第25話 同学年の従姉妹

 高校に入学して間もない頃、我が校では新入生を迎えるための行事がありました。遠足です。


 えっ、遠足は既に第7話で書いただろうって?

 はい、確かに書きました。新入生との親睦を深めると言う名目で、高校生にもなって歩いて近所の原っぱに行きました。

 ただその遠足に出発する前に、こんな事をやっていました。その名も、新入生インタビュー。


 どう言うものかと言いますと、まず体育館に全校生徒が整列します。それから、一年生は一クラスずつ、全校生徒の前に出ていきます。それからそのクラスの中から一人が選ばれ、自己紹介や高校生活で頑張りたいことなどのインタビューを受ける事になりました。


 ちなみに誰がインタビューを受けるかは、その時まで分かりません。全ては、リポーター役の先輩の判断にかかっています。


 ただ、おそらく内心では、ほとんど誰もインタビューなんて受けたくないと思っていたでしょう。いきなり全校生徒に注目されながらあれこれ質問されるなんて恥ずかしいです。

 とは言え、選ばれるのは一クラス約40人のうち一人だけ。よほど運が悪くない限りは大丈夫でしょう。普通はね。


 ですが、自分はなんだか嫌な予感がしていました。弟もまた、嫌な予感がしていたそうです。

 それと言うのも、自分と弟は双子と言うことで、これ以前からなにかと目立っていました。特に自ら何かしたわけでも無いと言うのに、どう言うわけか他の学年でも自分たちの事を知っている人がけっこういたみたいです。

 同じ学年に双子は他にもいたのに、なぜか自分たちが一番目立っていたみたいです。謎です(´・ω・`)?


 そんな経緯があったので、インタビューで自分か弟のどちらかが指名されるのではないかと、ずっと嫌な予感がしていました。

 そして、いよいよ自分たちのクラスの番がやって来ました。


 リポーター役の先輩が、誰にしようかと見回しています。その時、どこからか声が聞こえてきました。


「双子!双子!」


 ほら、やっぱりこうなった。しかも、そう言っているのは一人じゃないんです。

 こうなっては、リポーターの先輩も空気を読みます。マイクを手に、自分と弟の方へと近づいていきます。さあ、どっちにする?


 マイクが向けられたのは、自分の方でした。


 それから、インタビューが始まります。内容は、名前や、この学校に来た理由などの当たり障りのないものです。それでも、全校生徒の前で話すと言うのは恥ずかしかったです。

 しかも…………


「ついでだからこっちにも話聞きましょうか」


 なんと、途中から弟にまでマイクを向け始めました。一クラスにつき一人じゃなかったのか。そんなツッコミを心でしながら、なぜかうちのクラスだけが、二人分のインタビューを受ける事となりました。






「……なんでこんな事になったんだろうな?」

「……全部双子が悪いんだ」


 インタビューを終え、自分も弟もなんだかとても疲れました。インタビュー自体は次のクラスに移り、選ばれた子が自己紹介を始めましたが、もうそんなものもう目にも耳に入ってきませんでした。

 ……その名前を聞くまでは。


「────杉山茜(仮名)です」

(えっ、茜!?)


 その瞬間、自分と弟は思わず顔を見合わせました。そのインタビューを受けている子は、なんと同じくこの年に入学した、自分達の従姉妹だったのです。


 もちろんリポーターの先輩は、おそらくそんな事は知りません。完全に偶然の産物でしょう。

 ですがよりによって、自分と弟と従姉妹の三人がインタビューを受けるハメになるとは。


 その後遠足で原っぱに行ったのですが、そこで従姉妹を交えた三人で、なんでこんな事になったとあれこれ言い合っていました。


 ちなみに、同じ学年にはさらに再従姉妹はとこもいたのですが、その子は無事インタビューを回避しました。




 ところでこの従姉妹。高校生活の最後で、こんな事もありました。

 卒業式を明日に控えたその日、三年間無遅刻無欠席な生徒が、皆勤賞として表彰されました。

 いかに健康でも皆勤は難しいようで、自分たちの学年は240人ほどいたのですが、そのうち皆勤賞をもらえたのはわずか5人程度でした。


 そのうち一人が弟、一人が従姉妹でした。


 自分は残念ながらトータルで三日ほど休んでいたので皆勤賞はもらえず、おかげで二人からはなんで休んだと言われてしまいました。




 それにしても、入学直後の新入生インタビューに、卒業直前の皆勤賞。その両方で弟や従姉妹が全校生徒の前に出ることになるとは、奇妙な縁なのかもしれません。




 ところで、今回卒業式前日を書いてしまいましたが、次回は卒業式を書こうと思います。

 卒業式については、特にネタになるような出来事も乏しいのですが、それでも高校時代を振り返る以上、これを語らず終わらせる訳にはいかないと思いました。


 つまり、次回でこのエッセイも最終回です。

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