラックスした感じで返事をし、卒業証書を取りに行きました。


 そして無事式も終わり、それぞれ自分のクラスに戻っていったでした。あの素っ頓狂な返事をした彼が、、他のみんなからアレコレ言われます。


「お前、あの返事は何だよ」

「ウケたか?」


 まさか、わざとアレをやったと言うのでしょうか?

 ウケたかウケてないかで言うと、間違いなくウケました。卒業式の最中に大爆笑なんて、なかなかありませんよ。


「あーあ、オレも何かやればよかった」

「ステージに上がる時バク転でもすればよかったな」


 みんな彼を弄りながら、口々にそんな事を言っています。そんな中、今更ながら思いました。


(こんな風にふざけた話ができるのも、今日で最後なんだな)


 そんな事とっくに分かっていたはずなのに、卒業式だって終わったと言うのに、その時になって、改めて卒業なんだと言う実感が込み上げてきたような気がしました。


 実は自分は、半年くらい前までは、卒業と言っても感傷的になるなんて事は無いだろうと思っていました。卒業式当日に、こんな言葉に出来ない感情が込み上げてきて、学校を去るのを惜しむなんて、想像もしていませんでした。


 そして思いました。

 この学校に入って良かったなと。











 こうして、自分の三年間の高校生活は幕を閉じました。

 色んな事がありましたが、今振り返ってみると楽しい想い出がたくさんあって、それを誰かに伝えたいと思ってのが、このエッセイを書き始めたきっかけでした。

 他にもいくつか想い出はあるのですが、ネタが弱かったり、文章で伝えるのが難しかったりしたため、断念した話もいくつかあります。


 と言うわけで、書ける話はだいたい出してしまい、このエッセイもこれにて終了です。

 果たして商業高校の魅力をどれだけお伝え出来たかは分かりませんが、読まれるたび、コメントをもらう度、いつも嬉しくなりました。

 今まで長い間、自分の想い出話にお付き合いくださって、本当にありがとございました!(^^)!

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商業高校の想い出がいっぱい 無月兄 @tukuyomimutuki

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