サシャの大事なハナシ
● 第40話 サシャの話は、国家レベル以上のトンデモナイ秘密でした……。
――サシャが、……そして妹のリサまでもが『ギフト』能力者だった……。
最近、一番気になっていたソノ件を告げられたのに、突然の告白にオレはしばらくの間ポカンと口を開けたまま、何の反応も出来ずに居た。
オレとした事が、ナンテ情けない……。
本来なら、『これで本当に、互いに一生を供にする事が出来るんだ!』ってな感じで大喜びする場面なのにね……。
オレは、……ただ黙って両の目から涙を流していた。
イキナリの事実に心の整理が付かなかった……ってのもあったんだけど、ヤッパリ嬉しくて……本当に心から嬉しくて、喜びの感情よりも『感動と安堵』にも似た気持ちが大波の様に押し寄せて来て自分の心を支配し、……いつの間にか、泣いていたんだ。
「そうか……。二人とも『ギフト』持ちだったんだね……。
あ、……ゴメン。男のクセに泣くなんて、みっともない所を見せちゃったよ……。
でも、オレさ……ずっと、そうだったらイイのにな……って思ってたから。
そうじゃなかったら、オレ……またコノ世界で独りになっちゃうって、思ってばかりいて……。
ホントなら、大喜びして笑い合うべき場面なんだろうけど、オレ今の言葉聞いて喜びの気持ちより『安心した』って言うか、何か『感動』の方が大きくてさ……何も言えなかったんだ。ゴメンよ」
「ボクの方こそ、今まで話せなくてゴメンだったのサ……。
ボクが『ギフト』能力者だったら嬉しいっていう、ユウのキモチは痛い程伝わって来てイタんだけど、コノ件を話すにはこれからキミが聴く事になるトテモ重要な真実も同時に受け入れてもらう必要があったから……。
物事には何にでも『
ボク達は無事にコノ森に入り、敵から見れば今のところは上手く姿を消す事が出来ていて、同時にココに居るリサやローマーそしてエテルナ達という、志を同じくする心強い同胞を得る事が出来タ。
今、コノ時こそがボクとボクの一族にまつわる話をする『神の刻』なのサ」
『サシャと彼女の一族にまつわる話』だって?
オレは、キミ達姉妹が『ギフト』能力者だってことが解ればソレだけでよかったんだけど……。
あ、そうか……肝心の『能力』についての話はまだ何も聴いてないんだった。ソノ事なのか?
でも、『ギフト能力』の種類の話なら、一族にまつわる話にまで話題を広げる必要はないんじゃないのかな? 一体、どういうイミなんだろう……?
色々と考えてはみたけど、結局まとまらないまま時が過ぎた。
「ココから先にする話は、このボクと妹のリサしか知らない事だから決して他の人には明かして欲しくないのサ……。
リサ、一応確認しておくけど、ユウだけになら話してもイイよネ?」
「姉さまが選び、一生を供に生きると誓い合った
ユウ様は、ボクにとっても兄さまナノだから全く問題ないノさ」
リサは、当然の様に即答で了承した。
「ありがとう、リサ……。
コレで何も余計な心配をせずに話が出来るのサ。
ユウ、これから話す事は……驚かせてしまうかもしれないけれど、全てが真実なのサ。だから、例え何を聴いたとしてもコレまでと変わらずボクの事、そしてリサの事も信じて欲しいのサ……」
サシャの表情は、オレが今まで見て来たどのソレとも違っていた。
本気で、自分の人生を左右する様なヒミツを明かそうとしている、決意にも似た物が彼女の澄んだ瞳に宿っていた。
「わかった。オレは何を聴いても受け入れるし、サシャを信じるよ。
そして、ソレはこの先もズット変わらない……約束する!」
そうだ。オレは、これからもサシャを……そしてリサを守るんだ。
そう考えながら一応やれるコトはやっておこうと思い『箱』の能力でこの部屋全体に結界を張り、内部の会話が絶対に外に漏れない様にした。
「アリガト……。ソノ言葉だけでも、ボクは嬉しいのサ。
じゃあ、話を始めるネ。
まずユウが気になっているのは、ボクの『ギフト』は一体どんな能力なのか? だと思うから、ソコから話すのサ……。
でも、その話をする上で事前に理解し受け入れてもらわなきゃいけないコトがあるんダ。だからコノ事は、本当に心して聴いて欲しいのサ……」
話を聴いて、理解し受け入れなくてはいけない……。
コレって、オレがコノ世界に来て初めて色んな話をカイザールさんにしてもらった時と同じ展開だ……。また、衝撃事実の連発……なんて事は流石に無いと思いたいけど、どうなんだろう?
いずれにせよ、聴かなきゃ始まらないか!
オレは、腹をくくった。何でも来いダ!
「キミは、心を決めてくれたみたいだネ……何を聴いても、このボクを信じるって……。
顔に書いてあるから解るのサ。でも、ボクはとっても嬉しいのサ。
さぁ、ココからが本当の本題だヨ。
まず、コノ世界――皆はコノ世界をこの『統一国家 ノヴェラード』だけだと、当然の様に思っている訳だけど――は、コノ国家より遥かに広大で、他にも沢山の国が実のトコロ存在しているのサ。ココで疑問なのは『ナゼ他に国が存在しているのに、その他国の人間達がノヴェラードにやって来ないのか?』……という事になると思うのサ。
ソレには、ちゃんと理由があるんダ……。
その理由こそが、このボクの『ギフト』能力でもあるんだけどネ。
――コノ世界、……と呼ばれている『統一国家 ノヴェラード』という一つの島国はネ……現存する他の国々から、このボクのギフト能力によって『視覚的にも物理的にも、外部からどうやっても感知出来ない様に隠されている』のサ」
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