● 第42話 驚愕の事実に直面! でも、オレはサシャとの愛は不滅と誓う!!

 流石は、サシャだ。

 相手の考えや想いを先読みし、見事なまでにオレが触れてイイものかチョット迷っていたギモンさえも感じ取っていた……。


 このギモンに関して『』のか?

 ひょっとしたら、回答の流れ次第ではサシャがこれまで秘めてきたヒミツ――心の奥底にしまってある、他人が決して窺い知る事の許されない、彼女にとっての大切なモノ――にまで、話が及んでしまうかもしれない……。

 オレはソレについて語る事を、サシャに無理強いしたくなかった。


 「そうだネ……。

 オレは、確かにサシャが『姿』っていう点を、正に疑問に思い、考えてたよ……。

 そしてオレのカンは、その事実を知っている理由がキミが究めた『占術』の知識の蓄積や、『ギフト』の能力に関する研究から得られたモノじゃないって言ってる。

 だからコノ件についてのハナシが、サシャにとって言いにくいモノなら、別に無理に話さなくてもいいんだヨ。オレ、……これ以上、キミの負担になる様な事はしたくないし……」



 暫くの間、ソノ部屋の中は沈黙と言う名の静寂くうきで満たされた。



 「ユウ、我が永遠の想い人……。

 ナンで、これから話す事がボク達の出生に関わっていて、ソノ内容を聴けば……キミが、ボクの隣から消えてしまうかもしれない程の内容だって解ってしまっタノ?


 確かに、これから話そうとしている事はボク達の出生に、ソノ内容が及ぶ事になるのサ……。そして、普通ならソレはとても信じ難いハナシで、聴いてしまえばユウの心の中にいるボクの姿が揺らいでしまいかねないモノなのサ。


 ――でもネ、相手がユウ……キミだからこそ、ボクはどうしてもコノ話を聴いて欲しいと思うのサ。例え、万が一キミの心の中から、ボクが消えてしまう事になったとしてもネ……。

 結果がどうなってもボクは、キミを責めたりなんか絶対にしない!

 だから、お願いなのサ。

 どうしても、ユウにはこのハナシを聴いてボクの全てを知って欲しいし、虫のイイ話かもしれないけど、これからもズットそばに居て欲しいのサ……」


 いつも、どこかクールで……そして、オレと一緒にいる時はホントに可愛い表情も見せてくれて……どんなにピンチな状況に陥っても、予めソノ予防策を取っていて困難な事態が待ち受けていたとしても、決まって的確に分析し対処して……初めて逢ってから、ずっと離れる事無くオレの隣にいたサシャ……。

 ギフト能力の制御に関しては師匠を買って出てくれて、見事なまでにオレの力を引き出してくれた何時も『人生の師』の様な存在で、そして心からオレを愛してくれている彼女。


 今の彼女は、今までオレが目にしてきたドノ彼女とも違っていた。

 オレに聴いて欲しい話が、余程の内容である事がヒシヒシと伝わって来た。

 「……サシャ、キミの決意の強さは痛い程、チャント伝わって来たヨ。

 だから、キミが聴いて欲しいって言うんなら喜んでソノ話を聴くし、内容がどうであれオレはキミから離れたりしない。

 オレの心の中から消えちゃうなんて言わないで! ソコまでオレの事を信じて話してくれるんなら、オレだってトコトン付き合うヨ。

 だから、……サシャ……、お願いだから安心して」


 サシャの瞳から、涙が溢れていた……。

 オレは彼女の肩を抱き、ただ抱きしめる事しかできなかった。

 しばらくの間ソノ状況が続き、落ち着いたのかサシャは決然と顔を上げた。

 いつもの、とてもキレイな瞳を輝かせたサシャが、ソコに居た。


 彼女は、お決まりのイダズラっぽい笑顔を浮かべ、

 「アリガト、ユウ……。

 今の言葉でボクには、怖いモノが何もなくなったのサ。

 気を遣わせてしまって、ゴメンなのサ……、そして本当にアリガトウ。

 随分と前置きが長くなってしまったけど、改めてボクのハナシを聴いて欲しいのサ……。



 ――……、


 そしてココからが重要なんだけどネ……なのサ……。

 ヤッパリ、驚かせてしまった様ダネ。

 でも、コンナ話を聴かされたら誰でもビックリすると思うのサ……。」


 オレは、始め彼女が言っている事の意味を理解出来なかった。

 ……っていうか、彼女の言葉はオレの想像の範疇を大きく上回っていて、どう反応するのが正解なのか、全く解らなかったのだ。正直な所、ひょっとしたら彼女達はノヴェラードの人間じゃなくて、もっと文明が進んだ他の国に生まれたのかもしれない……とは、感じていたのだけれど。


 前に彼女が言った様に、『』されない様に生まれた国を出て、ギフトの存在が良き力として認識されていた、ノヴェラードに逃れてきた……、オレはそんな仮説を自分で立てていたのだ。

 ソレが……である。蓋を開けてみたら、元は『』だったとは。


 コノ世界に来た当初、オレはカイザールさんに衝撃の事実を連発で付き付けられたのを思い出していた。コレって、その時の流れに何か似てないか? 

 オレって、そういう星の下に産まれたのかな? 

 えーい、ココまで来たら全部聴いてから色々考えるしかないね……。


 ソコまで考えた時、ハナシの続きが始まった。

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