1434.端緒篇:どう書いてよいのかわからない2
今回も引き続き「どう書いてよいのかわからない」についてです。
「書きたいことがない」のも問題ですが「ありすぎる」のも困ります。
どうやって書きたいものを整理整頓していくか。
どう書いてよいのかわからない2
前回の続きです。
「書きたいことがありすぎてどう書いてよいのかわからない」方は、どうやって書けばよいのでしょうか。
そう難しい話ではありません。書きたいものがありすぎるのであれば、フィルターを通してひとつの物語を取り出すだけでよいのです。
書きたいことがありすぎる
前回は「なにも書くことがない」でしたが、今回は「書きたいことがありすぎる」です。
「小説を書こう」と思っているのにまったく手がつけられなくても、ちょっとしたきっかけで書きたい物語を絞れます。
そもそも「書きたいことがありすぎてどう書いてよいのかわからない」のはどんな状態か。
「あれも書きたい」「これも書きたい」という状態になっています。
頭の中で混沌としている物語のタネをどうやって拾い上げればよいのでしょうか。
まずリストアップしましょう。
重複してもかまいませんので、頭の中にある物語をどんどんリストに書き出していきます。
このリストアップで、書きたいことが自然と整理されていくのです。
不思議ですよね。あれだけ頭の中でこんがらがっていた「書きたいこと」が、たった一冊のリストによってビシッと整頓されます。
それでもリストアップしづらいときは、キーワードだけをリストに書いていってください。できれば「キーワード」専用のリストを用意しましょう。
キーワードはいくつかを選択していくとひとつの物語が導き出されます。物語ジェネレーターなのです。
落語の芸に「
寄席に来ているお客様から三つのお題を頂戴し、即興でひとつのオチのある物語に仕立てる芸です。
小説でも「三題噺」はできます。オチはつけられないかもしれませんが、物語ならいくらでも生み出せるはずです。
現在小説投稿サイトでは「異世界転生ファンタジー」が一大勢力を築いています。
これは「三題噺」のお題のひとつに「異世界転生」が組み込まれているのと同じです。残りふたつでオリジナリティーを出せれば、あなた独特の「異世界転生ファンタジー」が生み出せます。
ただ最近の「異世界転生ファンタジー」は「異世界転生」だけでなく「主人公最強」もすでに組み込まれているため、物語の自由度はさらに狭まっているのです。
残されたたったひとつのお題でオリジナリティーを発揮しなければなりません。
だから「異世界転生ファンタジー」は皆同じように映ってしまいます。
書きたいリスト
「書きたい物語」がリストアップされたら、順位付けを行なってください。
そして一位から順に小説として書いていけばよいのです。
マゾヒスティックな性格で、いつまでも一位の物語が書けないまま悶絶するのを好む方はまずいません。
最も「書きたい」と思っている一位から順に書けば、そんな悶絶を味わわずに大好きな物語を第一に書けます。
どんなに他の物語に浮気したくても「今書いている物語がいちばん書きたいんだ」と言い聞かせると、気持ちをなだめられるのです。「今私はいちばん書きたい物語を書いている」と客観的に理解するためにも「書きたいリスト」を作成しておきましょう。
もし今書いている物語を後回しにしてでも書きたい物語が見つかったら、「書きたいリスト」の二位に記しておきましょう。そして今書いている物語を技巧など気にせずに結末まで書ききってください。推敲するのは二位に記した作品を書いてからにするのです。
「小説を書きたい」人が犯す、最もありがちなミスは「結末まで書かない」点にあります。
一作も最後まで書かないから、いつまでも「小説が書けない」のです。
書き始めたら悩まないで結末まで書く
「小説賞・新人賞」へ応募する長編小説は、書き始めると数十時間以上拘束されます。
十万字をまったく迷いなく書けたとして、一分間に百字入力できて千分必要です。千分は十六時間四十份です。これはまったく悩まず書けたときの最短記録だと思ってください。
こう表現したほうがよいか、ああ表現したほうがよいか。書きながら迷い悩むものです。
とりあえず書くだけ書いて、推敲で大胆にバッサリと変更していったほうが効率的なときもあります。
とくに処女作は、一文一語で「こうしたほうが」「ああしたほうが」で悩んでいると「小説を書こう」という気持ちが萎えてしまうのです。そうして「小説が書けずに投げ出す」方が多い。
だからこそ表現など気にせず「あとでいくらでも手直しするから、熱があるうちに書けるだけ書く」ようにしてください。
どんなに拙くても、十万字が文字で埋まる経験をするのがたいせつです。「小説が書きたい」のに一作も結末まで書けない人が圧倒的に多い。曲がりなりにもラストまで書いた人は、それだけで「小説を書く」才能があると言えます。
中途で放り投げた作品は「小説」ではありません。ただの文字です。
「小説」は「結末」まできちんとあります。「結末」がない作品は「小説」ではないのです。
「結末」まで書こうと思ったら、「小説を書こう」という熱があるうちに「結末」まで一気に書いてください。表現で悩んだり順序に悩んだりするだけ時間の無駄です。
書き手は根源的な「命題」と表現したい「テーマ」を生まれながらに持っています。これまで生きてきた中で自然と培ってきたものなので、今さら悩む必要はありません。
「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経たほうがしっかりとした構成を作れます。しかし「初めて小説を書く」際は無視してかまいません。「初めて」ならまずは「結末まで書いた」実績を積むのを重視しましょう。
「感じたものを熱があるうちに一気に書く」
そうすれば、巧拙は問わず「結末」まで「小説が書ける」のです。
迷い悩むのは、そのあとの推敲でいくらでもやりましょう。
書き終わってから企画書を作る
本来は「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の順で作成するのですが、熱に突き動かされるように執筆したら「結末」まで書いたら改めて「企画書」から作成していきましょう。
設定をがっちりと固めると、推敲の方向性も見えてきます。
まずこの「小説」で読み手になにを訴えたいのか、伝えたいのか。それを決めて「企画書」を完成させるのです。「主人公が○○をする話」かを決めます。「企画書」を作らないと「あらすじ」以降が定まりません。改めて言われるまでもないでしょうが、「企画書」は必ず書いてください。
最後に
今回は「どう書いてよいのかわからない2」について述べました。
書きたいものがありすぎるのなら、まずはリストアップしてみましょう。
そして順位をつけておくと、どれを書いてよいのかで迷わなくなります。
書く物語が決まったら、「小説を書こう」と思い立った熱があるうちに「結末」まで一気呵成に書いてください。悩んでいる暇があったら気にせず先へ先へと書き進めてください。
「結末」まで書いたから「小説」になるのです。途中で放り出しているかぎり「小説」ではありません。
放り出さずに「結末」まで書いて初めて「小説を書いた」と言えるのです。
拙いところばかりのはずですから、書き終えたあとに推敲でじゅうぶん悩んでください。
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