第2話 女子が多いとこんな事になる 体育の着替え事情

 前回書いた通り、8割以上が女子と言う我が母校。それだけ偏りがあると、色々変わった所が出てきます。


 まずはクラス分け。

 一学年7クラス、一クラスが約40人と言う構成だったのですが、自分のクラスは男子11人女子30人でした。やはり男子の数は少ないですが、これでもうちの学年では最も男子が多いクラスでした。ちなみに、隣のクラスは女子40人で男子0です。


 次にトイレの数。

 男子トイレが女子のそれと比べて少ないです。一応男子も各学年につき一つはあるのですが、一部のクラスはトイレから遠いと愚痴っていました。女子は各学年毎に二ヶ所ありました。



 更衣室も、男女で大分違いました。

 体育の授業の際、男子は教室の半分くらいの広さの更衣室で着替えます。決して広くはなく、希に他の学年と重なる事もありますが、人数が少ないので問題はありません。

 一方女子ですが、男子更衣室の隣に、同じ広さの女子更衣室がありました。ですがあるだけで、実際に使われた事はほとんどありません。女子は数が多いので、そんな狭い更衣室だと着替えにくいのです。


 なら女子はいったいどこで着替えるか。教室です。

 体育の前の授業が終わり休み時間に入ると、女子は体育服に着替えます。もちろん着替えなければいけないのは男子も同じなので、体育服を持って更衣室に向かうのですが、速やかに教室を出なければいけません。一応女子も、男子に見えないよう服の中で着替えるのですが、だからと言ってそんな状況でいつまでも教室に残るような奴などいません。例え前の授業でノートを書き終えていなかったとしても、残って続けるわけにはいきませんでした。


 ちなみに二年生の頃、世界史の授業が週に二回ありましたが、その二回とも、次の授業が体育でした。そして世界史担当の授業と言うか、担当の先生の授業スタイルなんですが、ノートを取る量が多いんです。

 皆さんも覚えがありませんか?最初はごく普通に授業を進めているのに、後半になるにつれてラストスパートと言わんばかりに一気に黒板にたくさん書き込むような先生。こっちも急いでノートをとるのですが、大抵の場合授業中には終りませんでした。

 そして、毎回その後にあるのが体育です。休み時間になると同時に、すぐに教室を出なければなりませんでした。

 おかげで一年間、世界史の授業は最後までノートをとれた記憶がありませんでした。


 体育の着替えについてのエピソードはまだあります。今回は授業後の話です。


 自分が更衣室で着替えを済ませた後教室に戻ると、先に戻っていた男子数人がその前でたむろしています。中ではまだ女子が着替えているので、まだ入る事ができないのです。

 入って来ていいよ。そんな女子の声を聞いて、初めて立ち入る事ができるのです。


 それまでじっと待つ男子ですが、これがなかなか終わらない。次の授業の先生が来て、開始のチャイムが鳴ってもまだ着替えています。

 とうとうしびれを切らして先生が中に入っていきました。女の先生なので問題はありません。


「早くしろ!」

「まだ終わってませーん」


 そんな声が聞こえてきます。もちろん自分達男子は、まだ入る事はできません。しかし、なぜこんなに時間がかかるのか?その理由はだいたい分かっていました。これは、少しでも授業時間を削ろうとする女子の作戦なのです。


 もしこのクラスが女子だけだったら、例え一人二人が着替え終わっていなくても、あるいは強引に授業を始める事もできるかもしれません。

 ですがこのクラスには、ちゃんと男子がいます。そして着替え終わっていない女子が一人でもいるなら、男子は誰も教室に入る事ができませんでした。

 これではさすがに授業開始と言う訳にはいかないでしょう。それが分かっているから、わざと着替えに時間をかけているのです。とは言っても、削られる時間ほせいぜい5分程度のものですけど。


「いいよー」


 そんな声が届いて、ようやく男子も教室に入れます。しかし、それにすぐに授業開始と言う訳にはいきませんでした。

 教卓に立った先生は、怒っていました。


「アンタらいつまでかかってる!」


 それからしばらくお説教タイム。何事も、やりすぎはよくありません。






 たまに、こんな事もありました。


 女子「終わったよー」

 男子「よし。じゃあ入るか」


 スタスタと歩いていき、教室の扉を潜ろうとする男子達。しかしその時、慌てたような声が響きました。


「あーっ、まだダメー!」


 その途端、上げていた足をクルリと一回転させUターン。なんとか間一髪で最悪の事態は免れました。自分達はですけど。

 教室には前と後ろに扉が一つずつあるのですが、もう一つの扉から入ろうとしていたグループは、一足遅かったようです。慌てて飛び出して来るのが見えました。


「ああ、これで変態扱いされるんだ…………」


 そう漏らした彼に、自分達は何も言葉をかけてやる事ができませんでした。

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