設定・備忘録

人物紹介②

※ 基本的に登場順です。第三章最終節までのネタバレを含みます。


【アルフェ】(魔法拳士,冒険者,サバイバリスト,薬草収集家)

 バルトムンク編終了時で17歳直前くらい。ベルダンに居た時よりも背が伸び、より美しさに磨きがかかった。それは見る者をかえって不安にさせるほどである。故ラトリア大公の次女であるが、人生のほとんどを城の一角にある塔の自室に籠って過ごしてきた。

 最高位クラスの心術の影響下にある。最高位魔術の行使には、通常の自然界には存在しない膨大な魔力や有り得ないほど複雑な術式、周到な準備が必要となる。基本的に、大規模な戦争で魔術士の集団が戦略兵器として利用するような代物。心術の場合、それを一個の人間にかければ、感情が完全に封印されてもおかしくない。

 一部で倒したほとんどの敵を、軽く片手でひねれるくらいには成長している。大人びた覚めた物言いをすることが多いが、それは多分に擬態である。

 金にがめつく、食い意地が張っている。


【フロイド・セインヒル】(剣術使い,冒険者,暗殺者,近衛兵)

 第二部最終章でアルフェに倒されたあと、おきあがりなかまになった。

 八大諸侯の一人ハノーゼス伯の近衛兵を務めていたが、あることが原因でその地位を捨てた。年齢は二十代後半から三十歳手前くらい。防具をほとんど身につけず、攻撃を当てられる前に敵を倒すという点で、アルフェの戦闘スタイルと似た部分がある。三部後半で彼がアルフェに与えられた剣は、東にあった国から渡ってきた特殊な品。その国ははるか昔に大陸ごと海中に沈んだ。

 近衛兵だった頃の彼は態度も言葉遣いも穏当で、主君を敬う模範的な兵だった。自分が強ければそれでいいとうそぶく一方で、己の剣が何のためにあるのかと心の中で問い続ける生真面目な一面もある。


【ロディ】

 バルトムンクの冒険者組合に入り浸っている三馬鹿筆頭。平民出身の冒険者。並のオークを軽く倒すくらいには剣が使える。しかしワイバーンの囮役としては実力・経験共に不足していた。


【ナルサス】

 三馬鹿その2。ロディを中心とする三人組の中では軍師的な役割を担っていた。


【タイラー】

 三馬鹿その3。気弱だが、前に走りがちなロディ、ナルサスとはよくバランスが取れていた。


【ゲートルード】(歴史学者,情報屋,占星術士)

 バルトムンクの要塞島に居を構える歴史学者で、外見は初老の紳士。情報屋組合のギルドマスターでもあるが、彼曰く、歴史資料の収集のために手段を選ばなかった結果、自然とその職に就いていたということである。

 熟練の魔術士で、特に占星術を扱う。この世界における占星術は、探し物や真贋の区別といった用途全般に使用される魔術体系のこと。あまり戦闘向きではない。だが、戦おうと思えば戦える。


【“水の魔女”ネレイア・ククリアータ】(水術士,冒険者)

 帝国の東にある小王国の出身。水のマナを利用した魔術を全般的に扱う。「水の魔術」というくくりは、帝国で一般的な「破壊術」や「変性術」といった魔術体系とは少し異なり、水のマナを使って、彼女は治癒も破壊も一通りこなせる。黒いとんがり帽子と身体に密着した黒いドレスを着用しているが、これは人々が魔女に対して持つイメージに彼女が合わせたということである。

 酒好きで、町に居る時は大抵飲んでいる。


【マキアス・サンドライト】(聖騎士,治癒術士)

 神殿騎士団の第一軍団に所属している聖騎士。第一軍団のトップにパラディン筆頭のヴォルクス・ヴァイスハイトがいる。テオドールやヴォルクスと比較的親しく口をきける分、中間管理職的な立場の人間たちからはにらまれている。

 剣の腕はパラディンを除く神殿騎士団の中ではかなり有望な方。アルフェがベルダンから姿を消して以来、彼なりに気合いを入れて訓練してきたつもりだったが、アルフェは彼よりもはるかに修羅場をくぐっていた。

 アルフェに対する自分の感情の正体が何なのか、彼自身はまだ理解していない。


【カタリナ・ダルマイア―】(聖騎士,従騎士)

 神殿騎士団の第一軍団に所属しているマキアスの副官。赤毛をショートヘアにしている。正式な騎士ではなく、従騎士扱い。これは彼女の身分や女性であるということが大きく影響している。自称する能力は低いが、数少ない女性騎士なだけあって、戦闘などはそれなりにこなす。

 両親をはじめとする家族は帝都で健在。弟妹が沢山居て、狭い家で仲良く育った。

 アルフェに対するマキアスの感情の正体が何なのか、彼女は何となく察している。


【ロザリンデ・アイゼンシュタイン】(聖騎士,パラディン,狂戦士)

 神殿騎士団の最精鋭、パラディンの十二席。最年少でパラディンになった記録を持つ17歳の少女。桃色がかった灰色の髪を持つ、清楚なお嬢様然とした容姿。しかし中身は相当に壊れている。さらに彼女が理想とする女神が目の前に現れた事で、かろうじて崩壊を免れていた人格に、深刻なダメージが入った。

 常人離れした身体能力は、生来の魔力の質と量に由来している。武器とする純白のハルバードはアイゼンシュタイン家の家宝で、代々当主に受け継がれてきた。現在の当主はロザリンデの父だが、ロザリンデがパラディンになった時に、記念として彼女に引き渡された。

 対女性限定で異常な嗅覚の持ち主。対女性限定で異常な記憶力の持ち主。対女性限定で異常な……。


【ゲオ・バルトムンク】(斧戦士,領主)

 城塞都市バルトムンクの領主。昔は筋骨隆々の戦士だったが、今は疲れ果てた老人という印象の人物。バルトムンクは七百年前の結界消失以前には八大諸侯の筆頭だった。そのため現在のバルトムンク家は一都市の小領主であるにもかかわらず、家格はほとんどの帝国貴族よりも上だとされている。ゲオもそれに裏打ちされた高い自尊心を持っている。

 第二部最終章で死んだ神殿騎士ジオは彼の甥。貴族が神殿騎士団もしくは神聖教会に次男三男を送り込むことはよくある。それは教会権力に対する足がかりを作るためだが、ジオの場合は教会の思想に心酔してしまい、ゲオの思い通りには行動していなかったようだ。


【ゲイツ・メリダ】(闇商人,情報屋)

 城塞都市バルトムンクの経済を仕切るメリダ商会の頭取。見るからにカタギではない外見をしているが、大抵の者と気さくに話す。娼館や地下闘技場の経営、オーク等の亜人種の奴隷化など、金を儲けるためならどんなあくどい商売にも手を付ける。情報屋組合の一員でもあり、商売に有益な情報をもたらしてくれるゲートルードには下手に出ている。


【グラム】(斧戦士,オークの部族長,奴隷)

 地下闘技場で奴隷闘士にされていたハイオーク。オークの肌色は主に地方によって異なり、彼の場合は灰色。バルトムンクに一番近い位置にあった彼の集落は、五年前に冒険者の大遠征団に襲撃されて滅びた。オークが人間を襲撃する際、女は捕らえられて凌辱されるという風説が一部にあるが、彼に言わせると、それはオークの中でも特殊な性癖を持つものに限られる。通常はただ殺されるか、食料にされるだけだ。食料にすることも、部族によっては忌避する傾向が強い。その点は人間が亜人種を食料とみなさないのと同じ。同じオークの妻と子どもを持っていたが、五年前の襲撃の際に亡くした。人間基準でもかなり高い知性の持ち主で、奴隷となってから一年程度で流暢に言葉を喋るようになった。


【“血槍”グイード・アンソフ】(槍使い,冒険者)

 赤い三叉槍を武器に使う二つ名持ちの冒険者。金と魔物を倒して得る名声にしか興味が無いと公言する男。長身と人よりも長い腕を活用して槍を振るう。猜疑心が強く、人と話す時には常に自分に有利な間合いに立とうとする。二つ名を持っている冒険者は、各都市の冒険者組合に一人か二人いるかどうか。一見無意味なように思えるが、はったりが重要な職業なので、二つ名にも実用的な意味合いがある。


【クラウス】(従者,サバイバリスト)

 アルフェの姉の近侍だった男。ドニエステ王国に攻められた城からアルフェを脱出させ、物語の発端を作った。左手で剣を使い、右手で低位の魔術を使用する戦闘スタイル。現在はドニエステ王に仕え、各地の結界を調査しているという。


【ヴォルクス・ヴァイスハイト】(聖騎士,パラディン)

 ベルダンでアルフェとコンラッドの前に姿を現した男と同一人物。すなわちコンラッドの実兄である。神殿騎士団第一軍団長でパラディンの筆頭。大陸中で彼に匹敵する人物は数名しか存在しない。現在の神殿騎士団総長はパラディンではないので、総長とヴォルクスの権力関係は微妙。容姿は無精髭の生えていないコンラッド。声もほとんど弟と同一。


【イコ】(荷馬)

 フロイドが目利きをし、アルフェが購入した黒馬。雄。

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