第21話 悲劇の修学旅行

 このエッセイでは今まで自分が実際に見たり経験したりした事を書いていましたが、今回は人から聞いた話を書くことにします。


 高校時代の一番の思い出は何か。当然答えは人それぞれ違うでしょうけど、アンケートをとるならこれが上位に入っているのではないでしょうか。そう、修学旅行です。

 ですがこの楽しいイベントも、時に悲劇に見舞われる事があるのです。


 それは、自分達が入学するよりさらに昔に起こった出来事でした。なのになぜこの事を知っているかと言うと、とある先輩から、昔こんなことがあのだと教わったからでした。


 母校では修学旅行は二年生の時にがあるのですが、時代の変化によるものか、その行き先もまた、何年か経つと変わる事もあったそうです。

 当時の行き先がどこだったかはハッキリ聞いていなかったのですが、国内の、どこか雪の降る地方だった事は間違いありません。


 旅行何日目の話でしょうか?当時の先輩方を乗せたバスは、雪の降る中高速道路を走っていました。

 自分達の地元は雪が滅多に降らず、ましてや積もるなんてのは数年に一度くらいでした。先輩方は、今までに見たことの無いくらいの量の雪に驚いていたそうです。


 しかし、そこで悲劇は起こりました。バスは突如速度を緩め、動きを完全に停止してしまいました。バスだけでなく、周りの車もです。

 皆、いったいどうしたのだろうと騒ぐ中、運転手さんが言いました。


「大雪のため、ここから先の道が通行止めになっています。解除されるまで、しばらくここで待つことになりました」


 その言葉に、今まで以上にザワつく車内。どのくらい待てばいいのか分からず、これから先の予定だってあるのですから無理もありません。しかしその後待っていた現実は、想像していたよりもさらに酷いものだったと思います。

 通行止めが解除されるまで、何時間もかかってしまったのです。


 当然、の間はなにもする事がなく、ただ車内で待つばかり。その後予定していた行き先もキャンセルです。近くにトイレもないので、我慢するしかありません。

 もちろん不満はあったでしょうけど、どうする事もできませんでした。


 いったいどれくらい待ったのか、ハッキリとした時間は聞いていないので知りませんが、相当長い時間だったのは間違いありません。何しろお腹が空いたので、それまでに買っていたお土産を食べて何とかしたと言う人が何人もいたくらいですから。


 この出来事は、その後悲劇の修学旅行として語られるようになったそうです。自分もまた後輩にこれを話した事があるので、更に次の代へと語り継がれる事になりました。


 自分達が卒業してから十数年も経っているので、さすがに今の生徒は知らないとは思いますけどね。

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